eぶらあぼ 2021.5月号
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35小林美樹 ヴァイオリンリサイタル6/9(水)19:00 東京文化会館(小)問 アルペンミュージックオフィス03-5324-2513 http://www.alpenmusic.com小林美樹(ヴァイオリン) & 小林有沙(ピアノ)歌への共感とともに姉妹が奏でるブラームスのヴァイオリン・ソナタ取材・文:長谷川京介Interview 今年が演奏家デビュー20周年、CD デビュー10周年、ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞10周年の節目となる小林美樹と、姉でモロッコ王妃国際ピアノコンクール優勝の小林有沙が、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲に挑む。二人にリサイタルに臨む気持ちを聞いた。最初は小林美樹から。 「1曲ずつはありますが、一度に3曲弾くのは初めてです。昔から大好きでいつかはと思っていましたが、こう表現したいという思いだけでは弾けない気持ちがありました。ただ私は最新CD『Anthology』(ソニー・ミュージックダイレクト)のテーマ、『歌』に対する強い憧れがあります。ブラームスのヴァイオリン・ソナタには歌の要素が多く、全曲演奏できたらと思っていましたので、実現して本当に嬉しいです」 各曲に対してどんなイメージを抱いているのだろうか。 「第1番は3曲の中で一番切ないですね。作曲当時、かわいがっていたクララ・シューマンの末の息子フェリックスが24歳の若さで亡くなり、第2楽章中間部は葬送行進曲のようです。幸せな時を振り返っているようなイメージもあります。第2番はCDにも入れた歌曲〈歌が導くように〉と同じ年の作曲ですし、歌っている作品で大好きです。第3番は出口の見えない道を進んでいる感じがします。私も一時音楽活動をどうしていくのか迷った時期がありましたので、とても共感できます」 ピアノの小林有沙が演奏のポイントとリサイタルへの思いを語る。 「作品本来のタイトルは『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ』ですし、2つの楽器の連携がとても大切です。3曲ともピアノから始まりますので、ピアノの役割がとても大きいです。私たちは小さいときから一緒に演奏してきましたから、細かな点まで時間をかけ練習できるメリットがあります。本音で何でも言い合うので、時にバトルになることもありますが(笑)。ベルリン・ウィーンで暮らしてきた私たちが、みなさまにお届けするブラームスへの想いを、ぜひお楽しみください」 最後に、小林美樹にブラームスを弾くときに心がけていることについて尋ねた。 「ブラームスは演奏者に『テンポも気にしなくていいし自由に弾いてね、でも作品を勉強して、その作品を愛して演奏してね』と言ったそうです。全曲通して愛を持って弾けたらいいなと思います。キーワードは愛ですね」飯野明日香(ピアノ) Parfum du futur Vol.21 新たな出会い銘器の調べとの邂逅と現代音楽の端緒を開く、味わい深い時間文:飯田有抄 飯野明日香が二部構成の意欲的なリサイタルをサントリーホールで行う。第一部は一昨年に開始した全3回シリーズ「エラールの旅」の第2回。ホールが所蔵する1867年製エラールの大型ピアノを用いて、第1回ではフランス近代と日本の20世紀作品を聴かせた飯野だが、今回は「旅」を一歩進め、ベルク、ベリオ、ミュライユの20世紀作品、そして尺八の三橋貴風を迎えて新実徳英の「ロンターノ C. ~尺八とピアノのための」(委嘱新作・世界初演)を披露する。エラール特有の響きとの5/22(土)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 オーパス・ワン03-5577-2072http://opus-one.jp邂逅が楽しみだ。 第二部では飯野が昨年リリースしたアルバム『和の歌』の全10曲を弾く。10名の作曲家(金子仁美、川上統、川島素晴、小出稚子、篠田昌伸、鈴木純明、法倉雅紀、挾間美帆、平川加恵、山田武彦)が手がけたピアノ作品は、すべて飯野が委嘱したもの。飯野は「日本人にとって馴染み深い旋律をベースとしたこれらの作品が、現代音楽への扉を開き、親しみやすいものとなってほしい」という希望を胸に、ステージ初演に臨む。小林有沙 ©Yoshinori Kurosawa小林美樹 ©Kayoko Yamamoto

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