88CDCDCDブルックナー:交響曲第2番・第8番 他/ネルソンス&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)/木越洋リサイタル/藤澤仁奈ヴェルディアーノ/上江隼人ワーグナー:楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲/ブルックナー:交響曲第2番・第8番アンドリス・ネルソンス(指揮)ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番~第6番木越洋(チェロ)セジョルネ:ヘネラリフェ、プレリュード第1番、ロマンティカ/J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番/服部和彦:ミザール あるいは並行する反射 マリンバのための/ゴリンスキー:ルミノシティ/ハーライン(加藤大輝編):星に願いを/アメイジング・グレイス(加藤編)藤澤仁奈(マリンバ)ヴェルディ:《スティッフェーリオ》より〈やつは逃げた~リーナは天使に思えた〉、《リゴレット》より〈悪魔め 鬼め〉、《ラ・トラヴィアータ》より〈プロヴァンスの海と陸〉、《ドン・カルロ》より〈私の最期の日が来ました〉(5幕版)、詩人の祈り、墓に近寄るな、亡命者/加藤亜祐美:くろゆり 他上江隼人 上江法明(以上バリトン)松村優吾 加藤亜祐美(以上ピアノ)収録:2019年9月&12月、ライプツィヒ(ライブ)ユニバーサル ミュージックUCCG-45001/2(2枚組) ¥3600+税マイスター・ミュージックMM-4086-87(2枚組) ¥4000+税コジマ録音ALCD-7260 ¥2800+税ナミ・レコードWWCC-7937 ¥2500+税ゲヴァントハウス管とカペルマイスターのネルソンスによるブルックナー・シリーズの新盤は、初期と最盛期のハ短調交響曲のカップリング。彼が振ると各パートが生き生きと歌い、明るく純度の高い音色が引き出されるのが魅力的。力強くもしなやかな、新しいブルックナー像が確立される。意欲作である第2番は指揮者のセンスにも合致し、充実の演奏。第8番は推進力と鎮静・休止のメリハリが利いていて、終楽章はもはや“突進”の覇気。楽団の最高級の音色と機能性もすばらしく、81分が短く感じられる。ワーグナーも抑揚豊かで、対位法的に紡がれる各旋律が生命をもつかのような見事な快演。(林 昌英)禁欲的なヴィブラート、一切の無駄を省いた発音、訥々としたテンポ取り。自在なボウイングで穿たれる、深い彫琢。「この音、チェロの概念が変わる」と帯のコピーにあるが、伊達ではない。首席奏者を歴任し、2013年からソリストとしても活躍する日本屈指の名チェリスト、木越洋。20年以上にわたって全曲演奏会に取り組み、通算100回を超えるという彼が、まさに満を持して臨んだバッハの無伴奏組曲の録音は、驚きと発見に満ちている。紐解く者により、異なる顔を見せる“チェリストの聖典”。「こう弾くはず」などという先入観に捉われていると、たちまち火傷してしまう。 (笹田和人)The Great Plains 国際マリンバコンクール第1位(2016年)を筆頭に国内外で確かな実績を残し、目覚ましい活躍をみせる若手のデビュー・アルバム。リサイタルで必ずとりあげるという、フランスのコンポーザー・パーカッショニスト(本人とも共演経験あり)、エマニュエル・セジョルネ作品をはじめ、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第3番から、北斗七星の中でひときわ輝く恒星の名前に喚起されて書かれたという服部和彦の「ミザール、あるいは並行する反射」まで、そのすべてが彼女の大切なレパートリーだとか。華やかに装飾された後半が印象的な〈星に願いを〉など名曲カヴァーも鮮烈。(東端哲也)イタリア・オペラの分野において八面六臂の活躍ぶりをみせる上江隼人による待望のソロ・アルバムは、ヴェルディのオペラ・アリア集『ヴェルディアーノ』。柔らかくもドラマティックさと明晰さにも事欠かない歌は、和洋問わずそれまでのヴェルディ・バリトンの中でも独自の高みにあることが1曲目《スティッフェーリオ》のスタンカーのアリアから早くも明らかとなる。また《ラ・トラヴィアータ》を聴けばセンシティヴな心情表現に長けていることも体感させられ、これを日本人的美質と言って良いのかはさておき、とにかく上江の歌は卓越している。上江父子〈くろゆり〉二種併録も洒落ているじゃないの。(藤原 聡)CD
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