80SACDCDCDCDマーラー:交響曲第7番 ホ短調 「夜の歌」/ペトレンコ&バイエルン国立管マラン・マレー『異国組曲』/アンサンブル・マレッラブラームス Neue Bahnen/三原未紗子悪あくはら原至×打楽器 Ⅱマーラー:交響曲第7番 ホ短調 「夜の歌」キリル・ペトレンコ(指揮)バイエルン国立管弦楽団マレー:ヴィオール曲集第4巻「異国組曲」/ドゥ=ヴィゼ:テオルボ前奏曲、ギター前奏曲アンサンブル・マレッラ【エマニュエル・ジラール ローラン・デュブランシェ(以上ヴィオラ・ダ・ガンバ) セバスティアン・ドセ(チェンバロ) ティボー・ルッセル(テオルボ/バロック・ギター)】 神谷未穂(ヴァイオリン)ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番、子守唄(A.コルトー編)、2つのラプソディ、ワルツ第15番三原未紗子(ピアノ)アンナ・イグナトヴィッチ:トッカータ マリンバのための/J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番BWV1001、シャコンヌ/加藤昌則:フロフレイマ ヴィブラフォン・ソロのための/クセナキス:オコ 3台のジャンベのための 他悪原至(打楽器)浅原由香(オーボエ)新野将之 曲淵俊介(以上ジャンベ)BSOrec/ナクソス・ジャパン収録:2018年5月、ミュンヘン(ライブ)NYCX-10223 ¥3300(税込)ナミ・レコードWWCC-7941 ¥2750(税込)オクタヴィア・レコードOVCT-00182 ¥3520(税込)コジマ録音ALCD-7262 ¥3080(税込)完璧主義・芸術至上主義を貫くペトレンコの名に恥じない、これは恐るべき完成度で仕上げられた演奏だ。高密度・大画面の映像を観るかのように、マーラーの音楽世界が鮮やかに立ち上がり、伸び伸びと呼吸して、息もつかせない迫力でクライマックスへと進んでいく。彼の交響曲の中ではぱっとしない不名誉な地位に甘んじてきた曲だが、このような解釈で聴かせられれば文句なしの名曲と言いたくなる。いや、これは交響曲というよりもはや極上の映画音楽と言ったほうがいいかもしれない。ジャンルのもつ解釈の因習を感じさせず、ごく最近書かれた曲であるかのように斬新に鳴っているのだから。(江藤光紀)フランスの名手が集うピリオド楽器グループによるマレーのヴィオール曲集。日本でも活躍するジラールのヴィオラ・ダ・ガンバを主体に、優雅かつ濃密な演奏が繰り広げられる。特に、マレーの26曲が調性等を鑑みて「聴きやすい進行となる様に」(ジラール)並べられ、長い2曲の前にドゥ=ヴィゼのテオルボ&ギター前奏曲が置かれるなど、工夫された構成が光っている。有名な「サント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘」も、神谷未穂のヴァイオリンを加えて収録。これはとりわけ聴き応え十分だ。フランス・バロック&マレー独特の世界を満喫できる好盤。 (柴田克彦)「君の音はブラームスに似合う」。ベルリンおよびザルツブルク留学時代の師匠ジャック・ルヴィエよりその一言をかけられた三原未紗子。果たしてその言葉通り、彼女の演奏は2019年ヨハネス・ブラームス国際コンクールピアノ部門第1位に輝いた。本作『Neue Bahnen(新しい道)』はそんな三原のデビュー盤。ソナタ第3番は重厚さと輝かしさを兼ね備えたタッチで、構築力ある作品の世界を丹念に描き出す。「2つのラプソディ」は抑制の効いたバランス感覚で、スケールの大きな音楽作りを実現する。誠実な解釈によってブラームスの魅力を存分に伝える一枚。 (飯田有抄)新進気鋭のマルチ打楽器奏者、待望の第2弾。父親の死に直面した自身のドラマをマリンバの音色の変容で描いたかのような現代作曲家イグナトヴィッチの作品から、国立音大大学院時代より思い入れあるクセナキスのアンサンブル作品まで魅惑の選曲。浮かんでは消える雪の結晶を思わせる加藤昌則のヴィブラフォン・ソロのための「フロフレイマ」も美しいが、やはりJ.S.バッハ作品の編曲・独奏が圧巻! ヴィブラフォンによる無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番は繊細なテクニックで実現した和音のバランス、マリンバによるシャコンヌは秀逸なレガートに息を呑むはず。 (東端哲也)
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