55赤松林太郎ピアノリサイタル ~祈りの響き ラ・カンパネッラ~ 11/23(火・祝)14:00 東京文化会館(小)問 Ro-Onチケット047-365-9960 https://www.rintaro-akamatsu.com赤松林太郎(ピアノ)私の指の中にはオーケストラがある取材・文:伊熊よし子Interview 常にこだわりのプログラムで特有の世界を披露している赤松林太郎が、11月にリサイタルを開く。前半はドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、ワーグナー「ジークムントの愛の歌」、マーラー「交響曲5番よりアダージェット」、J.S.バッハ「シャコンヌ」の編曲版で、後半がリストだ。 「コロナ禍でさまざまな困難に遭遇するなか、自分にとって本当に大事なものは何かと考えた結果、多くのものをそぎ落とし、“音楽のために生きる”ことに心が決まりました。こういう時期でも大学で教えることを含め、室内楽も増え、幸いなことに多忙な毎日を送ることができています。そのなかでリサイタルのプログラムを熟慮し、リストをもう一度きちんと弾こうと思ったわけです」 リストは「孤独の中の神の祝福」「グノーの歌劇《ファウスト》からのワルツ」「慰め第3番」「ラ・カンパネッラ」という選曲。赤松は偉大なピアニストのミハイル・ヴォスクレセンスキー、フランス・クリダ、ジャン・ミコー、ゾルターン・コチシュらに師事し、演奏のテクニックのみならず精神性に大きな影響をおよぼすこと、また人間性を形成する上で大切なことなどを学んだ。 「とりわけクリダ先生からはリストの神髄を注ぎ込まれました。リストを演奏するのはもちろん大変で、“心・技・体”がそろっていないと弾けません。でも、私の血肉となっている作曲家ですので、今回は“わが血肉よ、リストで目覚めよ!”と思って弾きます(笑)」 赤松は子どものころからオーケストラのサウンドの中で育ってきた。前半に登場するのは、旋律がよく知られている作品ばかり。それらをピアノ1台で美しく響かせる。 「メロディを追いかけて聴いていただければと思います。“私の指の中にはオーケストラがある”と感じていますので、ピアノの魅力を通して聴き手へと届けたい」 そしてヨーロッパ留学時代にさまざまな土地で学び、その経験が蓄積され、いまや演奏が存在感を放つ肉厚なものとなっている。 「いまもヨーロッパの音楽家や音楽祭、音楽院などの関係者とは連絡を取り合っています。コロナ禍で海外での公演は延期となっていますが、夢は諦めないつもり。ヨーロッパでもマスタークラスを継続したいし、仲間たちとも再会したい。偉大な恩師から受けた教えを次世代へ伝えたいと考えていますし、自宅のスタジオから動画も発信したい。いまは音楽だけに真摯に対峙する生活で、それが私の生き方です。今回は一音一音を無駄にせず、心から音楽と向き合います」 熱く深く雄弁に語ることばから音楽への情熱がほとばしる。それが舞台で炸裂する。ヴォーチェ弦楽四重奏団 2021年日本ツアードビュッシーの秘曲や現代の響きを鮮やかに伝える文:片桐卓也 2018年以来3年振りとなる日本ツアーを行うフランスのヴォーチェ弦楽四重奏団。結成から15年を経て、彼らのプロジェクトはより多様さを増し、その演奏はウィグモア・ホールをはじめとする世界の著名な音楽ホールで求められている。今回のツアーはフランス音楽を中心としたプログラムで構成され、新しい世代を代表する弦楽四重奏団として、音楽的なルーツを共有するフランスの作曲家にどう挑むのかが注目される。 プログラムはドビュッシーの弦楽四重奏曲に加え、イヴ・バルメールのドビュッシーに捧げる新作、そしてドビュッシーが自作(!)の詩に作曲した知られざる歌曲集「抒情的散文」(バルメール編曲)プログラムA10/28(木)19:00 横浜市鶴見区文化センター サルビアホール(045-511-5711)10/29(金)18:00 武蔵野市民文化会館(小)(0422-54-2011)プログラムB11/4(木)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)(0570-55-0017)11/5(金)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(075-711-3231)http://www.tvumd.com ※公演によりプログラムは異なります。 ©Sophie Pawlakを、メゾソプラノの波多野睦美と共演する(別プログラムも有)。「抒情的散文」は管弦楽編曲版による録音が知られている程度で、ライブで聴くチャンスは極めて少ない。今回はバルメールの編曲による弦楽四重奏版で、繊細なドビュッシーの息づかいを目の当たりにすることができるだろう。
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