eぶらあぼ 2021.4月号
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39小林研一郎(指揮) 読売日本交響楽団マエストロの至芸と勢いに乗る新鋭が織りなす輝きのプログラム文:山田治生第236回 土曜マチネーシリーズ 4/24(土)第236回 日曜マチネーシリーズ 4/25(日)各日14:00 東京芸術劇場コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp 昨年4月に80歳を迎え、大晦日には恒例のベートーヴェン全交響曲連続演奏会を振るなど、ますます精力的に活躍する小林研一郎が読売日本交響楽団に客演し、ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、ラヴェルが編曲したムソルグスキー「展覧会の絵」、という“フレンチの色彩”が光るプログラムを指揮する。 小林は、フランス音楽のなかでも、とりわけ、ベルリオーズの「幻想交響曲」、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」、ラヴェルの「ボレロ」などを十八番としている。今回はそれらに近いレパートリーということもあり、円熟のマエストロの至芸が満喫できるだろう。 サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番で独奏を務めるのは福田廉之介。1999年岡山県生まれの福田は、2014年にユーディ・メニューイン国際コンクールのジュニア部門で優勝。17年のハイフェッツ国際ヴァイオリンコンクールで第3位、18年にはハノーファー国際コンクールで第4位に入賞している。ローザンヌ高等音楽院にて、パヴェル・ヴェルニコフ、スヴェトラーナ・マカロバに師事。19年に録音した、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番、ワックスマンの「カルメン幻想曲」、竹内邦光の「古謡」を収めたアルバムが話題となっている。また、早くも室内オーケストラ「The MOST」を立ち上げるなど、積極的な演奏活動を展開。新時代を象徴するかのような若きヴァイオリニストと読響の初共演に注目である。東京文化会館 バースデーコンサート“音楽の殿堂”開館60周年を記念する演奏会めざして制作進行中!文:林 昌英4/7(水)19:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp※詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 2度目の緊急事態宣言下(本稿執筆時点)、まだまだ公演の中止・変更が続いている。そんな中、4月の「東京文化会館 バースデーコンサート」が、諸々の困難を乗り越えて開催される運びになった。 東京文化会館の開館は1961年。昭和の東京オリンピックの3年前から現在に至るまで、日本を代表する音楽拠点であり続けている。開館60周年を迎える4月7日の“バースデー”には、前半は藤村実穂子による「ヴェーゼンドンク歌曲集」ほか、そして後半はドヴォルザークの「新世界」という重厚にして華やかな記念コンサートとなる模様。藤村はいまやドイツものにおいて世界最高のメゾソプラノのひとり。深い歌唱が聴けるのは何より嬉しい。オーケストラは当館を拠点とする東京都交響楽団。最高の機能性はもちろんのこと、ホールの響きも知悉した、この場に最もふさわしいオーケストラだ。指揮は佐渡裕という情報も入ってきた。 思い起こせば、2011年の「50周年バースデーコンサート」は、東日本大震災の影響で中止されていた(同年秋の「50周年記念フェスティバル」は無事に開催された)。その10年後の節目の日も困難な状況で迎えるが、内容変更はあったとしても、“それでも実現する!”という覚悟こそが、「音楽の殿堂」を自負する東京文化会館の矜持でもあるだろう。無事の開催を心から望む。東京文化会館 大ホール福田廉之介小林研一郎 ©読響

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