104CDCDCDimpressions～愛と祈り／川村奈美子《トリステ》／庄司さとし＆和田純子ベートーヴェン：フェイト＆ホープ／ニュウニュウファニー・メンデルスゾーン＝ヘンゼル 室内楽曲集／トリオ・ハービッヒリスト：即興円舞曲、3つの夜想曲第3番「愛の夢」、パガニーニによる大練習曲第3番「ラ・カンパネラ」／ショパン：幻想即興曲、ノクターン第20番「遺作」／シューベルト（リスト編）：セレナーデ／ドビュッシー：ベルガマスク組曲第3曲「月の光」 他川村奈美子（ピアノ）テレマン：「忠実な音楽の師」より〈バスーン・ソナタ ヘ短調〉／J.S.バッハ：ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第2番・第1番、フラウト・トラヴェルソとオブリガート・チェンバロのためのソナタ庄司さとし（イングリッシュ・ホルン/バス・オーボエ）和田純子（オルガン）ベートーヴェン：交響曲第5番「運命」（リスト編/ピアノ・ソロ版）、ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」・第14番「月光」／ニュウニュウ（張勝量）：即興曲第1番「Hope」（希望）ニュウニュウ（ピアノ）ファニー・メンデルスゾーン＝ヘンゼル：ピアノ三重奏曲 ニ短調、アダージョ ホ長調～ヴァイオリンとピアノのための、カプリッチョ 変イ長調～チェロとピアノのための、ピアノのための歌 変ニ長調トリオ・ハービッヒ【羽賀美歩（フォルテピアノ） 髙橋奈緒（ヴァイオリン） 髙橋麻理子（チェロ）】ナミ・レコードWWCC-7958 ￥2750（税込）録音研究室（レック・ラボ）NIKU-9040 ￥3080（税込）ユニバーサル クラシックスUCCD-1485 ￥3080（税込）コジマ録音ALCD-1208 ￥3080（税込）国内外で幅広く活躍するピアニスト、川村奈美子の最新アルバムはその名も『impressions〜愛と祈り』。男女の愛、あるいは祖国への愛…。その形態は多様だが、それらはすべてが「祈り」にも通ずることは間違いない。ここで川村が選んだ曲たちはおしなべてかような切実さに貫かれている――と書くと、演奏の甘ったるい情緒過多を危惧する向きがあるかもしれない。しかし川村はそれぞれの楽曲を極めて理知的かつ精緻に弾き込んでいてコンセプト先行のアルバムとは一線を画す名奏を生んでいる。まずは幻想即興曲を聴いていただきたい。その語り口の気高さ…。まさに第一級のピアノ名曲集。（藤原 聡）ジャンルを超越した活動を展開するダブルリードの達人・庄司さとしによる、まろやかで温かなイングリッシュ・ホルン＆バス・オーボエの調べ。本場ウィーンに学んだ和田純子が生み出す、包容力に満ちたオルガンの音色。これらが紡ぐバッハとテレマンの佳品が、たっぷりとした残響の内に溶け合わされて一体に。天上にいるがごとくの聴取体験へと誘う。庄司はピリオド楽器の演奏にも通じているだけに、様式的な作法は見事。にもかかわらず、バッハの時代に存在しなかった楽器で演奏することに「少なからず、躊躇がある」と吐露する。いや。バッハがこれを聴けば、必ずや気に入るはずだ。（寺西 肇）24歳になったニュウニュウがコロナ禍を経てリリースしたのは、『フェイト＆ホープ』と題したアルバム。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」のリスト編曲版は、卓越した技術と恵まれた体格から繰り出される粒立ちの良い音で、ピアノだからこそ表現できる楽曲の魅力を細部まで際立たせる。ピアノ・ソナタ「悲愴」の力強い音から、「月光」の暗く朧げな音への切り替えは大胆で、それぞれにまったく別の世界を創る。明るい色彩にあふれた自作の「Hope」までの一連の作品から、現代の人々の思いに寄り添い、勇気づけたいというはっきりとした意志が伝わってくる。（高坂はる香）フォルテピアノとガット弦。ピリオド楽器の若き名人たちによる、注目すべきトリオが現れた。トリオ・ハービッヒが初録音に選んだのはフェリックス・メンデルスゾーンの姉ファニーの作品集。弟に優るとも劣らない才能に恵まれながら、時代と環境のために音楽活動が制限されてしまった彼女の作品は、当時の楽器の音色でこそ温かな妙味が鮮明になる。最後の作品となったトリオは、弟フェリックスの楽曲以上に苦みの多い響きと旋律の儚さがたまらない。羽賀美歩の奏でる古雅な美音と圧巻の名技、弦のヴィブラートを抑えた澄んだ響きのしなやかさ。インティメートかつ高水準な演奏で、隠れた佳品の魅力を味わう。（林 昌英）CD
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