eぶらあぼ2021.3月号
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86CDCD軒下ランプ/佐藤采あやか香「夢」探しながら―日本名歌集2―/ヴィタリ・ユシュマノフ&塚田佳男J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲/辰巳美納子Liberté/泉真由&松田弦加藤昌則:ユーフォニアムとピアノのための「軒下ランプ」/J.S.バッハ:無伴奏パルティータBWV1013/ベートーヴェン:モーツァルトの《魔笛》の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲/メンデルスゾーン:無言歌op.109/ヴェースピ:ユーフォニアム協奏曲/スパーク:イーナの歌佐藤采香(ユーフォニアム)清水初海(ピアノ)瀧廉太郎:花/草川信:夕焼小焼/中田章:早春賦/岡野貞一:故郷/山田耕筰:赤とんぼ/佐々木すぐる:月の沙漠/中田喜直:夏の思い出/古関裕而:長崎の鐘/中村八大:上を向いて歩こう/田正:いつでも夢を/小椋佳:愛燦燦/見岳章:川の流れのように 他ヴィタリ・ユシュマノフ(バリトン)塚田佳男(ピアノ)J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲辰巳美納子(チェンバロ)鈴木大介:マカロン公爵/前田智洋:タチバナ・ベイ/ディアンス:フォーコ「リブラ・ソナチネ」より/ピアソラ:タンティ・アンニ・プリマ、タンゴの歴史/アイルランド民謡:ロンドンデリーの歌泉真由(フルート)松田弦(ギター)妙音舎MYCL-00004 ¥3200+税オクタヴィア・レコードOVCL-00735 ¥3000+税コジマ録音ALCD-1202 ¥2800+税フォンテックFOCD9842 ¥2000+税コンクールで受賞を重ねる気鋭ユーフォニアム奏者の2枚目のソロCD。スイス留学から帰国後の活動第1弾となる本作は、留学の成果も反映された素晴らしい内容だ。バロックの様式やアーティキュレーションをしかと押さえながら、同楽器でしか表現し得ない魅力を創出したバッハの無伴奏パルティータは特に見事。他2曲を含めたクラシック作品には、佐藤の音楽性の高さが如実に示されている。タイトル曲の抒情味も光り、ヴェースピの協奏曲の技巧や構築もまた鮮やか。芳醇な音色と縦横かつ自然な表現による密度の濃い演奏が終始続く、聴きどころ満載の注目盤!(柴田克彦)サンクトペテルブルクに生まれたヴィタリ・ユシュマノフは日本を愛するバリトン歌手。2013年の秋以来、度々来日して宗教曲のソリスト、オペラへの出演、リサイタルなど各地で演奏を重ね、15年から拠点を日本に移している。そんな彼が、全曲日本語の作品を並べたアルバムの第2弾をリリースした。「故郷」をはじめ、美空ひばりの「愛燦燦」など、日本人にとってなじみ深く旋律の美しい、また語りが重要となる作品が並ぶ。ヴィタリの美しい日本語と深い響きの声が絶妙にマッチした演奏はとても魅力的だ。日本、そして日本語という言語への深い愛情を感じる。(長井進之介)辰巳美納子の新譜は「ゴルトベルク変奏曲」。一つひとつの変奏に対して、丁寧で精緻なアプローチで臨み、なおかつ柔和で流れるような音楽的表現が隅々まで行き届く。この大作の技巧的性格を強調しすぎることなく、自然な音運びと、愛器であるB.ケネディ製作ルッカースモデルの2段鍵盤チェンバロを自在に歌わせる立体感あふれる音作りで、ポリフォニーの喜びを伝える。独奏および通奏低音奏者として、バッハ・コレギウム・ジャパンをはじめとし、各主要オーケストラ、共演者からの熱い信頼を寄せられている辰巳。音楽家としての誠実な姿勢がここに発露されている。(飯田有抄)ともに高知県出身、多彩なレパートリーでフルートとクラシックギターの可能性を開拓しているデュオによる待望のセカンド・アルバム。冒頭の鈴木大介作曲「マカロン公爵」の新アレンジから魅了され、同じく人気ギタリストの前田智洋による委嘱作品「タチバナ・ベイ」(ライナーに書かれた素敵なバック・ストーリーも必見)で一気に二人の世界に引き込まれる。ギター・ソロでディアンス「フォーコ」を堪能した後は今年生誕100年を迎えるピアソラ作品へ。特に「タンゴの歴史」はまるでこのコンビのために書かれたかのように聴き応えたっぷり。締めの愛唱歌も美しい。 (東端哲也)SACDCD

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