eぶらあぼ 2021.4月号
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45第159回 リクライニング・コンサート 村松稔之 カウンターテナー・リサイタル5/14(金)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp村松稔之(カウンターテナー)ひたむきな想いで自らの声楽の道を切り拓く俊才取材・文:室田尚子Interview Hakuju Hallのリクライニング・コンサートにカウンターテナーの村松稔之が登場。東京藝術大学にカウンターテナーとして入学し、大学院を首席で修了後イタリアへ留学。現在はバロックから現代曲までをレパートリーとして、オペラやコンサートなど活躍の場を広げている。子どもの頃から歌うことが大好きで、小学6年生の時に京都市少年合唱団にボーイ・ソプラノとして入団。中学2年生の時に、声楽の道に進むことを決意する。 「ずっと声が変わらないので中2の時にきちんと調べてもらったら、すでに変声していたことがわかったんです。その時、声帯が太くて長い、つまり丈夫で声楽向きだと知り、この声で好きな歌をやろうと決意しました」 高校は京都市立音楽高等学校(現・京都市立京都堀川音楽高等学校)に。そこでテノールやバリトンの練習をしたことも。高校時代はプロの歌手のCDを聴いても自分とはレベルが違いすぎて、参考にするにはどうしたらいいか悩んだという。そこで、コンクールで入賞する同世代のうまい人たちの歌を聴きに足を運び、息の吸い方や筋肉の動きを観察した。 「大学1年生の時は、どんな曲を歌っても3分で声が出なくなっちゃうので“ウルトラマン”と言っていたんです。今思うと声帯を常にキャパシティ以上の力で使いすぎていたんですね。息も使える量以上に出そうとして、音程も不安定でした。恩師の伊原直子先生からご指導いただきながら、時には違う先生についている友だちのレッスンを見学させてもらったり。コレペティトールの授業では学部から博士課程の方も一緒にレッスンを受けるスタイルなので先輩方の聴講もでき、刺激を受けることで自分の中にたくさんの発声に対するアイディアの種を植えることができた感覚でした。大学院2年生のある日、シャワーを浴びていると突然ビビビと今まで学んできたことがまるで点と点が線になるように自分の声帯をコントロールするヒントを見つけることができ、アイディアの種から芽が出たみたいでした。今では、無駄な力を入れずそぎ落として、本当に必要な芯の部分だけを使い歌唱をしています。声って実はとても“エコ”な楽器なんですよ(笑)」 5月のリクライニング・コンサートは、前半にチェンバロ伴奏によるイタリア古典歌曲、そして後半はピアノ伴奏による日本歌曲という贅沢なプログラムで挑む。 「1回で2つの違うコンサートに来たと感じていただけるような内容にしたのは、“カウンターテナーってこういう声”ということを知っていただきたいから。曲間にはピアノの小品を挟んだりして、お客様にはぜひリラックスして足取りも軽くお帰りいただければと思います」 チェンバロとピアノ、2つの楽器を操る圓谷(つむらや)俊貴は村松の藝大声楽科の同級生で、卒業後に古楽科に入学し直したという逸材。ふたりで作り出す癒しの1時間をぜひゆっくりと味わいたい。平井華枝子 ピアノリサイタル歌心溢れるピアノで味わうロマン派の魅力文:長井進之介 平井華枝子は武蔵野音楽大学器楽科ピアノ専攻卒業後、アンサンブルやチェンバロ、さらには現代音楽にも積極的に取り組み、幅広い活動を展開するピアニスト。リサイタルもこれまで様々な形で開催し、高い評価を得てきた。 そんな彼女が、定期的に演奏を行っている東京オペラシティ リサイタルホールで公演を開催。ベートーヴェン、シューベルト、ショパンにブラームスという、ロマン派の魅力を存分に味わうことができるプログラムに挑む。シューベルトの歌心溢れる即興曲、劇的な表4/17(土)14:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp ©Naoya Yamaguchi(Studio☆Di:VA)現力を求められるショパンのバラードにベートーヴェンの「月光」。そしてブラームスの最後の小品集で締めくくられるこのリサイタルは、ピアノという楽器の表現の多彩さにも対峙するものであり、ピアノが“歌う”ことのできる楽器であると十分に実感できるだろう。 アンサンブル経験の豊富な平井の歌心に満ちた演奏がどのように曲の魅力を引き出すのか、期待が高まる。

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