55Music Program TOKYO シャイニング・シリーズVol.9 東京文化会館チェンバーオーケストラ若きツワモノが集まって高次元のアンサンブルを実現文:江藤光紀11/26(金)19:00 東京文化会館(小) 8/21(土)発売問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp このところ、国内の若手の成長ぶりが目覚ましい。あらゆるジャンルにひしめく実力派が、互いに共演のチャンスを捉えては切磋琢磨している。 この“ネクスト・ジェネレーション”の勢いをまるごと肌で感じられるのが、東京文化会館が主催するシャイニング・シリーズ第9回の東京文化会館チェンバーオーケストラ。東京音楽コンクールの入賞者をベースに2014年に結成されたが、同コンクールは03年にスタート、その規模を拡大しながら世界に知られるコンクールに育ってきた。つまり、今回の演奏会はいわば“若手人材の宝庫”からの選りすぐりが集まる場というわけなのだ。 実際、そのメンバー表を見ると、入賞後、さらに世界の著名コンクールに進出して名をなし、あるいはトップオーケストラで要職を務めるなど、第一線で活躍している奏者たちも多数参加している。また海外からの入賞組で、現在日本を拠点におく奏者も加わっており、この間の日本の音楽界の国際化も実感させられる。 今回も結成時からコンサートマスターを務める依田真宣(現・東京フィル・コンマス)をトップに、名手たちが綺羅星のごとく名を連ねている。さらにこれまでは指揮者を置かなかったが、三ツ橋敬子を指揮に迎えて管にまで編成を拡大し、大曲にチャレンジするのも見どころになる(ベートーヴェン「プロメテウスの創造物」序曲と交響曲第2番)。第6回のピアノ部門で優勝し、活動の幅を着実に広げている冨永愛子によるシューマンの協奏曲にも注目だ。 未来から吹いてくるフレッシュな風を体感せよ!依田真宣 ©大窪道治山田和樹、沖澤のどか(以上指揮) オーケストラ・アンサンブル金沢&仙台フィルハーモニー管弦楽団合同公演2マエストロ × 2オーケストラが生む極上の時間文:山田治生楽都の響 9/12(日)14:00 石川県立音楽堂 コンサートホール問 石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632 https://ongakudo.jp 石川県立音楽堂開館20周年を記念して、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)と仙台フィルハーモニー管弦楽団の合同公演がひらかれる。オーケストラが2つなら、指揮者も二人。世界で活躍する山田和樹と、次代を担う沖澤のどかが指揮台に立つ。二人はともに、小澤征爾が優勝したことでも知られるブザンソン国際指揮者コンクールで第1位を獲得している(山田が2009年、沖澤が19年)。今回の演奏会では、かつてOEKの指揮研究員であった沖澤と、定期的に仙台フィルに客演している山田がそれぞれ馴染みのオケを振る。 まず、OEKがご当地ドラマである『利家とまつ』のメインテーマを演奏。それに対し、仙台フィルは仙台とゆかりの深い大河ドラマ『独眼竜政宗』のメインテーマを奏でる。さらに続いてOEKは、室内オーケストラの定番であり、彼らの十八番でもあるプロコフィエフ「古典交響曲」を取り上げ、仙台フィルは、武満徹がテレビドラマ『波の盆』の劇伴を管弦楽曲にまとめた美しい作品を披露する。 コンサート後半の2曲は合同演奏。山田が指揮を執る、2群に分かれた弦楽合奏で演奏されるバルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」は興味津々だ。OEKと仙台フィルで2群に分かれるのであろうか。ラストは、沖澤の指揮で、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」(オルガン:黒瀬恵)。OEK、仙台フィル、そして石川県立音楽堂の独カール・シュッケ社製のパイプオルガンも加わった華麗な響きで締め括られる。冨永愛子三ツ橋敬子 ©Earl Ross沖澤のどか ©Taira Nishimaki山田和樹 ©Yoshinori Tsuru
元のページ ../index.html#58