eぶらあぼ 2021.12月号
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42今井俊輔©Harald Homannニューイヤーコンサート J.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会2022.1/19(水)18:30 サントリーホール問 ムジカキアラ03-6431-8186 https://www.musicachiara.com平崎真弓(ヴァイオリン)古楽の精鋭が集い奏でるバッハの創意溢れる名曲全集取材・文:那須田 務Interview 来年1月、サントリーホールでバッハの「ブランデンブルク協奏曲」の全曲コンサートが開催される。バロックの管弦楽曲のなかでも屈指の人気曲なのに、演奏時間が長いために滅多に全曲演奏が行われない。それをヴァイオリンの平崎真弓を中心に、チェンバロの西山まりえやフラウト・トラヴェルソの菅きよみ、チェロの懸田貴嗣ら古楽の実力者が一堂に会して全6曲を演奏しようというのだ。 アンサンブルのリーダーでソロ・ヴァイオリンを担当する平崎は、東京藝術大学とニュルンベルク音楽大学でモダン・ヴァイオリンを、ミュンヘン音楽大学とルツェルン音楽大学でバロック・ヴァイオリンを学び、モダンでライプツィヒのバッハ国際コンクール第2位、バロックでブルージュ国際古楽コンクール第3位となってドイツの名門古楽オーケストラ、コンチェルト・ケルンのコンサートマスターに抜擢。以来、欧州の最前線で活躍している。「今回のメンバーの多くが私と同年代。以前に共演させていただいた方々も多く、皆さん素晴らしい音楽家たちばかり。日本で再会して共演できるのが本当に嬉しい」と語る。 「この協奏曲集の名称は、ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスティアン・ルードヴィッヒに献呈されたことに由来しますが、バッハが自筆の総譜に記した献辞の日付が1721年。つまり2021年はそれから300年目にあたります。その記念の翌年に日本の皆さまに全曲演奏をお聴かせできることはとても嬉しいです。私と『ブランデンブルク』との最初の出会いは2001年のサイトウ・キネン・オーケストラのコンサートでした。今井信子先生や古楽の名匠ワルター・ファン・ハウヴェ氏から教わったことは、今でもこの音楽作りの言語の一部です」 平崎にとってこの協奏曲集の魅力はどんなところにあるのだろうか。 「洗練されていて手が込んでいるということでしょうか。楽器の組み合わせも、音楽的な内容も実に多彩。バッハら18世紀中頃のドイツの音楽家たちはイタリアやフランスの音楽のスタイルから受けた影響を取り入れ、それを自分たちの音楽様式としました。この協奏曲も本当に様々な要素やイディオムが混ざっていて、まさに音楽の万華鏡。コンチェルト・ケルンとは2014年にCD録音を行い、その後欧州各地で全曲演奏会をしました。一晩で全曲となるとさすがに集中力、体力面ともに大変ですが、その分とてもやりがいがありますし、お客様にも充実した体験をしていただけると思います。 それから、バロック時代は器楽曲でも音楽を語るように演奏しました。様々な言語や方言があるように、演奏家も自分が学んだ場所や普段の活動で音楽の語り方が異なります。それは今回のアンサンブルにも言えることだと思います。皆さんどんなふうに語るのか、どんな演奏になるのか、私自身とても楽しみにしています」 バッハの名作協奏曲全曲を古楽の名手たちのライブで聴くまたとない機会であるとともに、新たな年の幕開けにふさわしいコンサートとなることだろう。鈴木大拙・西田幾多郎生誕150周年記念 全国共同制作 オペラ《禅》~ZEN~(世界初演)日本が誇る禅の奥深い世界を紐解く新作オペラ文:岸 純信(オペラ研究家) 海外の芸術家から「ZEN」の一語を聞くことが多い。「京都で座禅したわ」と教えてくれた大ソプラノもいた。日本文化の象徴として、禅の心は世界中で認められている。 来年1月に、金沢歌劇座で世界初演されるオペラ《禅~ZEN~》(作曲:渡辺俊幸、台本:松田章一)は、仏教学者の鈴木大拙と、彼の良き友人の哲学者、西田幾多郎の生誕150年を記念する一作。ドイツの指揮者で日本でもお馴染みのヘンリク・シェーファーとオーケストラ・アンサンブル金沢の演奏のもと、著名な邦人歌手たちが深遠なドラマに挑むという。2022.1/23(日)14:00 金沢歌劇座問 石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632 https://www.kagekiza.gr.jp他公演 2/6(日) 高崎芸術劇場(027-321-7300)中鉢 聡 今回まず注目すべきは、テノールの中鉢聡(大拙)とバリトンの今井俊輔(幾多郎)の顔合わせ。柔らかい声質に悲愴感を忍ばせる中鉢と、声の圧がびんびんと鳴り渡る今井の対話が、どのようなインパクトをもたらすか。大拙の妻ビアトリス役、コロン・えりかの涼やかなソプラノと、ビアトリスの母エマ役、鳥木弥生の濃密なメゾソプラノも対照的で面白そう。乞うご期待!

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