eぶらあぼ 2021.5月号
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43銀座ぶらっとコンサート #158 吉井瑞穂 鎌倉 to 銀座 Vol.33人の名手が奏でる心地よいサウンドを愉しむ午後文:飯尾洋一5/11(火)13:30 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp ソロ、室内楽、オーケストラ、それぞれの分野で意欲的な活動をくりひろげる世界的オーボエ奏者の吉井瑞穂が、王子ホールの「銀座ぶらっとコンサート #158」に出演する。吉井が生まれ育った鎌倉の風を銀座に届けるという「鎌倉 to 銀座」シリーズの第3回となる。共演者には日本を代表するハープ奏者である吉野直子、さらにイギリス出身のバリトン歌手アリステア・シェルトン=スミスが招かれる。 イギリス、フランス、スペインの音楽が集められた休憩なしの70分程度の公演で、なによりオーボエとハープとバリトンという組合せが新鮮だ。刺激的というよりは、やさしく心地よい音色の楽器と声が集まっているのが特徴的。気候のよい5月の平日昼間の公演とあって、銀座をぶらりと散歩しつつ、名手たちが奏でる音楽に耳を傾けるという、優雅な楽しみ方にぴったりだろう。 プログラムも凝っている。ブリテンが無伴奏オーボエのために書いた「オヴィディウスによる6つのメタモルフォーゼ」抜粋、バリトンにオーボエが寄り添うヴォーン・ウィリアムズの「10のブレイクの歌」抜粋、オーボエとハープで演奏するドビュッシーの「ビリティス~『6つの古代碑銘』」からの4曲やグラナドスの「スペイン舞曲集」からの2曲など、多彩な音色表現を満喫できそうだ。©Marco Borggreveジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団ノット初のブルックナー「6番」を20世紀の傑作とあわせて文:江藤光紀特別演奏会 5/27(木)18:30 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp 5月には東響の指揮台にノットが戻ってくる。予定の公演以外にも特別演奏会が組まれた。こちらもゴージャスな布陣、“攻めた”プログラミングになっている。中身を精査しよう。 まずはリゲティ「ラミフィケーション」。現代音楽演奏にも大きな足跡を残してきたノットのレパートリーにあって、リゲティは柱となる作曲家だ。本作は弦パートを細かく分割、ずらし重ね合わせることで音の雲海を出現させる。東響の弦ならではの透明度の高い演奏が期待できよう。 続いてベルク「室内協奏曲」。ヴァイオリン、ピアノのソロを13人の管楽器奏者が彩る。《ヴォツェック》を作曲した後に取り掛かった作品で、管の扱いには風刺やユーモアも漂い、凝った音作りが楽しめる。遅筆の作曲家にしては筆の勢いもあり、難曲でもあるが、ソリストは東響が誇るコンサートマスター、グレブ・ニキティン(ヴァイオリン)、現代音楽にもめっぽう強い児玉麻里(ピアノ)と重量級で、ノットのコントロールのもと濃密な時間が編まれていくことだろう。 弦・管のコントラストが鮮やかな前半に対し、後半はブルックナーの交響曲第6番で、管弦楽の醍醐味をたっぷり味わってもらう趣向のようだ。第5番までの巨大化路線から一転し、全体をコンパクトにまとめたブルックナー中期の実験作で、この人には珍しい軽やかさの中に、中年男の哀愁もそこはかとなく伝わってくる。 ありそうであまりないプログラミング、メッセージも明快で、いつものことながらノットのセンスに舌を巻いてしまう。演奏クオリティは、もちろん保証付きだ。児玉麻里 ©Sergio Veranesグレブ・ニキティン ©N.Ikegamiジョナサン・ノット ©T.Hidaki

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