1183月の見もの・聴きもの2022年3月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場◎3月2、4、6日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/M.アルミリアート、演出/O.シェンク、出/N.ミナシアン、J.D.フローレス/J.ラヴェル(4日)、S.カイダロフ、M.キリア3月3、5日 プッチーニ:トスカ 指/M.アルミリアート、演出/M.ヴァルマン、出/E.スティヒナ、V.グリゴーロ、R.フロンターリ3月7、11、14、16日 R.シュトラウス:サロメ 指/T.グッガイス、演出/B.バルロク、出/W.アプリンガー=シュペルハッケ、C.マーンケ、J.ホロウェイ、J.ラングレン3月12、15、19、22日 モーツァルト:後宮からの誘拐 指/A.マナコルダ、演出/H.ノイエンフェルス、出/C.ニッケル、L.オロペーサ、R.ミューレマン、G.ユリッチ、D.ベーレ3月20、23、26、30日 ヴェルディ:リゴレット 指/M.アルミリアート、演出/P.オーディ、出/F.デムーロ、L.テジエ、V=L.ベッカー、E.ソロドフニコフ、M.ボヒネッツ★◎3月21、24、27、31日 ベルク:ヴォツェック[プレミエ] 指/P.ジョルダン、演出/S.ストーン、出/C.ゲルハーヘル、S.パニッカル、J.シュナイダー、D.ベロセルスキー、A.カンペウィーン・フォルクスオーパー3月1(19:00)、3(19:00)、7(19:00)、13(19:00)、23(19:00)、28(19:00)日 C.ポーター:キス・ミー・ケイト(ミュージカル) 演出/B.モットル3月2(19:00)、5(19:00)日 J.カンダー:キャバレー(ミュージカル) 演出/G.メーメルト3月6(19:00)、10(19:00)、12(19:00)、19(19:00)、22(19:00)日 ヴェルディ:椿姫演出/H.グラツァー3月11(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり校訂演出/H.ツェドニク3月14(19:00)、17(19:30)、21(19:00)、24(19:00)、30(19:00)日 レハール:微笑みの国 演出/B.ブランケンシップ★◎3月18(19:00)、20(19:00)、25(19:00)、29(19:00)日 J.ハーマン:ラ・カージュ・オ・フォール(ミュージカル)[プレミエ(20日)]指/L.C.アイヒナー、演出/M.キングウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(NPL)=ヘイズ・ホール[アーティス=ネイプルズ](ネイプルズ/アメリカ)、(BUD)=ベラ・バルトーク国立コンサート・ホール[ブダペスト芸術宮殿](ブダペスト)]◎3月1(20:00)(NPL)日 V.ゲルギエフ指揮ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、交響曲第2番 独/D.マツーエフp◎3月2(20:00)(NPL)日 V.ゲルギエフ指揮プロコフィエフ:ロメオとジュリエット〜モンターギュ家とキャピュレット家、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」◎3月18(19:30)、19(15:30)、20(11:00)日D.バレンボイム(p)指揮 モーツァルト:交響曲第25番、ピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」、交響曲第38番「プラハ」◎3月26(15:30)、27(11:00)、29(19:30)(BUD)、30(19:30)(KH)日 T.アデス指揮ベルク:管弦楽のための3つの小品、ヤナーチェク:タラス・ブーリバ、T.アデス:死の舞踏独/C.ストーティンMs、M.ストーンBrウィーン響[会場:(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MAD)=アウディトリオ・ナシオナル・デ・ムシカ(マドリード)、(TLS)=アル・オー・グラン(トゥールーズ)、(BB)=祝祭劇場(バーデン=バーデン)、(DTM)=コンツェルトハウス(ドルトムント)、(BER)=フィルハーモニー(ベルリン)](主要公演のみ)3月2(19:30)(MAD)、3(20:00)(TLS)、5(18:00)(BB)、6(18:00)(DTM)、7(19:30)(BER)日 A.オロスコ=エストラーダ指揮 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第7番 独/V.フラングvn◎3月12(19:30)(MV)、13(19:30)(MV)日P.ヘレヴェッヘ指揮 ベートーヴェン:コリオラン(序曲)、シューマン:チェロ協奏曲、ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 独/J=G.ケラスvc3月18(19:00)(KH)、20(11:00)(KH)日D.ロバートソン指揮 コルンゴルト:交響的序曲「スルスム・コルダ!」、D.エルフマン:チェロ協奏曲、ウィーベルン:パッサカリア(20日のみ)、ストラヴィンスキー:火の鳥(組曲/1919年版) 独/G.