41国際音楽祭NIPPON 2022バロックから新作まで多彩なラインナップ 文:山田治生2月~3月 東京オペラシティ コンサートホール、紀尾井ホール、サントリーホール、愛知/三井住友海上しらかわホール 他問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp/special/imfn/※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 諏訪内晶子が芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON」が2022年も2月から3月にかけて開催される。今回のオーケストラ公演には、イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団、尾高忠明指揮NHK交響楽団が参加。諏訪内は、ブダペスト祝祭管とはチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾き、N響とは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とデュティユーのヴァイオリンと管弦楽のための夜想曲「同じ和音の上で」を演奏する。デュティユーは21年4月に読売日本交響楽団とヴァイオリン協奏曲「夢の樹」を弾くなど、熱心に取り組んでいるから楽しみだ。 室内楽プロジェクトでは、ピアノの阪田知樹、ヴァイオリンのマーク・ゴトーニ、チェロのイェンス=ペーター・マインツらと、フランクのピアノ五重奏曲を中心とするクラシカルな作品と現代音楽との2つのプログラムを披露する。現代音楽プログラムでは、望月京への委嘱新作(世界初演)のほか、ライリー、クルターグ、ターネジらの作品を演奏。両プログラムで、ファニー・メンデルスゾーン、クララ・シューマン、バツェヴィチら女性作曲家に焦点が当てられているのも興味深い。また、葵トリオも参加する、一日がかりのブラームス室内楽マラソンコンサートも興味津々である。そのほか、諏訪内が名古屋と東京でそれぞれ2日間かけてバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲を演奏するのにも注目。イヴァン・フィッシャー ©Marco Borggreveジャン=クリストフ・スピノジ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団モーツァルトとバーンスタインを繊細かつ躍動感たっぷりに文:長谷川京介第639回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉 1/27(木)19:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉 1/28(金)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp フランスのコルシカ生まれのジャン=クリストフ・スピノジが、新日本フィルに初めて登場したのは2010年。生気あふれる指揮は聴衆と楽員の間で大評判となり、その後も12年、14年、15年と客演を重ねた。今回は7年ぶり5回目の共演となる。スピノジは21年6月、ついにベルリン・フィルにデビュー、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」他で躍動感に満ちた演奏を繰り広げ絶賛された。その「ジュピター」がプログラムに入っているのはタイミングが良くうれしい限り。 モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番では、2019年のベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝したステラ・チェンがソリストとして出演する。名器ストラディヴァリウス1708年製「ハギンス」を使用しているチェンは、ジュリアード音楽院でパールマンに師事しており、艶やかな美音が聴けるだろう。バロックからウィーン古典派を得意とし、指揮者とヴァイオリニストのふたつの顔を持つスピノジにとっても願ったりかなったりの作品であり、名演が期待できる。 並はずれたリズム感と身体能力を持ち合わせ、全身から音楽が勢いよく飛び出してくるスピノジ。バーンスタイン「ウエストサイド・ストーリー『シンフォニック・ダンス』」がどれほどエキサイティングな演奏になるのか、想像するだけで胸が躍る。ダンス音楽の〈マンボ〉はもちろんのこと、抒情的で美しい〈サムホエア〉ではオペラで培ったスピノジの歌心が存分に発揮されるだろう。今から公演が待ち遠しい。諏訪内晶子 ©TAKAKI KUMADA尾高忠明 ©Martin Richardsonステラ・チェン ©Brandon Ilawジャン=クリストフ・スピノジ
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