eぶらあぼ 2021.12月号
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104CDCDCDHOME/ハンサム四兄弟様々な楽器のための協奏曲/延原武春&テレマン室内オーケストラ高崎芸術劇場 大友直人Presents T-Shotシリーズ vol.4 尾城杏奈 IN CONCERTJ.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲/田尻洋一加藤昌則:もしも歌がなかったら、そのうたは/シューマン:献呈/トスティ:マリア/グリーグ:君を愛す/チャイコフスキー:貴女を愛しています/サティ:ジュ・トゥ・ヴ/フランソワ/ルヴォー:マイ・ウェイ/モリコーネ:愛のテーマ/信長貴富:春/宮本益光:私の歌ハンサム四兄弟【宮本益光 与那城敬 近藤圭 加耒徹(以上バリトン)】髙田恵子(ピアノ)テレマン:ヴァイオリン協奏曲、リコーダー協奏曲、フルート協奏曲、ヴィオラ協奏曲、リコーダーとフルートのための協奏曲延原武春(指揮)テレマン室内オーケストラ村田佳生(リコーダー)森本英希(フルート)メトネル:「4つのおとぎ話」より第1番・第2番/ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲/ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3楽章/ショパン:24の前奏曲 他尾城杏奈(ピアノ)J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲田尻洋一(ピアノ)妙音舎MYCL-00011 ¥2750(税込)ナミ・レコードWWCC-7957 ¥2750(税込)オクタヴィア・レコードOVCX-00090 ¥3630(税込)BRAVO RECORDS BRAVO-10003 ¥3300(税込)オペラやコンサートで活躍する二期会が誇るバリトン4人組待望の1stアルバム。末っ子の加耒徹はロシア・オペラのアリアとモリコーネ・ナンバー、三男の近藤圭はグリーグの歌曲とシナトラ・ナンバー、次男の与那城敬はトスティとサティの歌曲、そして長男でまとめ役の宮本益光はシューマンの歌曲に信長貴富作品と、ソロではそれぞれにキャラクターの違う声の魅力を披露。4人で一緒に、作詞家としても活躍中の宮本と人気作曲家・加藤昌則のコラボ曲2作品+宮本の自作曲を歌っているのも聴きどころ。弟たちの歌声をイメージして長男が書き下ろした歌詞対訳もお楽しみに。(東端哲也)目の覚めるような一枚。テレマンの協奏曲5作、収録順に、鮮烈な技巧と峻厳な佇まい、森の陽光のような温かみと癒し、宮殿の内装を思わせる高貴さ、典雅にして豊麗な明朗さ、後世の交響曲のような雄大さとパワー…各曲が千変万化の魅力を見せる。テレマンがいかに各楽器に合わせて趣向を凝らした作品を書いたのかを実感。その気付きも延原武春と結成58年の手兵による名演あればこそ。ソロもオケも全曲とにかく秀逸というほかない。最後の“縦横”笛の協奏曲では予想外の壮烈さに思わず興奮。延原の緻密な研究の成果と、表現者としての情熱の結実。多くの人に体験してほしい。(林 昌英)昨年、第44回ピティナ特級グランプリを受賞し、その後の活発な演奏活動で注目を集めるピアニストの尾城杏奈のデビュー盤。一つひとつの音色を大切に響かせていることが伝わる、透明感のある音色で奏でられるのは、ラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲」にメトネルの「おとぎ話」、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」といった難曲。確かな技術をアピールしつつ、内面にあるものをしっかりと聴かせる表現力でも魅せる。さらに、技術に裏打ちされた多彩な表現は、ショパンの「24の前奏曲」でも輝いている。圧倒的充実度を誇るデビュー盤だ。 (長井進之介)「ツィクルス」に拘った体系的な取り組みで知られる、実力派ピアニストの田尻洋一。“鍵盤音楽の最高峰”たる「ゴルトベルク変奏曲」をチェンバロではなく、モダン・ピアノで演奏することは、「奏者自身による編曲」だと主張する。そのアプローチは、実に個性的。例えば、主題である「アリア」で楽譜に描き込まれた装飾を削ぎ落とし、第14変奏で印象的な長いトリルも、あえて単音で減衰に任せる。あるいは、単にバス声部の上に音を構築してゆくのでなく、和声を全体として捉え、その関係性を収斂させたり、逆に拡大したり…変幻自在に創意を凝らし、傑作へ新たな地平を切り拓く。(寺西 肇)SACD+DVD

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