eぶらあぼ 2021.9月号
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44©Shahriyar Farshidアレクサンダー・ガジェヴ ピアノ・リサイタル9/8(水)19:00 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ)世界に羽ばたくピアニストのオール・ショパン・プログラム 取材・文:高坂はる香Interview 2015年浜松国際ピアノコンクールに優勝して注目を集めたアレクサンダー・ガジェヴ。その後18年モンテカルロ・ピアノ・マスターズで優勝、さらにこの7月、オンライン開催となったシドニー国際ピアノコンクールで優勝し、着々とキャリアを積んでいる。 1994年イタリア生まれ。両親ともピアノ教師で、父の手ほどきでピアノを始めた。19歳の頃ザルツブルクに留学してパーヴェル・ギリロフに師事、現在はベルリンのハンス・アイスラー音楽大学で学ぶ。 来たる10月には、ショパン国際ピアノコンクールへの出場も決定。その直前となる9月、ショパンの中期から後期作品によるリサイタルを行う。 「ショパンのより深い感情が表れた曲を選びました。新しい響きやアイディアを見据えた作品が中心で、時々ドビュッシーを先取りしたパッセージが聞かれます。そんなショパンの現代的な一面が好きなんです」 なかでも晩年の舟歌op.60、幻想ポロネーズop.61には心惹かれるという。 「理由は、自由になれる方法を多く示してくれるから。即興的に聴こえるけれどもちろんそうではないので、“自由”な精神を保ちつつより大きな意味を音楽に与えることが難しいです」 集中的にショパンに向き合うなか、新しい発見はあっただろうか? 「作曲法がバロックや古典派に深く根ざしていることに気づきました。彼の考え方はバッハやベートーヴェンの影響を強く受けていて、例えばピアノ協奏曲など、モーツァルトの精神と、ベートーヴェンの表現手法を用いて書かれていると感じます。 ショパンの音楽が伝えるメッセージは個人的で、彼の人間性に深く関わるもの。そのため譜面に書かれていることに時々矛盾を感じるかもしれません。それはある意味、楽譜の表記はすべてを表現するのに十分でないと言っているかのようです」 浜松国際ピアノコンクールの頃は二十歳だったが、当時から「音楽家は哲学者に近い」と話し、幅広い学問に関心を示していた。この1年半はパンデミックの影響で、生活にも変化があっただろう。 「興味深く特異な期間でしたね。その間、さまざまな分野、特に文学や哲学について知識を深めることができました。また和声、対位法、楽曲分析、即興、作曲を改めて学んだことは、音の世界をさらに探求するための新しいリンパのめぐりをもたらしてくれたと思います。 一方で最近求めたいのは、いかに物事をよりシンプルにしていくか。私はもともと複雑なことを好むのですが、“高貴なシンプルさ”の意味に気づきました」 日々学び、発展を遂げる26歳。少し久しぶりの来日で、どんな成長を見せてくれるのだろうか。Ensemble FOVE『ZINGARO!!!』新たなフィールドに踏み込む超越的なセンス文:江藤光紀 坂東祐大は芥川作曲賞(2015年)をはじめとする受賞歴を誇り、若手の中心的な作曲家として認知されているが、近年は現代音楽の枠を超えたユニークな活動を精力的に展開している。その核にあるのが、実力派アーティストを結集して立ち上げた「Ensemble FOVE(アンサンブル・フォーヴ)」だ。コンサートホールという場の固定化された向きあい方から音楽を解き放ち、新たなフィールドを創造する試みが、様々なプロジェクトに結実している。またEnsemble FOVEメンバーとともに宇多田ヒカル、米津玄師らのヒット作や劇伴に参加して9/12(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール問 SAFチケットセンター0570-064-939https://www.saf.or.jp©Natsu Tanimotoいるのも、その表現力が高く評価されているからに他ならない。 さて、そんな彼らがエキゾティックなロマ音楽を、刺激的かつ極上のエンターテインメントに仕立てたのが「ZINGARO!!!」だ。ジプシー・ヴァイオリンに想を得たクラシックの名曲をヴァイオリンの尾池亜美が自在に歌いまくり、メンバーたちが盛り上げていく。もともとはCDとして制作された企画だが、いよいよステージで繰り広げられるというわけだ。どんなアイディアが飛び出すか!?

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