42アンガス・ウェブスター(指揮) 東京交響楽団新鋭アーティストの共演に期待がつのるステージ文:林 昌英東京オペラシティシリーズ 第123回9/4(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp 演奏会における新しい才能との出会いは、大きな楽しみのひとつであり、場合によっては将来語り草になるような体験にもなり得る。そんな期待がふくらむのが、9月の東京交響楽団公演。なんと今年22歳の指揮者が、17歳のピアニストと共演する。これほどに「フレッシュ」な公演もなかなかないのでは。 指揮者は1999年生まれのアンガス・ウェブスター。イギリスのコーンウォール育ち、バーミンガム王立音楽院で学び、2018年パヌラ国際指揮者コンクール最高位受賞、エサ=ペッカ・サロネンの薫陶を受けてアシスタントも担当。この夏にはロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管とのブラームス等の映像(無観客収録)が公開されるなど、世界的な期待を集める俊英だ。今回の日本楽団デビューは、フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番、シューマンの交響曲第2番と、幅広い名曲プログラム。特にシューマンのロマンと情熱がこの上なく込められた傑作シンフォニーで、若きマエストロがどんな鮮烈な演奏を聴かせてくれるのか。映像でのしなやかかつ堂々たる指揮ぶりを見るにつけ、期待がつのる一方だ。 ピアノは2004年生まれの奥井紫麻。10歳でスピヴァコフ、12歳でゲルギエフと共演、世界の名ホールで演奏するなど、すでに別格の経験を重ねている。現在はモスクワのグネーシン特別音楽学校で学び、ロシアを中心に活動。日々さらに成長中の逸材が、モーツァルトの温かい名作で、格別な美音と音楽性を披露してくれるはず。トッパンホール ランチタイムコンサート Vol.111 サマースペシャル選ばれし若き精鋭たちが挑むドヴォルザーク文:片桐卓也8/24(火)12:15 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com これから日本の楽壇をリードしていく若手演奏家が、それぞれの現在の実力を聴かせてくれるトッパンホールの名物企画「ランチタイムコンサート」も111回目を迎える。夏のスペシャル企画として、特別に編成されたアンサンブルがドヴォルザークの傑作「ピアノ五重奏曲(op.81)」を披露する。「ランチタイムコンサート」に出演経験のある東亮汰(ヴァイオリン)、田原綾子(ヴィオラ)、佐山裕樹(チェロ)、原嶋唯(ピアノ)の4人に、今回が「ランチタイムコンサート」デビューとなる菊野凜太郎(ヴァイオリン)を加えた演奏だ。それぞれのフィールドで活躍を始めている5人が顔を合わせるチャンスも少なくなりそうな予感がするので、今回は貴重な機会となるだろう。 トッパンホールのプログラミング・ディレクターを務める西巻正史が広報誌に寄せた言葉をあえて引用すれば、最近のドヴォルザークの室内楽の演奏は「まるでド派手な最新鋭のポルシェに乗って、素朴なボヘミアの田舎を爆走するような演奏ばかり」と感じることが多いそうだが、確かにそれではドヴォルザークの音楽が持っている土の香りは漂ってこない。もう一度、作品の原点に立ち返って、その音楽の魅力をこの若い5人が探った時に、どんな風景が広がるのか、とても楽しみだ。 通常「ランチタイムコンサート」は無料だが、今回は特別に有料公演(トッパンホールクラブ会員は無料、要予約)である。人気公演なので、ご予約はお早めに!東 亮汰奥井紫麻 ©Takahiro WATANABEアンガス・ウェブスター田原綾子 ©Hisashi Morifuji佐山裕樹原嶋 唯菊野凜太郎 ©Ryu Matsuda
元のページ ../index.html#45