50高崎第九合唱団 第48回演奏会“音楽のある街”を象徴する伝統の「歓喜の歌」文:長谷川京介12/19(日)15:00 高崎芸術劇場問 高崎第九合唱団070-4455-2190 http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/ 1974年創立という長い歴史を持つ高崎第九合唱団(赤羽洋子団長)は、群馬交響楽団とともに、年末に欠かさず「第九」に出演してきた。昨年もコロナ禍で全国のアマチュア合唱団が開催中止に追い込まれるなか、合唱の人数を120名に減らし感染対策を万全にして公演を実現、伝統の灯を消すことはなかった。48回目となる今年も感染対策を徹底し、150名に増員して臨む。 指揮は、高崎芸術劇場芸術監督の大友直人が務める。大友は2013年から19年まで6年にわたり音楽監督として群響を率いた。また19年9月の高崎芸術劇場の開館記念コンサートでも群響、高崎第九合唱団とともに「第九」を演奏している。心を通い合わせた仲間たちとの息の合った共演は、再び聴衆を魅了することだろう。 ソリスト陣も豪華なメンバーが揃う。国内外の著名な指揮者やオーケストラとの共演に加え、ドレスデン国立歌劇場、トリノ王立歌劇場などへの出演で海外での評価も高い日本を代表するソプラノ森麻季。オペラや宗教曲を得意とし、深々とした芳醇な声で聴くものの心に感銘を残すメゾソプラノ小川明子。オペラをはじめ幅広い分野で活躍、宗教曲での評価も高いテノールの錦織健。アメリカ三大歌劇場のひとつ、シカゴ・リリック・オペラの所属歌手として多彩な役を経験、日本でも大活躍のバリトンの新星、大西宇宙(たかおき)。4人とも「第九」の歌唱経験が豊富であり、理想的な布陣と言える。今最も輝いている歌手たちが加わる「第九」は一段と華やかさを増し、コロナ禍を吹き飛ばす勇気を与えてくれるに違いない。芸劇リサイタル・シリーズ「VS」Vol.1 反田恭平 × 小林愛実日本の新しき名手2人が繰り広げるピアノ・バトル文:伊熊よし子12/8 (水)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 https://www.geigeki.jp 東京芸術劇場が新たなリサイタル・シリーズ「VS(ヴァーサス)」をスタートさせる。これは「ピアノ・デュオ(2台ピアノ)の演奏」によって2人の異なる個性を持つピアニストがそれぞれの表現力や感性、技術がぶつかり合うことで生まれる、ライブでしか味わえない熱狂的な空間を創造する新しいリサイタルで、予想することができない「衝突」を聴き手とともに体感しようという試みである。 記念すべき第1回に登場するのは、幼なじみの反田恭平と小林愛実。彼らが2台ピアノによる初共演に選んだのはモーツァルト、シューマン、ルトスワフスキ、シューベルト、ブラームスというプログラム。じっくり話し合って決めたというこの選曲は、耳になじみのある人気作品モーツァルトで開幕し、2人がどんな奏法、表現、解釈をするかをたっぷり堪能することができる。次いでシューマンの短い曲をはさみ、ルトスワフスキの変奏曲へとつなげる。これは演奏機会に恵まれている作品ではないが、「パガニーニの主題」がよく知られているため聴きやすい。後半は王道のシューベルトとブラームスが登場。2人の才能のぶつかりあい、作品のすばらしさを共有する思い、丁々発止の音のやりとりが存分に楽しめ、火花を散らすような瞬間に出会える。 反田も小林も幼いころからピアノと共にあり、反田はポーランド、小林はアメリカで研鑽を続けている。その成果が「VS」で炸裂、手に汗握る高揚感に満たされる。森 麻季 ©Yuji Hori小川明子錦織 健 ©大八木宏武(都恋堂)大西宇宙 ©Dario Acosta大友直人 ©Rowland Kirishima小林愛実 ©Karine Grace反田恭平
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