104CDCD高崎芸術劇場 大友直人Presents T-Shotシリーズ vol.2 亀井聖矢 IN CONCERTパリ/ヒラリー・ハーンBACH on Guitar 3 6つの無伴奏チェロ組曲 Vol.1/益田正洋物語/青柳いづみこ&高橋悠治ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲/リスト:ラ・カンパネラ、ベッリーニ《ノルマ》の回想/ショパン:ピアノ・ソナタ第3番亀井聖矢(ピアノ)ショーソン:詩曲/プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番/ラウタヴァーラ:2つのセレナードヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)ミッコ・フランク(指揮)フランス放送フィルハーモニー管弦楽団J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番~第3番益田正洋(ギター/編曲)イベール:物語/シュミット:小さな眠りの精の一週間/ミヨー:ボヴァリー夫人のアルバム青柳いづみこ(ピアノ/朗読)高橋悠治(ピアノ)オクタヴィア・レコードOVCX-00088 ¥3300+税ユニバーサル ミュージックUCCG-45003 ¥2800+税フォンテックFOCD9845 ¥2400+税コジマ録音ALCD-7261 ¥2800+税日本音コン優勝、ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリで注目された亀井聖矢のデビュー盤。ブラームス「パガニーニの主題による変奏曲」は、十分歌わせながらかっちりと音楽を展開する。ショパンのソナタ第3番は音楽の流れが伸びやか。リスト「ラ・カンパネラ」、「ベッリーニ《ノルマ》の回想」ではつややかな音が生きる。フレッシュさと揺るぎなさが共存し、19歳の若さでありながら音楽が堂々としている。本盤は、高崎芸術劇場が音だけでなく映像でも若手を紹介するシリーズで、DVD付き。初録音に挑む若者の横顔が、雰囲気のある映像に収められている。 (高坂はる香)ショーソン「詩曲」ではうっすらと靄のかかった弦のサウンドの中から、独奏が哀愁を漂わせ歌いだす。しなやかで力強い独奏をオケがクッションのように柔らかく乗せて運んでゆき、また独奏を先導して霊妙な対話を聴かせる。プロコフィエフの協奏曲第1番では諧謔味、皮肉、グロテスクなユーモアを発する独奏が、最後にはオーケストラの透明なサウンドの中に溶けていく。ラウタヴァーラ作品は、作曲家の死後発見されたもの。第一曲では切々とした旋律が胸を打ち、第二曲では雄大な自然を前にしたような解放感の中を独奏が翔ける。選曲・演奏ともに素晴らしく、ハーンの代表作の一つとなろう。(江藤光紀)静謐にして深遠。右手で紡ぎ出す美音はもちろん、左手の指が弦を擦る音すら、音楽の一部と成す。「チェリストにとっての聖典」とも称される、バッハの無伴奏組曲。だが、間違いなく、「すべての音楽家の聖典」でもある。日本を代表する実力派ギタリストが、自身の編曲で取り組んだ第1番~第3番。作曲者自身が編んだリュート版を参照し、益田はギターが最もよく響く音域へと移調する一方、ギターだからこそ可能な和声の追加は、あえて最小限に。“暗示”に留めて原曲の響きの世界へ敬意を払い、撥弦楽器ならではの減衰音が軽やかさと勢いを纏わせて、傑作は新たな地平へと旅立つ。(寺西 肇)本盤は、異国の風景や伝承が色とりどりのハーモニーで描かれるイベール「物語」をピアニスト・文筆家の青柳いづみこが軽やかに奏でて幕を開ける。言葉やイメージと音楽が素晴らしく結びついたとき、音の色彩の密度がさらに濃く、そして輝きを放って聴こえてくるということが改めてよくわかる。特にミヨーの「ボヴァリ―夫人のアルバム」が素晴らしい。青柳の言葉を繊細に扱う朗読に、高橋悠治の静かで硬質ながら、そっとあたたかさが伝わる演奏が結びつくことで、次々と色鮮やかな映像が浮かんでくる感覚を味わえた。“表現”の新たな可能性と感動に出会ったような気がする。(長井進之介)CD+DVDCD
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