38愛知室内オーケストラ 特別演奏会ベートーヴェンの協奏曲や室内楽を名手オピッツとともに文:片桐卓也ゲルハルト・オピッツ ベートーヴェン ピアノ協奏曲 全曲演奏会12/27(月)、12/28(火)各日19:00 紀尾井ホール室内楽の夕べ12/21(火)19:00 愛知/三井住友海上しらかわホール12/22(水)19:00 浜離宮朝日ホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp ドイツの正統的ピアニズムを受け継ぐゲルハルト・オピッツ。2002年に結成され、着実に実力を上げてきた愛知室内オーケストラが、この年末に興味深い共演を果たす。 まずベートーヴェン「ピアノ協奏曲全曲演奏会」。2夜にわたって紀尾井ホールで行われる演奏会では、ベートーヴェンの5曲の「ピアノ協奏曲」だけでなく、作曲家自身が「ヴァイオリン協奏曲」を編曲した「ピアノ協奏曲 ニ長調」も演奏される。つまり6曲の協奏曲を2夜で聴くことができる。 第1夜(12/27)では第1番~第3番が、第2夜(12/28)では、ベートーヴェンの代表的傑作「皇帝」と並んで、その「ニ長調」と第4番の3曲が演奏される。2夜連続で聴けば、ベートーヴェンの協奏曲についてのアイディアの発展がよく分かるだろうし、オピッツの正統的なアプローチによって、それぞれの作品の個性も浮き彫りになる。両夜とも、指揮は名手揃いのオケ、ソロイスツ・ヨーロピアン・ルクセンブルクを率いるクリストフ・ケーニヒが務める。彼もドイツ(ドレスデン)生まれで、ヨーロッパの名門オケにも客演するなど活躍中。そのタクトで、実力派若手奏者を揃えた愛知室内オーケストラをどう導くか、楽しみである。 さらに、もう1つのコンサート「室内楽の夕べ」が企画された。モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスの室内楽を、オピッツと同楽団のメンバーが演奏する。世代を越えて、古典的名作を共演する両者の新鮮な音楽的対話に期待したい。愛知室内オーケストラアンサンブル・パルナス東京 演奏会 冬の星空バロックピリオド楽器で愉しむ後期バロックの巨匠たち文:笹田和人12/14(火)14:30 19:00 Hakuju Hall 問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 https://www.bflat-mp.com まさに“バロック音楽のエッセンス”と言えよう。国内外で活躍するピリオド楽器の名手で構成された「アンサンブル・パルナス東京」が贈るステージ「冬の星空バロック」。フランスのラモーからイタリアのヴィヴァルディ、イギリスで活躍したヘンデル、ドイツのバッハまで、同時代にありながら、まったく異なる輝きを放つ、星々のごとき佳品の数々を聴かせてくれる。 「アンサンブル・パルナス東京」は、コンサートマスターを務める川原千真やチェロの田崎瑞博ら、ピリオド楽器を駆使するアンサンブル「音楽三昧」やモダン楽器の弦楽クァルテット「古典四重奏団」で活躍するメンバーを軸に、チェンバロの能登伊津子も加わり、管弦と通奏低音の実力派奏者で構成されている。古楽器ならではの透明感のある響きと躍動感あふれるアンサンブルが持ち味。その名は、神話でアポロンとミューズの住処であり、たびたび芸術の題材となった山「パルナス(パルナッソス)」に由来する。 今回は、ラモーのオペラ・バレ「優雅なインドの人々」の抜粋で華麗に幕開け。当時の“最先端”だったヴィヴァルディの協奏曲では、入れ替わりで登場するソリストの饗宴を楽しむ。そして、旋律美と構成美を併せ持つヘンデル「合奏協奏曲」、2つのリコーダーとヴァイオリンが舞い踊るバッハ「ブランデンブルク協奏曲第4番」を披露。締め括りには、バッハのカンタータ第29番から、器楽のみで奏される「シンフォニア」を。もともとは無伴奏ヴァイオリン曲からバッハ自身が編曲した作品だが、田崎が本公演のために再編曲した特別な版で聴く。田崎瑞博能登伊津子川原千真
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