eぶらあぼ 2021.5月号
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94SACDCDCDブルックナー:ミサ曲第3番/飯森範親&山響ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」&第14番/クァルテット・エクセルシオミロワール/山口佳子J.S.バッハ:フーガの技法/近藤伸子ブルックナー:ミサ曲第3番飯森範親(指揮) 山形交響楽団梅津碧(ソプラノ) 在原泉(アルト)鏡貴之(テノール) 鈴木集(バリトン)山響アマデウスコアベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」、第14番クァルテット・エクセルシオ【西野ゆか 北見春菜(以上ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)】マスネ:《タイス》より、《マノン》より/ビゼー:《カルメン》より、四月の歌、古い歌/プッチーニ:《つばめ》より/グノー:《ロメオとジュリエット》より/ドニゼッティ:《ドン・パスクワーレ》より/ロッシーニ:フィレンツェの花売り娘/プーランク:愛の小径/平井康三郎:うぬぼれ鏡 他山口佳子(ソプラノ)田中健(ピアノ)J.S.バッハ:コントラプンクトゥスⅠ~ⅩⅢ、8度のカノン、3度の転回対位法による10度のカノン、5度の転回対位法による12度のカノン、反行形による拡大カノン、3つの主題によるフーガ(未完)近藤伸子(ピアノ)オクタヴィア・レコード収録:2020年2月、山形テルサホール(ライブ)OVCL-00730 ¥3520(税込)ナミ・レコードWWCC-7939 ¥2750(税込)アールアンフィニMECO-1061 ¥3300(税込)コジマ録音ALCD-9214, 9215(2枚組) ¥3740(税込)長きにわたり山響の音楽監督の責を果たし、2019年からは芸術総監督となった飯森範親が、ミサ第3番に取り組んだ。たっぷりとした量感のあるオケに、勢いのある合唱(山響アマデウスコア)が絡み、壮麗な音楽が繰り広げられる。この曲にはウィーンに出てくる前、オルガニストとしてリンツの大聖堂に勤めていた頃の、初期ブルックナーの音楽性がストレートに表れているが、躍動感あふれる飯森のリードはこういう素直な作品でひときわ映える。またその快活な運びの中、所々で姿を現す独唱陣(全員東北出身)も清々しさを湛えている。地域ゆかりのアーティストでこれだけの公演を実現したのが頼もしい。(江藤光紀)結成四半世紀を超えるクァルテット・エクセルシオのベートーヴェン・シリーズ第5弾。第14番は極めて美しい仕上がりだ。冒頭のフーガから繊細な声部の綾がとてもきれい。とりわけ声部を減らした中間部の透明感は比類がない。第2楽章ロンドは、天使が浮遊して飛び跳ねるかのよう。第4楽章は巨大な中心楽章に相応しい見事な出来。次から次へと変幻自在な変奏が紡がれる。生き生きと躍動するスケルツォ、デリケートな表情が光るアダージョ、激しい前進駆動と滑らかな抒情の対比も鮮やかなフィナーレまで、極上の演奏を楽しめる。「ハープ」も爽やかで味のある表現が随所で聴かれる。(横原千史)藤原歌劇団が誇る実力派ソプラノのデビュー盤はタイトル「le miroir(ミロワール)」=鏡の如く、彼女の魅力を様々に映し出すアルバム。“いちばん歌いたかった”というマスネの《タイス》を皮切りに、オーディションやコンクールの定番だったドニゼッティ《ドン・パスクワーレ》(ノリーナ)やアンダースタディとして稽古場で見守ったグノー《ロメオとジュリエット》(ジュリエット)、トリエステ歌劇場で演じたビゼー《カルメン》(ミカエラ)らのアリアから、学生時代に学んだロッシーニの歌曲など思い出深い作品が満載。甘くしなやかな“キャンディ・ヴォイス”を堪能できる。  (東端哲也)音がそこに存在するのに、強く感じる静謐さ。第1音から、聴く者の心を捉える。ベルリン芸大などに学び、バロックから現代に至るレパートリーを武器に、国際的に活躍する近藤伸子。今回は、大バッハの謎に満ちた傑作「フーガの技法」に対峙した。打弦の瞬間のみならず、残響まで巧みに計算に入れて、楽譜へ命を吹き込む近藤。モダン・ピアノならではの表現を追求し、この楽器で弾く“必然”にまで昇華してみせる。最後に置かれた「B-A-C-H」の名による未完フーガ。絶筆の第239小節で、響きは途切れる。しかし、その後に訪れる静寂は第1曲へと繋がり、音楽は永遠の生命を得る。(寺西 肇)SACD

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