eぶらあぼ 2021.11月号
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66角田鋼亮(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団楽都ウィーンにちなむ傑作にスポットを当てて文:山田治生第735回 東京定期演奏会〈秋季〉11/5(金)19:00、11/6(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp 気鋭の指揮者、角田鋼亮が日本フィルの定期演奏会に初登場し、意欲的なプログラムに取り組む。角田は現在、セントラル愛知交響楽団の常任指揮者を務め、同楽団でも凝ったプログラムの演奏会をひらいている。 日本フィルの11月の定期演奏会では「ウィーン」をテーマに、19世紀後半から20世紀前半に書かれた音楽が取り上げられる。注目はフランツ・シュミットの交響曲第4番。シュミットはウィーン音楽院の院長を務めるなど、20世紀前半のウィーンの音楽界の重鎮的存在だった。無調音楽の嵐が吹き荒れた20世紀前半においては保守的とのレッテルを貼られたが、いま聴き直すと、決して古臭くない。とりわけ、晩年に書かれた45分に及ぶ単一楽章の交響曲第4番は、半音階が多用され、調性感が曖昧になる箇所もあり、近年ルイージ&サイトウ・キネン・オーケストラやヴァイグレ&読売日本交響楽団が演奏するなど、再評価の気運が高まっている。第39回 横浜市招待国際ピアノ演奏会世界に開かれた横浜ならではのピアノ・ガラ、再開!文:笹田和人11/6(土)16:00 神奈川県立音楽堂問 横浜みなとみらいホール仮事務所チケットセンター045-682-2000https://mmh.yafjp.org/mmh/ http://yipc.yafjp.org 未来を担う若き才能を世界中から発掘し、広く紹介することを目的に毎年開かれてきた「横浜市招待国際ピアノ演奏会」。昨年予定されていた第39回は、コロナ禍を受けて延期に。満を持しての開催となる今年のステージには、この5月のルービンシュタイン国際ピアノコンクールで、日本人として44年ぶりの上位入賞、しかも歴代最高位の第2位を獲得したばかりの桑原志織ら、4人の新進気鋭のピアニストが登場する。 同演奏会は1982年、横浜市を拠点に活躍した世界的ピアニストで、後進の指導にも力を注いだ故・山岡優子の提唱によりスタートした。これまでに計28ヵ国から招かれた185人の俊英たちが、瑞々しい快演を披露。「世界各地で華々しく活躍する錚々たる顔ぶれは、この演奏会が果たしてきた役割の大きさを表している」と、企画委員長を務める国際的ピアニストの海老彰子は言う。 今回は、桑原がベートーヴェン「ソナタ第31番」とバッハ(ブゾーニ編)「シャコンヌ」で幕開けを飾る。そして、2015年のショパン国際ピアノコンクールで第3位となったアメリカのケイト・リウが、モーツァルト「ソナタ第8番」とショパン「バラード第1番」を。17年にルービンシュタイン国際ピアノコンクールで第2位となったルーマニアのダニエル・チョバヌは、ヤマハが開発した生演奏を忠実に再現するDisklavierTMシステムによるリモート出演で、ムソルグスキー「展覧会の絵」を披露。そして、18年に浜松国際ピアノコンクールを制したトルコ出身のジャン・チャクムルが、シューマン「クライスレリアーナ」でステージを締め括る。ケイト・リウ そのほか、神童と騒がれ、ナチスから逃れるためにウィーンからアメリカに渡り、ハリウッドの映画音楽で名声を博したコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲も取り上げられる。映画音楽を思わせるような部分もある聴きやすい名作。ヴァイオリン独奏を務める郷古廉は、ウィーンで学んだ次代を担う期待の星。演奏会の最初には、J.シュトラウスIIの名曲、ワルツ「ウィーンの森の物語」を同地の民族楽器であるツィター(独奏:河野直人)を交えて聴く。郷古 廉 ©Hisao Suzuki角田鋼亮 ©Hikaru Hoshiダニエル・チョバヌジャン・チャクムル桑原志織

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