カプソンvc、司会/B.レット(20日のみ)◎3月23(19:30)(MV)、24(19:30)(MV)日J.マルヴィッツ指揮 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、シューマン:ピアノ協奏曲、ストラヴィンスキー:春の祭典 独/F.ピエモンテージp◎3月28(19:30)(KH)、29(19:30)(KH)日C.カリディス指揮 C.ペルペッサス:キリスト交響曲、ブルックナー:エサイの枝は芽を出し、シェーンベルク:ワルシャワの生き残り、バーンスタイン:チチェスター詩編、アイヴズ:答えのない問い 独/ウィーン少年合唱団員(ボーイソプラノ)、T.クヴァストホフ(語り)ムジークフェライン[楽友協会]大ホール[ウィーン](主要公演のみ)3月1(15:30)日 T.ベルグルンド指揮トーンキュンストラー管 バルトーク:管弦楽のための協奏曲 司会/A.ホスプ◎3月3(19:30)、4(19:30)、6(19:30)日 S.ビシュコフ指揮チェコ・フィル → 〔チェコ・フィル〕参照【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 2022年3月の注意点を一点。一昨年の欧州議会で、22年春以降、EU諸国ではサマータイムを廃止する法案が可決されたが、コロナの影響もあって各国の法整備が整わず、一体どの国がサマータイムを廃止するのか維持するのか、未だに決まっていない状態だという。3月に海外旅行がたやすくできるようになっているかどうかはわからないが、もしもそれが可能となっても、この各国バラバラ(かもしれない)サマータイム問題の成り行きには十分ご注意いただきたい。ちなみにEUを脱退したイギリスは従来通りサマータイムを実施する。 さて22年はイースター期間が4月に当たるため、関連の音楽祭は全て来月号の掲載となり、3月の公演内容は比較的おとなしい。本文に掲載した劇場に限れば、ざっと見て、ベルクの「ヴォツェック」プレミエが2劇場で出るというのがやや目立つ程度。1つはウィーン国立歌劇場。新音楽監督ジョルダンの指揮でゲルハーヘルのヴォツェックとカンペのマリーという手堅い人選。もう一つはパリ・オペラ座。こちらはスーザン・マルッキの指揮、W.ケントリッジの演出で、ヴォツェックはヨハン・ロイター、マリーはウェストブルックというやや渋いキャスティング。医師役で、今や大ベテランとなったシュトルックマンを起用しているのが何ともマニア心をくすぐりそうだ。その他のオペラでは、ティーレマンが指揮し、ストヤノヴァがアイーダ、メーリがラダメスを歌うドレスデン・ゼンパーオーパーの「アイーダ」(この内容を翌月のザルツブルク復活祭音楽祭で使わないというティーレマンの余裕にある意味ビックリ)、カタリーナ・ワーグナー演出の「ローエングリン」(ライプツィヒ歌劇場)、バルトリ出演、カプアーノ指揮という定番コンビの「アルジェのイタリア女」とダントーネ指揮のペルゴレージ「オリンピーアデ」(共にチューリヒ歌劇場)、今夏バイロイト音楽祭に女性初の指揮者としてデビューしたオクサーナ・リーニフがピットに入る「トゥーランドット」(ローマ歌劇場)、ビエイト演出のプロコフィエフ「炎の天使」(テアトロ・レアル)、ケント・ナガノが久々パリ・オペラ座(ガルニエ宮)に登場するバーンスタインの「静かな場所」、同じくパリ・オペラ座(バスティーユ)でマリアム・クレマンが演出するマスネの「サンドリヨン(シンデレラ)」あたりがプレミエ公演としては要注目。 プレミエでなくても、ヘンゲルブロック指揮の「フィガロの結婚」(バイエルン州立歌劇場)、ムソルグスキー/S.ネフスキーの合作作品「ボリス」(シュトゥットガルト歌劇場)、プレルジョカージュ振付・演出のリュリ「アティス」(ジュネーヴ大劇場)といったところは見落としたくない。 オーケストラ関係では、相変わらずラトルがロンドン響に出ずっぱりのスケジュール。その中で、エーベルレがベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で弾くカデンツァがイェルク・ヴィトマン作というのが興味津々。オーケストラそのものとしてはSWR響がクルレンツィス、メッツマッハー、ミンコフスキと指揮者を揃えて面白そう。そのメッツマッハーはNDRエルプフィルでエマールが独奏を務めるミュライユのピアノ協奏曲「世界の幻滅」、バイエルン放送響でリームの作品集と得意の現代曲を披露してくれる。ロト指揮のベルリン・フィルではオーボエ首席のA.マイヤーがバッハのオーボエ・ダモーレ協奏曲を吹くのが要注目だが、もう1人の首席であるJ.ケリーと共にここのオーボエはよくソリストに駆り出される。ロトの方は、イザベル・ファウストと共演するミュンヘン・フィルやレ・シエクルの演奏会も重要(後者の会場はパリのフィラルモニー)。同じくパリでのソヒエフ指揮ボリショイ劇場管やマケラ指揮のパリ管も要注目。その他、メータ(シュターツカペレ・ベルリン)、大野和士(バルセロナ響)、シャンゼリゼ劇場での豪華な企画演奏会「女性の音楽の歴史」(8日)も見落とせないコンサート。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
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