eぶらあぼ 2021.4月号
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434/20(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 滝 千春(ヴァイオリン)バロックと現代を行き来し映し出す音楽の現在・過去・未来文:小室敬幸©Alexander Platz ザハール・ブロンやサシュコ・ガヴリーロフといった名匠に師事し、今年はミュンヘン放送管弦楽団のコンサートマスターにも就任した滝千春。東京オペラシティの名物企画「B→C」で披露するプログラムは、これまで作編曲を自ら依頼したり、作曲家から作品を献呈されたりと、新しいレパートリーを積極的に開拓してきた彼女ならではの内容で必聴だ。 テーマはヴァイオリンの「進化とサイクル」。長い歴史のなかで生じた“変化”と“不変”さをバラエティ豊かに聴かせる。例えば、柿沼唯、バッハ、ビーバー「パッサカリア」では無伴奏・祈りという観点が共通し(静謐さという観点ではシャリーノも入る)、D.P.ジョーンズ、コリリアーノ、アンタイル、木山光、ビーバー「チャコーナ」では打楽器的な要素が強調される(ジャズ作曲家・挾間美帆の書き下ろし新作も楽しみだ)。より時代ごとに追求されてきたヴァイオリンの多様な魅力にも気づける一夜となること間違いない。5/19(水)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp2019年度 ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクール優勝者三浦謙司 ピアノ・リサイタル精妙で圧倒的な音楽表現が際立つピアニズムを聴く文:飯田有抄©Jeremy Knowles 「繊細さの中に強い意志が感じられる演奏」——三浦謙司が2019年ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールのピアノ部門で優勝した際、審査委員長のマルタ・アルゲリッチより受けた称賛の言葉である。1993年神戸市生まれ、13歳から単身渡英。ロンドンのパーセル・スクール、ベルリン芸術大学を経て、現在もハンス・アイスラー音楽大学で研鑽を積んでいるが、すでにマンハッタン国際音楽コンクール、Shigeru Kawai国際ピアノコンクール、スタインウェイコンクールベルリンでも優勝を重ね、今世界からもっとも期待を寄せられているピアニストのひとりだ。 そんな三浦が5月19日にHakuju Hallに登場する。多彩なプログラムが魅力的。シューベルト、プーランク、ショパンの即興曲を取り上げ、シューマンとドビュッシーのアラベスクを並べる。そして締めはリストの大作、ロ短調のソナタだ。三浦の精細かつ圧倒的な音楽表現に満たされる一夜となりそうだ。4/7(水)14:00 18:30 日経ホール 問 日経公演事務局03-5227-4227http://www.nikkei-events.jphttps://academia.nikkei.co.jp(アーカイブ配信)第509回日経ミューズサロンパヴェル・ゴムツィアコフ(チェロ) ・ 津田裕也(ピアノ) デュオ・リサイタル名手二人の競演で堪能する珠玉の佳品文:笹田和人津田裕也 ©Christine Fiedler 「この若き演奏家には、輝かしいキャリアが待ち受けている」。2010年にシカゴ響との共演でアメリカ・デビューを果たした際、こう絶賛されたロシア出身のチェリスト、パヴェル・ゴムツィアコフ。その“予言”の通り、各国の一線楽団と次々に共演を重ねるなど、今や世界的な名手となった。そんな彼が、気鋭のピアニスト、津田裕也とともに珠玉の佳品を紡ぐ。 名ピアニストのマリア・ジョアン・ピリスに見出され、彼女と共演した09年のアルバムは、グラミー賞候補に。現在はリスボンを拠点に世界中で公演。一方の津田は、難関・ミュンヘン国際コンクールで特別賞を受賞した、日本を代表する名手だ。 ステージは、シューベルトの「アルペジオーネ」とショスタコーヴィチ、2つの名ソナタが軸に。ここへベートーヴェン「《魔笛》の主題による7つの変奏曲」やシューマン「アダージョとアレグロ」、ヴァイオリン作品から編曲されたシューベルト「ソナチネ第1番」を配した、芳しい音楽の花束を届けてくれる。パヴェル・ゴムツィアコフ ©JB Millot

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