88CDCDCDティンパニ作品集 Vol.2:コンチェルト/上野信一ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」&第21番「ワルトシュタイン」/久元祐子チャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/周防亮介&飯森範親&日本センチュリー響プーランク ヴァイオリン・ソナタ/佐原敦子&山田武彦テーリヒェン:ティンパニとオーケストラのための協奏曲 作品34/フィッシャー(レスニック抜粋編曲):8つのオブリガート・ティンパニのための交響曲/西村朗:ティンパニ協奏曲 5人の打楽器奏者とティンパニ独奏のための/クラフト:ティンパニ協奏曲第1番上野信一(ティンパニ) 大瀧拓哉(ピアノ) 悪原至 高口かれん 伊藤すみれ(以上マリンバ/打楽器) 渡辺睦樹(電子オルガン) 他ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」、同第21番「ワルトシュタイン」、アンダンテ・ファヴォリ、エリーゼのために/チャイコフスキー:10月 秋の歌/グリーグ:アリエッタ久元祐子(ピアノ)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調/メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調周防亮介(ヴァイオリン)飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団プーランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ/レントヘン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジー/ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第9番「クロイツェル」/アルベニス(クライスラー編):スペイン 第2曲 タンゴ佐原敦子(ヴァイオリン)山田武彦(ピアノ)コジマ録音ALCD-7263 ¥3080(税込)収録:2020年11月、紀尾井ホール(ライブ)マイスター・ミュージックMM-4092 ¥3300(税込)オクタヴィア・レコードOVCL-00749 ¥3520(税込)BRAVO RecordsBRAVO-10001 ¥3300(税込)上野信一、ソロ作品集に続いての協奏曲作品集。ここでも冴えたリズム感と多彩な音色を現出させる手腕は健在、それが分かり易く提示されているのはフィッシャー/レスニックによる8つのオブリガート・ティンパニのための交響曲。これを上野はペダル操作で音程を変化させられる現代ティンパニによって4台で演奏しているが、ここでの音程と音楽の流れは完璧。西村朗の協奏曲では金属/木質打楽器を演奏する5人の打楽器奏者との共演だが、ここで創出される唯一無二の独特な音響は非常に面白く、これは西村そして上野ならではの世界か。エレクトーンの効果が目覚ましいクラフト作品も必聴。(藤原 聡)本作は、ベーゼンドルファー社が久元祐子のために制作したピラミッドマホガニーの280VCのお披露目コンサート(2020年11月12日、紀尾井ホール)のライブ録音である。ベートーヴェンの「悲愴」「ワルトシュタイン」のソナタ、アンコールで演奏された「エリーゼのために」やチャイコフスキーとグリーグの小品も収める。深く伸びる低音のバス、温かな中音域の旋律を、久元は楽器との対話を慈しむように奏でる。「ワルトシュタイン」終楽章は、ほかのどの楽器・奏者の演奏でも耳にしたことのない、幻想的な響きの交錯と重厚な奥行きとを聴かせる名演である。 (飯田有抄)20代半ばの俊英・周防亮介のコンチェルト・デビュー盤。周防は音程が清潔で、技巧も完璧。自然体でしなやか。チャイコフスキーは冒頭から美しい歌に溢れている。特に第2主題以降で、耽溺詠歎調にならないのが好ましく、魅かれる。カデンツァの高音の凛とした伸び、重音のさりげない美観など、センスの良さが光る。緩徐楽章でも繊細な歌いまわしが続く。終楽章は一転激しい疾走と追い込みとなり、飯森範親と日本センチュリー響の木管との絡みや響きの濃淡をつけながらの高揚は感動的だ。メンデルスゾーンでも爽やかな歌、緩急自在なカデンツァ、生き生きと躍動するリズムなど、とても良い。(横原千史)クァルテット・レオーネによる、さる現代作品をフィーチャーした鮮烈なアルバムは、筆者にとって未知の団体であったがゆえに一層深く印象に残ったのだが、そこでトップを弾いていたのが佐原敦子。本盤のキレ味にも得心した。全体的にアップテンポで攻める山田武彦のピアノに、生き生きと応答する中から彼女の個性が浮かび上がってくる。それはプーランクではほんのりとした色気、ベートーヴェンでは気高い力強さ、アルベニスでは愉し気な懐古調となって音楽に生気を与える。ライフワークとして取り組んでいるユリウス・レントヘンは、ロマン派後期から今世紀にかけて活躍した作曲家。彼の無伴奏曲も佳作だ。(江藤光紀)SACD
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