eぶらあぼ 2021.5月号
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445/23(日)14:00 小金井 宮地楽器ホール問 岩船090-3914-9624西川 豪 ヴァイオリン・リサイタル 2021歌心と技巧で彩られた充実のプログラム文:笹田和人 ©TAKUMI JUN 新緑の季節に相応しい、瑞々しい調べに身を浸したい。西川豪は、巨匠フェリックス・アーヨが「“表現豊かな音楽性、確かなテクニック、美しい音”のすべてを備えている」と絶賛する実力派ヴァイオリニスト。フランクとベートーヴェン、シューマンの傑作に対峙する、意欲的なリサイタルを開く。 東京都出身。母・素村裕子の手ほどきでヴァイオリンを始め、東京藝術大学・同大学院修士課程に学んだ。2011年にリサイタル・デビューし、翌年には「四季」の世界的大ヒットで知られる、イ・ムジチ合奏団の初代リーダーで、母の恩師であるアーヨと共演。以降も精力的に活動する一方、2枚のCDも高い評価を受けている。 ステージは、1997年からアーヨと共演を重ねるピアノの岩船今日子と。今回の共演も、巨匠から強く勧められて実現したという。近代のヴァイオリン・ソナタを代表する存在であるフランクの佳品に、すがすがしい空気に溢れるベートーヴェンの第5番「スプリング」、そして、歌心に満ちたシューマン「3つのロマンス」を弾く。5/30(日)14:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677https://www.proarte.jp平尾はるな ピアノコスモス2021 ベーゼンドルファーコンサートウィーン古典派やフランス近代の小品を色彩豊かに文:長井進之介 幼少期から安川加壽子に師事し、東京藝術大学附属音楽高等学校、同大学を経てパリ国立高等音楽院で学んだピアニストの平尾はるな。1966年のデビューリサイタル開催後は、幅広く演奏活動を展開。また、作曲家の故・平尾貴四男を父にもつ彼女は、日本のピアノ作品の普及に力を入れ、多数の作品を委嘱。日本の作曲家の魅力を多くの聴衆に伝えてきた。自らの演奏だけでなく、現代音楽のスペシャリストを育成するなど、教育活動にも尽力。スポーツトレーニングの概念を取り入れたまったく新しいピアノ練習法の研究にも取り組んでいる。 そんな平尾が開催する今回のリサイタルは、ハイドンやモーツァルトといったウィーン古典派の作品に、サティやプーランクなど、軽やかなフランスの小品が並ぶプログラムだ。伝統的なフランスのピアニズムを継承した気品あふれる演奏と、ベーゼンドルファーの深くやわらかい響きのコラボレーションは、聴衆を色彩豊かな音世界へと誘うことだろう。5/19(水)14:00 18:30 日経ホール 問 日経公演事務局03-5227-4227http://www.nikkei-events.jphttps://academia.nikkei.co.jp(アーカイブ配信)第510回日経ミューズサロンシェレンベルガー(オーボエ) 赤坂智子(ヴィオラ) 津田裕也(ピアノ)響きも音楽もレアなトリオの、貴重な生体験文:柴田克彦 オーボエ、ヴィオラ、ピアノという珍しいトリオの公演が行われる。しかも名手ハンスイェルク・シェレンベルガーが密かに温めてきた企画ゆえに大注目だ。出演者は、元ベルリン・フィル首席奏者で、退団後は指揮者&ソリストとして活躍を続けるシェレンベルガー(オーボエ)、欧州の著名ホールや音楽祭での演奏など国際的に活動している赤坂智子(ヴィオラ)、内外のオーケストラとの共演や様々な室内楽で高い信頼を得ている津田裕也(ピアノ)の3名。掛け値なしの実力派トリオである。 演目にはシューマンの有名曲もあるが、トリオで演奏するのはレフラーとクルークハルトの作品。いずれも1800年代半ばにドイツで生まれた作曲家で、曲はドイツ後期ロマン派のテイストに印象派風の洗練味を加えた瑞々しい音楽だ。こうしたレアな作品を知る楽しみはもとより、3つの楽器が交わるサウンドの生体験自体がすこぶる興味深いし、ヴィオラ+ピアノ、オーボエ+ピアノの作品も披露されるので、各々の妙技も堪能できる。ここはぜひ、この耳新たな響きと音楽に触れてみたい。左より:ハンスイェルク・シェレンベルガー ©Gerhard Winkler/赤坂智子/津田裕也 ©Christine Fiedler

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