Informationセイジ・オザワ 松本フェスティバル8/21(土)~9/6(月) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)、松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)、まつもと市民芸術館 他オーケストラ コンサート Aプログラム(鈴木) 8/28(土)17:00、8/29(日)15:00オーケストラ コンサート Bプログラム(デュトワ) 9/3(金)19:00、9/5(日)15:00キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)問 セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会0263-39-0001 https://www.ozawa-festival.com※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。©Marco Borggreve31鈴木雅明 Masaaki Suzuki/指揮軸となる。 「ソリストクラスが集まったオケの表現力を生かせる、(要望された)2管編成の曲の中から、ベートーヴェンほど皆が演奏せず、ブラームスのように小澤さんのレパートリーを侵食することもない名作ということで選びました。ロマンティックな旋律と独特の和声があって、終楽章の主題など単純なのにあまりに感動的です。それと同時に構成的には緻密─特に第2、3楽章─で、そこが魅力でもあります。シベリウスを振るのは初ですが、タピオラ・シンフォニエッタと共演・録音したこともあるので、フィンランド人の大らかさも多少わかっていますよ」 前半は、初日がモーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》序曲と交響曲第29番、2日目がメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」。 「モーツァルトの2曲はとても好きな作品で、この組み合わせは何度もやっています。ニ短調からニ長調に至る劇的な序曲の後に、イ長調交響曲の抒情的な始まりがすごく合います。『夏の夜の夢』は小澤さんの素晴らしい録音が頭にありました。メンデルスゾーンの中でも魅力的な曲の一つで、音楽のコントラストがあり、シンプルながらよく出来ている。それにメンデルスゾーンは常にノーブルで、対位法的にも優れています」 今回の4曲はすべてSKO史上初の演奏。両公演ともに聴きたいとの思いひとしおだ。なお、鈴木は「ふれあいコンサートI」(8/22)にも出演し、白井圭(ヴァイオリン)とオール・バッハ・プログラムを披露する。 「このフェスティバルとも小澤さんとも直接的な接点はなかった」と話す鈴木雅明だが、間接的な関係は浅くない。 「1997年東京オペラシティ コンサートホールのオープニングの小澤さんとSKOによる『マタイ受難曲』が、その後同ホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)と毎年『マタイ』を演奏している私としては、特に印象深いですね。また2011年大震災直後のカーネギーホールでのジャパン・フェスティバルに、ディレクターの小澤さんがBCJを呼んでくれたことにも感謝しています。さらに齋藤秀雄先生には、弟(鈴木秀美)をはじめ仲間たちが大変お世話になっていますし、BCJの弦楽器もみな桐朋学園の出身。SKOのメンバーにも知り合いが多いので、周囲との接点は少なからずあります」 SKOは「東京公演や放送で耳にしている」が、振るのは「未知の領域」だと語る。 「凄い音が鳴り響くスーパー・オーケストラ。ただ、どうなるのかまったくわからないので、特別な準備はせずに臨もうと思っています」 彼はむろん古楽界の泰斗だが、近年はモダン・オケでの活躍も際立っている。 「2009年頃から海外の楽団を多く指揮し、日本では去年から急に増えました。実を言うと、客演の場合はモダン・オケの方がやりやすい。多様なゲストに慣れていて、目の前の演奏会に対応する瞬発力がありますから」 そもそも古楽・モダンのカテゴライズには否定的だ。 「モダン楽器で『古楽風に弾いてみました』というのはやめた方がいい。音楽は一人ひとりに帰属するもの。バッハとヘンデルにも違いがありますし、作曲家の様式も演奏家の様式もあります。その意味では古楽も何もなく、オケと自分と作曲家の間で何が起き、音楽をどう作っていくかが重要だと思います」 今回は2公演ともにシベリウスの交響曲第2番が音楽に古楽もモダンもありません
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