eぶらあぼ 2021.5月号
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36下野竜也(指揮) 読売日本交響楽団藤田真央も登場! 作曲家“2M”が織りなすリリシズム文:伊藤制子第608回 定期演奏会 5/21(金)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp モーツァルトの中でもとりわけ愛されてきたピアノ協奏曲と、チェコのボフスラフ・マルティヌー(1890~1959)の作品を組み合わせる凝ったプログラムである。読響の第608回定期演奏会は、2017年まで読響首席客演指揮者をつとめ、良好な関係を築いてきた下野竜也が指揮台に立つ。昨今、若い邦人指揮者の躍進が目立っているなか、下野は持ち前のエネルギッシュな音楽づくりで、近年は円熟味を増しつつある。今回は近現代作品も得意としてきた下野ならではの、斬新な響きに満ちた一夜となることだろう。 マルティヌーはチェコを代表する作曲家のひとりで、その管弦楽作品には名作も少なくない。1920年に書かれた「過ぎ去った夢」はフランス近代を思わせる洗練された響きも印象的な小品である。マルティヌーは交響曲創作にも力を入れ、全部で6曲作曲。今回は44年作曲の第3番が演奏される。3楽章のドラマティックな書法の中に、リリカルな美しさも込められた聴き応えのある作品である。 マルティヌー2作の間に演奏されるのが、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467。ピアノと管弦楽との細やかな対話による第1楽章、天国的な美しさをたたえたソロのパッセージが際立つ第2楽章、そして軽妙洒脱なロンドのフィナーレからなり、これまで幾多の名演が繰り広げられてきた。 ソリストは注目の藤田真央がアンドレ・ラプラントに変わって急遽登場。下野率いる読響との共演で、目の覚めるような快演を披露してくれることだろう。東京文化会館 《響の森》Vol.48 「ロマンスの夜」独・露ロマン派音楽の森に分け入る文:飯尾洋一6/9(水)19:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp 東京文化会館が東京都交響楽団とともにクラシック音楽の名曲を届ける《響の森》シリーズ、その第48回「ロマンスの夜」が6月9日に開催される。指揮は群馬交響楽団音楽監督など数々のオーケストラで要職を歴任し、2004年から12年まで東京文化会館の初代音楽監督を務めた大友直人。 今回の「ロマンスの夜」では、チャイコフスキーのオペラ《エフゲニー・オネーギン》から「ポロネーズ」とヴァイオリン協奏曲、ブラームスの交響曲第4番の3曲が演奏される。チャイコフスキーとブラームスは同時代の作曲家であり、時代を代表する不朽の名作が並べられている。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は1881年初演、ブラームスの交響曲第4番は1885年初演。両者の距離は近い。どういうわけか、チャイコフスキーはブラームスに対して「並の人間が天才扱いされている」など辛辣な評価をしていたが、現代から見ればどちらも19世紀ロマン主義の時代が生んだ最良の作曲家であり、ともに「ロマンスの夜」をなすにふさわしい。 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲では、近年テレビ番組の出演などを通して新たなファンを獲得する木嶋真優が独奏を務める。本来であれば昨年7月開催の《響の森》第46回で同曲を演奏する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大により公演が中止となってしまった。今回、同曲で待望の出演が実現する。鮮烈な名演を期待したい。藤田真央 ©EIICHI IKEDA下野竜也 ©読売日本交響楽団木嶋真優 ©KINYA OTA(MILD)大友直人 ©Rowland Kirishima

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