eぶらあぼ 2021.7月号
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26 音楽はコロナに負けない! 10〜12月、京都コンサートホールで開催される「The Power of Music〜いまこそ、音楽の力を〜」全4公演は、音楽を通して京都から世界へ希望と祈りを発信するコンサート・シリーズだ。 「どんな形でも音楽を続ける」──昨年の最初の緊急事態宣言による活動自粛のあと、京都コンサートホール館長である指揮者・広上淳一が示した強い姿勢がシリーズ企画のきっかけになった。4公演にはいずれも、「コロナに屈しない」という強いメッセージが、それぞれの形で込められている。 シリーズの最初の2つのコンサートは、100年前に世界を襲ったスペインかぜ(インフルエンザ)のパンデミックの時期に生まれた作品にスポットを当てる。感染症だけでなく、第一次世界大戦やロシア革命も重なった重苦しい時代を、当時の音楽家たちはどのように捉え、それをどのように創作に反映させたのかを追体験するコンセプトだ。 初回は「ラヴェルが幻視したワルツ」(10/2)。ラヴェルのちょっといびつなウィンナ・ワルツを軸に(2台ピアノ版)、同時代にシェーンベルクやウェーベルンが室内楽編成に編曲した、こちらもなかなか“曲者の”シュトラウス・ワルツなど、スパイスの効いた多彩なワルツをプログラミング。「ラ・ヴァルス」のスコアに散りばめられたワルツの素材を取り出して再構成すると、はたしてウィンナ・ワルツになるのかという前代未聞の試みにも興味津々(三ッ石潤司作曲)。この公演の監修を務める音楽学者・伊東信宏によるレクチャーもあり、面白くてためになりそうな内容。石上真由子(ヴァイオリン)、若林かをり(フルート)ら名手10人が登場。 つづく第2弾は「兵士の物語」(10/16)。同曲は、今年没後50年のストラヴィンスキーが小編成の劇団を組んで各地を巡業しようと目論んだものの、スペインかぜの感染拡大で断念したという因縁を持つ舞台作品。相愛大、同志社女子大、神戸女学院大、大阪音大、大阪芸大、京都市芸大、大阪教育大の、関西7つの音楽系大学の奏者たちによるアンサンブルを広上が指揮する。厳しい現状のなか、夢をあきらめずに音楽の道を進む明日の音楽家たちへのエール。人気狂言師・茂山あきらの朗読も楽しそうだ。 海外からはゲルハルト・オピッツのブラームス・プログラム(11/13)。ブラームスはオピッツの十八番。昨年も同ホールはベートーヴェン・プロでオピッツの招聘を予定していたがコロナの影響で断念。今年こそはコロナを乗り越え、ミュンヘンから無事に巨匠を迎え、十八番のブラームス・プロを届けるという強い思いがこもる。この公演にも、京都ゆかりの若い奏者たちがフィーチャーされる。ピアノ五重奏曲での「クァルテット澪標(みおつくし)」との共演が実現。オピッツも日本の若手との交流を快諾。 フィナーレは、オルガンとハンドベルによるクリスマス・コンサート(12/4)。出演は日本のオルガン界をリードする大木麻理と、世界的活躍をみせる、きりく・ハンドベルアンサンブル。聖歌やキャロルなどのおなじみのクリスマス・ナンバーからバッハの復活祭のカンタータまで幅広いプログラムを披露する。祈りの先の復活や希望の光を見据えて、私たち聴き手も、コロナに屈することなく、音楽の力を信じ、音楽とともにありたい。京都コンサートホール 特別シリーズ(全4公演)The Power of Music〜いまこそ、音楽の力を〜ラヴェルが幻視したワルツ 10/2(土)京都コンサートホール presents 兵士の物語 10/16(土)オピッツ・プレイズ・ブラームス 11/13(土)各日15:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ京都コンサートホール クリスマス・コンサート12/4(土)15:00 京都コンサートホール問 京都コンサートホール075-711-3231https://www.kyotoconcerthall.org/powerofmusic2021/*発売日などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。京都発、世界を元気にするコンサート今秋開催決定!文:宮本 明京都コンサートホール 大ホールアンサンブルホールムラタ

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