49青柳 晋 自主企画シリーズ リストのいる部屋 Vol.1612/17(金)19:00 Hakuju Hall問 ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530 https://susumusic.jp青柳 晋(ピアノ)ピアノ・ソナタの“最高峰”に対峙する取材・文:長井進之介Interview ソリストとしてはもちろん、室内楽奏者としても数多くの演奏家から厚い信頼を寄せられているピアニストの青柳晋。彼が2006年から毎年開催している自主企画リサイタル「リストのいる部屋」が第16回を迎える。リストを“ホスト”に据え、“ゲスト”作曲家を一人選びプログラミングするこのリサイタルだが、今年はゲストであるベートーヴェンの存在感が大きいプログラムとなった。中心となるのはピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」だ。 「ベートーヴェンの全ピアノ曲はもちろんですが、あらゆるピアノのレパートリーを見渡しても最高峰に位置する楽曲です。実際、今までに弾いてきた曲の中でも一番難しい。音楽的にも、技術的にも高いものが求められるのはもちろんですが、自分の“人間力”を試されているような気もして…。これをどこまで突き詰められるかやってみたいと思い、取り組むことにしました」 今回の公演ではほかにベートーヴェンの「バガテル」op.126、「遥かなる恋人に寄す」(リスト編曲版)が並ぶ。青柳は「ハンマークラヴィーア」を含めたこれらの曲を“人間讃歌”だという。 「『バガテル』は“取るに足らないこと”という意味ですが、あれだけのことを成し遂げてきた作曲家の最後のピアノ曲のタイトルがこれって凄いなと。シンプルな音階やアルペジオにすら哲学を込めているような人なのにこういうことができるというのは、ゆとりや包容力があり、どこか肩の力も抜けた、“人生の達人”のような人だなと思ったんですよね。 そして『遥かなる恋人に寄す』は、ベートーヴェンがのちの時代に与えた影響の大きさというものに思いを馳せて選びました。リストがピアノ独奏用に編曲していることはもちろん、この歌曲の最終曲の旋律はシューマンの『幻想曲ハ長調』に引用されています。時代と時代をつなぐ大きな存在だったんだなということを改めて感じますね」 昨年は自主レーベルを立ち上げリストの「巡礼の年 第1年『スイス』」をリリースした青柳。多彩な演奏活動に、毎年の「リストのいる部屋」の継続はもちろん、今後は新たなレコーディングを含め、様々なプロジェクトを計画中だという。 「今回『ハンマークラヴィーア』に挑戦してみたら、いろいろな曲が弾きやすくなったり、違う見方ができたり、よりピアノを弾くことが楽しくなってきました。様々な形で自分なりの表現をしていきたいですが、これまで歌曲の伴奏をする機会がなかったので、そういうことにも取り組んでいきたいですね」第516回日経ミューズサロンフランスの至宝 ジェラール・プーレ ヴァイオリン・リサイタル初演者直伝のドビュッシー、そしてクロイツェルへの意欲文:林 昌英 世界中から敬意を集める名ヴァイオリニスト、ジェラール・プーレ。83歳の現在も現役の名手である。母国フランスと日本の両方をほぼ均等に拠点としており、この状況下でも接する機会に恵まれているのは嬉しい。筆者は今年、アマチュア楽団との共演を聴けたが、無二の音色と表現、力みの無い美音が響きわたる様に心底感服させられた。 11月公演では、作曲家自身のピアノとジェラールの父ガストン・プーレのヴァイオリンで1917年に初演された傑作、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタを追求する。父親直伝の演奏と、作11/24(水)14:00 18:30 日経ホール 問 日経公演事務局03-5227-4227 https://stage.exhn.jphttps://stage.exhn.jp/stream/(アーカイブ配信)左:ジェラール・プーレ 右:川島余里品の誕生や初演にまつわるエピソードを語る対談(プーレ、共演ピアニストの川島余里、音楽プロデューサーの志風敦雄)が予定されている。さらに、ベートーヴェンの大作「クロイツェル・ソナタ」が取り上げられるのも注目だし、ほかにもスメタナの名品「我が故郷より」(2楽章制)や小品など、いずれもプーレならではの瑞々しい歌とセンスにあふれた至芸を体験できるだろう。©Ayane Shindo
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