eぶらあぼ 2021.12月号
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48オペラ・ガラコンサート & 歌曲・ガラコンサート総勢18名の歌い手が登場する贅沢な1日文:笹田和人オペラ・ガラコンサート 令和に翔け! 12/18(土)13:30歌曲・ガラコンサート ~世界の国からこんばんは~ 12/18(土)19:00浜離宮朝日ホール問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 https://www.bflat-mp.com 人の声が持つ力の大きさと、多彩さが実感できることだろう。浜離宮朝日ホールを舞台に1日にして開かれる、ピアニストの朴令鈴の企画・音音(おとね)工房主催による2つの個性的な「ガラコンサート」。どちらも各方面で活躍する実力派ソリストたちが登場し、たおやかな美声で、とっておきの名曲を披露してくれる。 午後1時半開演の昼のステージ「オペラ・ガラコンサート 令和に翔け!」には、普段からオペラの檜舞台で活躍する10人の若手ソリストが出演。昨年開かれた第89回日本音楽コンクールの声楽部門を制したバリトンの小林啓倫による、レオンカヴァッロ《道化師》から〈プロローグ〉など、まずは各々がソロ曲を歌うほか、ヴェルディ《リゴレット》から〈美しい恋の乙女よ〉(四重唱)や同《ドン・カルロ》から〈友情の二重唱〉など、複数の歌手での“競演”も。声楽の伴奏ピアニストとしても高い評価を受ける朴が共演する。 一方、午後7時開演の夜のステージは、「歌曲・ガラコンサート~世界の国からこんばんは~」と題して。ソプラノの佐竹由美がアメリカのバーバー〈ノクターン〉、同じく全詠玉が韓国のアンジョンジュン〈アリアリラン〉、アルトの小川明子がシューベルトの〈魔王〉、バリトンのヴィタリ・ユシュマノフがロシアのラフマニノフ〈夢〉を歌うなど、数多くの公演で名唱を披露している8人のソリストたちが、8ヵ国の作曲家たちによる、彩り豊かな名歌曲を披露。共演のピアノは、鳥井俊之(韓国歌曲のみ朴)が務める。鳥井俊之第163回 リクライニング・コンサート コハーン クラリネット・リサイタル抒情あふれる美音と圧巻の技巧を堪能する60分文:林 昌英12/8(水)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp Hakuju Hallの「リクライニング・コンサート」に、クラリネットの名手コハーン(コハーン・イシュトヴァーン)が登場する。ハンガリー出身、多くの国際コンクールで優勝や入賞を重ね、2013年に日本に拠点を移した。15年には第84回日本音楽コンクールで第1位及び岩谷賞(聴衆賞)を受賞したが、録画放送で観たその本選が衝撃的だった。美しく息の長い歌、繊細なニュアンスに加えて、コハーン自作でみせたテクニックの凄まじいこと! 公開審査の聴衆も思わず大興奮、会場が彼のリサイタル状態になってしまったのである。そのヴィルトゥオーゾぶりと、モーツァルトなどで聴かせる温かい落ち着きは矛盾しない。筋の通った表現のレンジの広さこそ、彼の真骨頂だろう。 今回はJ.S.バッハの穏やかな楽曲、バルトークやハンガリー民謡など彼の母国の音楽に、コハーン自身の作・編曲作品も聴ける。自作の「ハンガリー幻想曲第1番」は、まさに前述のコンクールで圧倒的なパフォーマンスを見せつけた楽曲だ。編曲は「ラプソディ・イン・ブルー」で、これまた彼の抒情的な美音から圧巻の技巧まで、エンターテイナーぶりを楽しめるに違いない。 実はこの公演、昨年12月9日の水曜日に予定されていたがコロナ禍で実現できず、ちょうど1年後の同じ曜日に同じ演目、同じ共演者(ピアノの榎本詩帆)で再現されるもの。この2年近く、音楽家もホールも大変な思いを強いられてきた。その思いを受け止めつつ、心地よいシートと音響に包まれる60分をリラックスして楽しみたい。©Lakeshore Musicヴィタリ・ユシュマノフ小川明子全 詠玉佐竹由美小林啓倫朴 令鈴

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