eぶらあぼ 2021.5月号
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24 東京・墨田区の中核的な文化施設としてだけでなく、首都東部の芸術拠点として、全国からも注目される質の高い企画を打ち出している「すみだトリフォニーホール」が、2021/22シーズン公演ラインナップを発表した。コロナ禍にあっても、芸術の力と楽しさが実感できるような、充実した内容。こんな今だからこそ、生きた芸術に触れる喜びを、ぜひ体感したい。 まずは、同ホールとフランチャイズ提携している新日本フィルハーモニー交響楽団の「シンフォニック・ジャズ・コンサート」(5/4)。世界的に活躍するジャズ・ピアニストの上原ひろみをスペシャル・ゲストに迎えて、時にパワフル、時にメロウなサウンドで、希望と生を謳い上げる。指揮は沼尻竜典。そして、歌舞伎界の至宝・坂東玉三郎がトークと素踊りを通じて、日本の伝統舞踊の世界を紹介するステージも(5/8)。 指揮界の知将・下野竜也が新日本フィルとともに贈る、好評シリーズ「音楽の魅力発見プロジェクト」は、今年で8回目に。これまでも、ひとつの名曲を“徹底解剖”したり、ベートーヴェンの交響曲の“第1楽章”だけを演奏したりと、ユニークな企画で話題となっただけに、今回は何が飛び出すのか、大いに楽しみだ(8/14)。 その新日本フィルは、ファミリーコンサート(4/3)に始まり、サマーコンサート(7/22)、ジルベスターコンサート(12/31)、ニューイヤー・コンサート(2022.1/3)など、季節の折々にトリフォニーホールへ登場する。特に、昭和20年3月10日の東京大空襲に寄せて開かれている「すみだ平和祈念音楽祭」では、下野の指揮でブリテン「シンフォニア・ダ・レクイエム」ほかを上演(3/12)。同音楽祭には、群馬交響楽団(3/6)やヘルシンキ大学男声合唱団(3/19)の来演も予定されている。 そして、国際的に活躍する佐渡裕に率いられて、日本を代表するブラス界の精鋭集団シエナ・ウインド・オーケストラが登場(21.9/29)。アルフレッド・リード「アルメニアン・ダンス」とジェイムズ・バーンズ「交響曲第3番」を熱い演奏で聴かせる。来日演奏家では、アイスランドの若き鬼才ピアニスト、ヴィキングル・オラフソンのリサイタルが要注目。クラシックという枠組みを軽々と飛び越える、鮮烈な響きの世界に触れる絶好のチャンスだ(10/20)。 また、子どもたちやファミリー層に向けた多彩な企画も、このホールの特徴。創立15周年を迎えた「トリフォニーホール・ジュニア・オーケストラ」は、音楽監督を務める松尾葉子指揮で、2回の記念演奏会を開催(11/21, 22.3/27)。新日本フィルの演奏を、未就学児などが無料で楽しめる「ようこそ! 誰でもコンサート」(21.6/3)や、同じく未就学児は無料で、妊娠中・子育て中の保護者も対象とした「ようこそ! リラックス・コンサート」(11/3)なども開かれる。 さらに、「パイプオルガン・クリスマス・コンサート」(12/19)や、ベルリン・コンツェルトハウスと共同制作する「《ふたつのイェームリッヒ》オルガンがつなぐ音楽の架け橋」(22.3月予定)、オルガンを演奏できる体験会や楽器の構造を知るバックステージ・ツアーなど、トリフォニーホールが誇るドイツ・イェームリッヒ社製の銘器の魅力を堪能する企画も数多く用意されている。すみだトリフォニーホール 2021/22シーズン公演ラインナップの聴きどころ問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212https://www.triphony.com※各公演、発売日の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。見て、聴いて、体験する! ホール独自の多彩なプログラム文:笹田和人左より:新日本フィルハーモニー交響楽団 ©K.MIURA/下野竜也(下野竜也プレゼンツ! 音楽の魅力発見プロジェクト 第7回公演より)/佐渡 裕 ©Takashi Iijima/ヴィキングル・オラフソン ©Ari Magg/松尾葉子 ©三浦興一

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