eぶらあぼ 2021.6月号
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25めぐろで第九2020+1(プラスワン)いま、「歓喜の歌」再び!文:柴田克彦6/20(日)15:00 めぐろパーシモンホール 問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904  https://www.persimmon.or.jp 合唱団を募った区民参加型の「第九」……この現況下では稀有の公演が、6月にめぐろパーシモンホールで行われる。同ホールでは開館以来3年ごとに区民参加型の「めぐろで第九」を開催してきたが、本来予定された昨年の公演は見送りに。その振替として今回「めぐろで第九2020+1(プラスワン)」が開催される運びとなった(今回の公演はライブ配信も実施)。合唱団はこれまで150名の大所帯だったが、大勢での練習が難しい現状ゆえ42名に限定し、この内22名は公募による区民のメンバー、20名は2019年4月に目黒区に新キャンパスが開校した東京音楽大学の学生を起用。見方を変えれば、少数精鋭の練り上げられた合唱、目黒区の住民とそこに通う学生のタッグが実現することになった。 演奏自体は、国内主要楽団にたびたび客演し、的確なアプローチで信頼を集める大井剛史が指揮する日本フィルハーモニー交響楽団に、嘉目真木子(ソプラノ)、中島郁子(メゾソプラノ)、宮里直樹(テノール)、加藤宏隆(バスバリトン)という二期会所属の歌手陣が加わった一線級の布陣。ならば純粋な「第九」公演としても存分に堪能できるし、特に昨年末の「第九」を聴き逃したファンには、感動に浸る絶好のチャンスとなる。 年末ならぬ6月に「第九」(ちなみに初演されたのは5月だ)を聴くのは、渾身の名作を改めてじっくり味わう貴重な機会。むろん「人類みな兄弟」と歌われるこの曲は、今の世にこそ必要なメッセージであり、万人に元気をもたらす唯一無二の音楽でもある。会場は1200席で音響抜群。ここはこぞって本公演に足を運び、歓喜の歌を共有しよう!嘉目真木子 ©T.Tairadate井上道義(指揮) 東京交響楽団達人たちが用意した得意のプロコフィエフ名曲メニュー文:飯尾洋一東京オペラシティシリーズ 第121回6/12(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp 東京交響楽団の東京オペラシティシリーズ第121回は、井上道義指揮によるプロコフィエフ・プログラム。東響とは今年3月の定期演奏会で得意のショスタコーヴィチを披露した井上が、続いて20世紀ロシアに活躍したもうひとりの天才に焦点を当てる。曲はピアノ協奏曲第3番と「ロメオとジュリエット」組曲より。プロコフィエフ屈指の人気曲が並ぶ。 ピアノ協奏曲第3番でソロを務めるのは、6歳よりモスクワに渡り、名門グネーシン音楽学校とモスクワ音楽院で学んだ松田華音。幼少時よりロシアに住んでいるとあって、話すのも考えるのもロシア語、ロシア文学にもロシア語で親しんでいるという、真にロシアに育ったピアニストだ。2004年エドヴァルド・グリーグ国際ピアノ・コンクールでグランプリを受賞するなど、コンクール歴も輝かしい。プロコフィエフの音楽を作曲家の母語で理解できる日本人ピアニストは稀有な存在だけに、リリシズムやユーモア、アイロニーなど多様な要素が渾然一体となったピアノ協奏曲第3番の真価を伝えてくれることだろう。 プロコフィエフはバレエ『ロメオとジュリエット』から3種類の組曲を編んでいるが、実際の演奏会では独自の選曲が行われることも多い。今回は井上道義版として、モンターギュ家とキャピュレット家、朝の踊り、ロメオとジュリエット、情景、メヌエット、朝のセレナーデ、アンティル諸島の娘たちの踊り、タイボルトの死、ジュリエットの墓前のロメオの計9曲が演奏される。鮮烈なプロコフィエフを期待できそうだ。松田華音 ©Ayako Yamamoto井上道義 ©高木ゆりこ大井剛史 ©K.Miura中島郁子宮里直樹 ©深谷義宣auraY2加藤宏隆

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