eぶらあぼ 2021.5月号
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39加藤訓子 ©Michiyuki Ohba府中の森クラシックコレクション オペラぺらぺらコンサート《ラ・ボエーム》いま旬の歌手たちが人気作の魅力をギュッと凝縮して届ける文:東端哲也 各地で好評を博してきた、初心者から“通”まで楽しめる人気オペラのハイライト・コンサート。府中の森芸術劇場では《愛の妙薬》《椿姫》に続き今回の《ラ・ボエーム》が第3弾。 昨年11月に発売したソロアルバム『R.シュトラウス 4つの最後の歌』でも高い評価を得た天羽明惠(ソプラノ)をミミ役に、府中出身でユニット「IL DEVU(イル・デーヴ)」での活躍も目覚ましい望月哲也(テノール)をロドルフォ役に据え、ミラノやルガーノで実力を磨いた二期会期待の種谷典子(ソプラノ)がムゼッタ役を、井上道義 × 野田秀樹《フィガロの結婚》のフィガ郎など独自性の強い作品で圧倒的な存在感を示す大山大輔(バリトン)がマルチェッロ役を務める最強の布陣。古藤田みゆきのピアノ伴奏で、オーケストラによる上演よりも敷居が低いのも魅力。もちろん作品の見どころ&聴きどころや登場人物の心情などを“ぺらぺら”と解説してくれるナビゲート役・朝岡聡の名調子にも大いに期待できる!6/5(土)14:00 16:00 19:00 めぐろパーシモンホール(14:00のみ小ホール)問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904https://www.persimmon.or.jp https://npo-artsworks.org/ja/pleiadesクセナキスと日本先鋭的な音響体験に浸る稀有の1日文:柴田克彦 国際的に活躍する打楽器奏者・加藤訓子が、「クセナキスと日本」と題した、興味津々のイベントを行う。これは、オール・クセナキス・プログラムでおくるワンデイ・フェスティバル。響き抜群のめぐろパーシモンホールで、この20世紀きっての現代音楽作曲家に関する様々な企画が実施される。最注目は大ホールの「18人のプレイアデス」。斯界屈指の傑作「6人の打楽器奏者の為のプレイアデス」に、加藤のもとで約5年間鍛錬を積んだ若手奏者達が、各楽章それぞれ6人ずつ総勢18人で挑む。曲は凄絶な音響宇宙。全楽章の生演奏は稀ゆえにこれは貴重な機会だ。また小ホールでは、加藤のほかピアノの高橋アキや邦楽器奏者等も出演し、4つの名曲がリサイタル形式で披露される。むろんこちらも見逃せない。さらに、大ホール公演の前にはロビーパフォーマンスが行われ、小ホール内には「HIBIKI-HANA-MA」(音と映像のインスタレーション)のエキシビションが展示されるなど盛りだくさん。今なお清新で刺激的な音楽世界をぜひ満喫したい。5/12(水)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 キーノート0422-44-1165 https://www.ensemble-nomad.comアンサンブル・ノマド 第72回定期演奏会 中心無き世界Vol.1 ジャズが運んだもの独自の進化を遂げた、ジャズと西洋音楽の交わりを辿る文:小室敬幸©Higashi Akitoshi 名が体現している通り、どこかに留まることなく、様々な角度から攻め込んだ企画を取り上げ続けているアンサンブル・ノマド。 今年度初回の定期演奏会は、大友良英をゲストに迎え、ジャズと西洋音楽の交わりから独自に進化していった音楽にフォーカスする。ラグタイムの影響下にあるストラヴィンスキー作品に始まり、ジャズバンドのために音列技法で作曲されてビル・エヴァンスらが初演したミルトン・バビット作品が続く。次に演奏されるポスト・ライヒ世代の「Bang on a Can All-Stars」がレパートリーとして世界各地で披露してきた牛島安希子の作品(ポストミニマルと70年代フュージョンの融合!?)は、藤倉大が主催するボンクリでも大好評だった楽曲だ。メインは大友の新作で、デューク・エリントンの楽曲を自由に再構成することにより、実際の歴史とは異なる、ありえたかもしれないジャズの進化過程を夢想するというもの。 ポピュラー音楽との結合による、新たな音楽の可能性を体感する一夜となるはずだ。6/13(日)15:00 府中の森芸術劇場 ウィーンホール問 チケットふちゅう042-333-9999 http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/望月哲也天羽明惠

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