48紀尾井ホール 2021年度主催公演より10月以降の注目公演巨匠レーゼルから葵トリオまで、濃い内容の聴きものがズラリ!文:山田治生問 紀尾井ホールチケットセンター webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp/lineup※ラインナップの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 紀尾井ホールの2021年秋以降の主催公演は、同ホールらしい演奏者とプログラムが並ぶ。紀尾井ホールで数々の名演を繰り広げてきた、ドイツの巨匠ペーター・レーゼルが、10月にコロナ禍を超えて(昨年5月に予定されていたが延期となった)フェアウェル・リサイタルをひらく。07年の紀尾井ホールでの初リサイタルと同じプログラムを再現。ハイドンの第52番、ベートーヴェンの第32番、シューベルトの第21番という、レーゼル十八番のソナタで別れを告げる(10/13)。 17年から紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)首席指揮者を務めているライナー・ホーネックが振るニューイヤー・コンサートもとても楽しみだ。ウィーン・フィルのコンサートマスターを長年務める彼が、どんなプログラムを披露するのか興味津々である(2022.1/21~1/23)。さらに、22年2月には首席指揮者としての最後のKCO定期に登場し、バッハの協奏曲でヴァイオリンを弾くほか、モーツァルト「リンツ」やベートーヴェンの交響曲第2番を指揮する(2/11, 2/12)。 11月のピョートル・アンデルシェフスキは、KCO定期に登場してモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き振りするほか(21.11/5, 11/6)、リサイタルではオール・バッハのプロを披露する(11/13)。 ラストもあれば、新たなスタートもある。新シリーズ「紀尾井レジデント・シリーズ」に、ミュンヘン国際音楽コンクール優勝の葵トリオが選ばれ、3年にわたり、紀尾井ホールとコラボレーションを行う。1回目は、シューマンとシューベルトのピアノ三重奏曲第1番のほか、リームの作品で新境地を披露(22.3/16)。左より:ペーター・レーゼル/ライナー・ホーネック ©Tomoko Hidaki/ピョートル・アンデルジェフスキ ©Simon Fowler/葵トリオ ©Nikolaj Lundクラシック音楽が世界をつなぐ ~輝く未来に向けて~日本の音楽界を元気に! 全国規模のプロジェクトが実現文:編集部9/3(金)~12/25(土)問 クラシック音楽が世界をつなぐ広報事務局03-6220-3367 info@office-forte.com 一般社団法人日本クラシック音楽事業協会は今秋、親しみやすい名曲を優れた演奏で全国各地の聴衆に届けるとともに、コロナ禍で疲弊したクラシック音楽界の活性化を図る音楽プロジェクトを実施する。同協会は、音楽マネジメント会社やホール・劇場、出版・放送など、クラシック音楽に関わる95の事業者が加盟する業界組織。クラシック界が総力を結集し、指揮の広上淳一やピアノの仲道郁代ら、日本を代表する人気アーティストが顔を揃えるゴージャスなコンサートを作り上げる。沖縄から北海道まで10の地域をめぐる全19公演は、大ホールと小ホール用の2つの企画に大別される。前者は特別編成のスーパー・オーケストラやトップソリストが出演する「華麗なるガラ・コンサート」。後者は、今年没後50年のストラヴィンスキー「兵士の物語」や没後100年のサン=サーンス「動物の謝肉祭」を中心とするプログラム。 昨年度、公演数で前年比約55パーセント、観客動員数で70パーセント減という深刻な打撃を受けた日本のクラシック音楽興行。同協会は昨年来、公演自粛を要請する国に対し、他業界に先駆けて補償を求める要望書を提出。また独自の科学的検証に基づく感染対策ガイドラインを策定し、イベント制限の緩和に結びつけるなど、コロナ禍に伴う諸問題に先進的に取り組んできた。いまだ出口の見えない窮状のなか、このプロジェクトは、全国に良質な生の音楽を提供するとともに、苦しむアーティストたちに演奏機会を創出する、直接的な取り組みとなる。 音楽の力、文化芸術のエネルギーが、コロナ禍でのさまざまな分断や疑念、閉塞感に苛まれる現況を打破する一助となることを信じたい。仲道郁代 ©Kiyotaka Saito広上淳一 ©Greg Sailor
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