eぶらあぼ 2021.4月号
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46延原武春(指揮) テレマン室内オーケストラ 18世紀貴族の晩餐会美音と美食〜夢のターフェルムジークをここに再現文:笹田和人3/23(火)、4/6(火)、4/13(火)、4/20(火)、4/27(火)各日18:00 ニューオーサカホテル心斎橋「グロッタ」サロン de メランテ問 ニューオーサカホテル心斎橋 倶楽部メランテ06-6121-5557  日本テレマン協会06-6345-1046http://www.cafe-telemann.com ※演目などの詳細は左記ウェブサイトでご確認ください。 「ターフェルムジーク」とは、バロック時代に王侯貴族が宴で食事をとる際、そこで演奏されたBGMの総称だ。その中でも、突出して有名なのが、テレマンが1733年に発表した器楽曲集「ターフェルムジーク(食卓の音楽)」。この作品をはじめ、18世紀音楽の傑作を聴きながら実際に食事ができるという、“ありそうでなかった”ユニークなコンサート・シリーズに、日本テレマン協会が取り組んでいる。 「18世紀貴族の晩餐会」と題したシリーズは、昨年11月にスタート。「ターフェルムジーク」全3集を1集ずつ、延原武春指揮のテレマン室内オーケストラが演奏する一方、ドイツのバロック・ヴァイオリン奏者、ウッラ・ブンディースの協力で、ハンブルク市庁舎で開かれた晩餐会メニューの一部を再現。「耳と舌の両方で、コンサートが楽しめるとは」と好評を得た。今後は「ターフェルムジーク」を軸に、モーツァルトやバッハの作品を取り上げ、これらの音楽家にゆかりの料理も再現・提供していきたいという。 基本的に毎週火曜日の午後6時開演。今後は、ヴィヴァルディ「四季」全曲(3/23)や、「ターフェルムジーク」第1集(4/6)などを予定している。「バロック音楽は本来、肩肘を張って聴くようなものではありません。どうせなら、おいしい食事とコラボレーションして、気楽に楽しんでほしいと考えました」と、企画も手掛けた延原。「お客様は音楽か料理か、どちらかに集中してしまうかとも思っていましたが、バランスよく楽しんでいただいているようです。ぜひ、一人でも多くの方に体験していただければ」と話している。高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団生命力あふれる20世紀アメリカ音楽とロシアの熱きサウンドを文:林 昌英第65回 ティアラこうとう定期演奏会 4/17(土)15:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp 組織のトップは、ピンチの際にその存在が問われる。2020-21年度を振り返ると、東京シティ・フィルも出演者や演目の変更が続いたが、常任指揮者の高関健が幾度も急場を救った。演目変更を余儀なくされても出色のアイディアで対応し(3月定期のヴェルディ→ショスタコーヴィチなど)、かつ最高レベルの演奏を作り上げ、頼もしいシェフとして楽団と聴衆を盛り上げたのである。 新たな21-22シーズンは4月ティアラこうとう定期で始まる。昨年5月、高関と同楽団は、生誕120年・没後30年だった20世紀アメリカのコープランド(1900~90)と、19世紀ロシアのチャイコフスキーを組み合わせた演奏会を予定していたが、残念ながら公演中止に。しかしその1年後、同じ作曲家の組み合わせによる、ひねりの効いた「米露プログラム」が再登場することになった。 コープランドは、アメリカ東部アパラチア高原での開拓民の結婚を描写したバレエ組曲「アパラチアの春」と、ジャズ・クラリネットの巨匠ベニー・グッドマンの依頼で書かれたクラリネット協奏曲の2曲。ソリストは同楽団首席奏者の山口真由で、楽団の仲間に囲まれながら、透明感ある楽曲の抒情と名技を聴かせる。チャイコフスキーは、対照的に濃密な情感と重厚な響きに満ちた交響曲第4番。絆を深めたコンビによる、緻密にして熱い名演への期待が高まる。タイプの異なる作品の面白さを体感できるのもライブの楽しさ。アメリカの穏やかな自然の光景からロシアの熱狂のフィナーレまで、ついに実現するライブで満喫したい。山口真由高関 健 ©Stas Levshinテレマン室内オーケストラ延原武春

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