eぶらあぼ 2021.8月号
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46藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団邦楽器とのコラボ&迫力のロシア音楽――響きの多様性を探る文:飯尾洋一第344回 定期演奏会 9/3(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp 東京シティ・フィルの第344回定期演奏会に登場するのは首席客演指揮者の藤岡幸夫。邦人作曲家による2曲の協奏曲とショスタコーヴィチを組み合わせた意欲的なプログラムが組まれた。曲は千住明の「月光 ―尺八、十三弦とオーケストラの為の―」、大島ミチルの「箏と尺八のための協奏曲 ―無限の扉―」、そしてショスタコーヴィチの交響曲第5番。ソリストは箏を遠藤千晶、尺八を藤原道山が務める。 遠藤はかねてより箏とオーケストラによる協奏作品に挑んできた箏曲演奏家。藤岡とはこれまでにも共演を重ねており、今回の千住作品と大島作品はレコーディングも行っている。邦楽器とオーケストラの組合せが、新鮮でありながらもどこか親しみを覚える豊麗なサウンドを作り出す。しかも今回は両作品とも箏に尺八が加わる二重協奏曲となっており、表現力は多彩だ。箏と尺八にオーケストラの洗練されたサウンドが融合してまぎれもなく日本的な情緒を醸し出す千住明の「月光」、伝統的な3楽章構成のなかに清新でみずみずしい楽想が盛り込まれた大島ミチルの「無限の扉」。ともに予備知識なしで存分に楽しめる作品である。 ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、この作曲家の最大の人気作。さまざまな解釈が可能な問題作であるが、巨大なエネルギーを内包する音楽であることは疑いがない。藤岡と東京シティ・フィルが一体となって、熱い音のドラマを築き上げてくれることだろう。遠藤千晶 ©諸永恒夫「マリコとオペラ!」 ~作家 林 真理子のトークコンサート~ことばを紡ぐ達人たちが名曲の魅力を解き明かす文:東端哲也9/12(日)14:00 やまと芸術文化ホール(大和市文化創造拠点シリウス内)問 やまと芸術文化ホール チケットデスク046-263-3806 https://www.yamato-bunka.jp/hall/ クラシック音楽に造詣が深く、三枝成彰作曲の歌劇で台本を手掛けるなどオペラ“通”としても知られる人気作家・林真理子が、オペラの魅力や醍醐味をトークと演奏で届けるコンサート。すでに各地で好評を博している企画で今回は神奈川県大和市に登場。ナビゲーター役の浦久俊彦以下、日本を代表するテノールの望月哲也、近年活躍めざましいソプラノの小林沙羅、そして歌手からの信頼も厚いピアニストの河野紘子と、不動の豪華出演陣でも話題を集めている。 プログラムは4部構成で、第1部「林真理子さんが語る~本とオペラのある人生」ではプロの“書き手”ならではの深い内容のトークに、オペラをまだ観たことのない初心者から熱心なマニアまで魅了されること間違いなし。また第3部のクロストーク「オペラに生きる人たちとの対話」では、もしかしたら思いがけない爆弾発言なども飛び出すかも。もちろんプッチーニの名曲を中心とした歌のコーナーも充実。《トゥーランドット》の〈誰も寝てはならぬ〉では男声ユニット、IL DEVUの時とはまたひと味違う望月のヒロイックな歌唱に期待。そして6月に第2子を出産したばかりの小林にとっては“おかえりなさい”ステージ(※産休後初ではないが…)となる《ジャンニ・スキッキ》からの〈私のお父さん〉にも大注目だ。そしてこの二人による《ラ・ボエーム》第1幕からの甘く美しい二重唱に心ゆくまで酔いしれてほしい。いざ、めくるめくオペラの世界へ!藤原道山藤岡幸夫 ©上野隆文左より:林 真理子/小林沙羅 © NIPPON COLUMBIA/望月哲也 ©FUKAYA Yoshinobu/河野紘子/浦久俊彦 ©新津保建秀

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