54左より:津田裕也、白井 圭、門脇大樹 ©T.Tairadate浜離宮ランチタイムコンサートvol.207 トリオ・アコード10/28(木)11:30 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/トリオ・アコード(ピアノ三重奏団)名手揃いの同級生3人が奏でる濃密なアンサンブル取材・文:宮本 明Interview 好評の浜離宮ランチタイムコンサートにトリオ・アコードが登場する。白井圭(ヴァイオリン)、門脇大樹(チェロ)、津田裕也(ピアノ)。3人は東京藝術大学の同級生。トリオ結成も大学の授業がきっかけだった。実はその授業の最初の課題が、コンサートでも弾くベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番「幽霊」。ベートーヴェン・イヤーの昨年、トリオのデビュー盤にも収録した。白井「ベートーヴェンの新しい試み。ピアノ三重奏という編成でチャレンジしている作品です」津田「すごく生命力を感じます」白井「でも学生時代を思い返すと、指導してくださった故・ゴールドベルク山根美代子先生の印象が強いです。3人がそれまで聞いたこともなかったような言葉で音楽のことを説明してくださった。消化するのに必死でした」門脇「授業だなんて思ってなかったね」津田「熱意に圧倒されました」 プログラムは、ニ長調のベートーヴェンを受けて、後半にニ短調のメンデルスゾーンの第1番。あいだに武満徹の「ビトゥイーン・タイズ」を挟んだ。白井「メンデルスゾーンはオーソドックスだけれども、とてもバランスがよくて、美しいメロディに溢れているので、初めてコンサートにいらっしゃるというお客様も聴きやすいと思います」津田「武満は、移ろうような、美しい曲。3つの楽器の響きが溶け合って、新しい楽器の音が立ち上るような響きが印象的です」 ピアノ三重奏の一番の魅力はどんなところだろう。門脇「先ほどの山根先生が、ピアノ三重奏は実は二重奏だと教えてくださったのが印象的でした。ピアノの右手と左手をひとつのセットとすると、その右手の役割をするヴァイオリンと、左手の役割のチェロが、高音部と低音部で1セット。その2つのセットの二重奏だと。それを聞いて、この編成に対するイメージがすごく変わりました」白井「たとえば弦楽四重奏と比べると、ピアノが入ることで、よりシンフォニックになっていると思います。ピアノと弦楽器が混ざることで、いろんな可能性が生まれる編成です」門脇「今回のコンサートは、3つの楽器の親密なアンサンブルもあれば、各楽器に、ソロの見せ場もある。そんなピアノ三重奏のいろんな面も楽しんで聴いてもらえるはずです」津田「舞台上の音の会話を客席の皆さんと共有できたらいいですね」白井「リラックスして、浴びるように聴いてください。“わかる”とか“わからない”とかじゃなく、とにかく楽しく聴いてもらえたらうれしいです」第2回那須クラシック音楽祭 コンサート&アカデミー緑ゆたかな地で澄んだ空気と上質な音楽を満喫文:長谷川京介 那須クラシック音楽祭 コンサート&アカデミーは、那須エリアのホール、イベントスペース、宿泊施設等で、国内外の著名な演奏家が上質な音楽を提供する音楽祭。 第2回となる今年もバラエティに富んだ内容で開催される。初日9月11日のエルデーディ弦楽四重奏団に始まり、20日は地元のアマチュアとプロの奏者が集まる弦楽亭室内オーケストラによるベートーヴェン「田園」、23日はヴァイオリンと和楽器の篳篥(ひちりき)、地歌三味線のコラボレーション、25日は戸澤哲夫によるモーツァルトとベートーヴェン9/11(土)~10/3(日) 那須野が原ハーモニーホール、弦楽亭 他問 那須クラシック音楽祭実行委員会0287-76-7268 https://ncmf.site※音楽祭の詳細は上記ホームページでご確認ください。戸澤哲夫のヴァイオリン・ソナタ(ピアノ:小川由希子)、26日は新日本フィルのチェリスト4名によるチェロアンサンブル、10月2日は左手のピアニスト舘野泉と、フルートの山形由美、ヴァイオリンのヤンネ舘野の共演が予定されている。また10月2日、3日にはピアノアカデミーも行われ、白石光隆と鈴木直美が講師を務める。那須の自然や温泉、おいしい食事とともに楽しむ音楽は格別なものがある。舘野 泉 ©武藤 章
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