108CDSACDCDCD久石譲 presents MUSIC FUTURE Ⅴ/久石譲&ミュージック・フューチャー・バンド対話 Dialogus/青木洋也風に聴く 田中聰ギター作品集/大坪純平ガブリエル・フォーレ讃/東誠三&藤原亜美久石譲:2 Pieces 2020 for Strange Ensemble、Variation 14 for MFB/ジョン・アダムズ:Gnarly Buttons for Clarinet and Small Orchestra/ブライス・デスナー:Skrik Trio for Violin,Viola and Violoncello久石譲(指揮) ミュージック・フューチャー・バンド マルコス・ペレス・ミランダ(クラリネット)サンチェス:祝福され 尊ばれし/カザーティ:サルヴェ・レジナ(マリアの交唱)/チーマ:主よ お聞きください/シュッツ:主を喜びとしなさい/リッチョ:サヴォルディの歌/ローゼンミュラー:おお 主イエス・キリストよ あなたを讃えます/ツィアーニ:救い主のうるわしき母 他青木洋也(カウンターテナー) 栗原洋介 和田健太郎(以上サクバット) 角野まりな(ヴァイオリン) 新妻由加(オルガン)田中聰:サン・イルデフォンソの夜想曲、アルバム・リーフ、風に聴く、イントロダクションと野口雨情による3つの詩、楽園へ、ソングライン、ネイティヴ・ストーン、アランフェスの庭、デイブレイク、四季、スノードロップ/中山晋平(田中聰編):シャボン玉 他大坪純平 土橋庸人(以上ギター)小坂梓(ソプラノ) 神野文子(朗読)椿義治(サクソフォン)川島余里:フォーレ ランダム/大江千佳子:4月/服部隆之:習作/市川景之:夏のひざしに/ローラン・テシュネ:ポストリュード(後奏曲)/藤井一興:ル・モン・サン・ミシェル ピアノのための/野平多美:フォーレ讃 …の様式による/野平一郎:FAによる瞑想曲 他東誠三 藤原亜美(以上ピアノ)収録:2020年11月、よみうり大手町ホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00765 ¥3520(税込)コジマ録音ALCD-1207 ¥3080(税込)録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9039 ¥3080(税込)収録:2021年6月、東京文化会館(小)(ライブ)ソナーレ・アートオフィスSONARE1054 ¥1320(税込)久石譲はクオリティにもこだわった本格的クラシック路線で、幅広い聴衆の心をがっちりつかんできた。自作も含むミニマル・ミュージックを軸に構成される「ミュージック・フューチャー」のシリーズはすでに8回を数えるが、本盤は昨秋行われた第7回の模様。アダムズ作品が痛快だ。リズムパターンの反復の中にノスタルジックなジャズのテイスト、田舎の風景描写などが絶妙に織り交ぜられ、筆達者ぶりが楽しめる。デスナー作品はバロックから現代の様々な手法がロック風のノリでミックスされる。新作を含む久石の2作品もテイスト全開、最後は打楽器の刻むリズムに乗って陽気に明るく盛り上がる。(江藤光紀)限りなく美しく、親密な音楽の対話がここにある。16世紀に花開いたヴェネツィア楽派の、モンテヴェルディの影に隠れた知られざる作曲家たちの手になる、独唱による聖歌と器楽合奏曲。決して作曲技法が凝らされている訳ではなく、むしろシンプルだからこそ、純粋な祈りの心が具に伝わる。貴重な日本人カウンターテナーとして、バッハ・コレギウム・ジャパンなどでも歌う青木洋也の、温かくも透明感ある歌声。そして、やはり国際的に活躍する器楽の名手たちの魅力的な音色。作品が包含する魅力と美を、余さず掬い取る。特に、サクバット合奏と声の親和性の高さたるや、天上と人との「対話」を思わせる。(寺西 肇)田中聰の作品における独特の空気感。飾り気がなく親しみやすいシンプルなその相貌に接しては「癒やし」などという単語すら出てきそうだけれど、その研ぎ澄まされた音の配置はあらゆる選択肢の中から強烈な意志を以て余分を切り捨てた作家性とでも呼ぶべきものがあり、その匿名性と個人性、遠心性と求心性の混在が堪らない魅力を放つ。そんな田中作品を盛んに演奏してきた大坪純平によるアルバムが本盤だ。収録曲全16曲のうち4曲にはゲスト共演者が参加、中でも〈早春賦〉や〈浜辺の歌〉といった日本の唱歌を用いた「四季」では椿義治のサックスともども信じ難い清澄さが聴かれる。必聴。(藤原 聡)2021年6月に行われた、日本フォーレ協会創立30周年記念演奏会のライブ録音盤。収録されたのは8人の作曲家たち(川島余里、大江千佳子、服部隆之、市川景之、ローラン・テシュネ、藤井一興、野平多美、野平一郎)の新作ほか、いずれもピアノ作品。川島や大江のようにフォーレがかなり意識された作品もあれば、野平一郎のように完全に独自のスタイルでフォーレに敬意を表したものもある。なお、演奏は日本を代表するピアニストであり、フランスもので特に評価の高い藤原亜美、東誠三が担当。美しい音色と洗練された表現で各作品の魅力を引き出している。 (長井進之介)
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