82SACDCDCDニューイヤー・コンサート2021/ムーティ&ウィーン・フィルショパン:バラードと即興曲/アンナ・ヴィニツカヤ坂本龍一4~ヴァイオリン&ピアノ・ワークス/篠崎史紀&岡城千歳ヴォヤージュ/清水真弓スッペ:ファティニッツァ行進曲/ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル「憂いもなく」/ツェラー:ワルツ「坑夫ランプ」/ミレッカー:ギャロップ「贅沢三昧」/コムザーク:ワルツ「バーデン娘」/J.シュトラウスⅠ:ヴェネツィア人のギャロップ、ラデツキー行進曲(ウィーン・フィル編)/J.シュトラウスⅡ:ワルツ「春の声」 他リッカルド・ムーティ(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ショパン:バラード第1番~第4番、即興曲第1番~第3番、幻想即興曲(即興曲第4番)アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノ)坂本龍一:Tong Poo(東風)、1919、Tango、変革の世紀、『シェルタリング・スカイ』テーマ、『ハイヒール』より〈タコネス・レハノス〉、『ラストエンペラー』テーマ、戦場のメリークリスマス、エナジーフロー、ピアノ組曲、オペラ《ライフ》より〈オッペンハイマーのアリア〉 他篠崎史紀(ヴァイオリン)岡城千歳(ピアノ)セロツキ:トロンボーンとピアノのためのソナチネ/ゴーベル:交響的小品/マルタン:バラード/カステレード:トロンボーンとピアノのためのソナチネ/デュファイ:「バッハ風」、「シューマン風」、「ドビュッシー風」/石川千晶:シュピールロイメ/ストヨフスキー:幻想曲清水真弓(トロンボーン)マルコ・ヒルポ(ピアノ)収録:2021年1月、ウィーン(ライブ)ソニーミュージックSICC-2221,2222(2枚組) ¥2900+税ALPHA/ナクソス・ジャパンNYCX-10191 ¥2700+税収録:2004年6月、長野県県民文化会館ホクト文化ホール(ライブ)Château/東京エムプラスC 20002 ¥1891+税オクタヴィア・レコードOVCC-00159 ¥3200+税3年ぶり6度目の登場となるムーティを迎えてのニューイヤー・コンサートは無観客。ラデツキー行進曲の手拍子もない。それでもオーストリアのTV中継の視聴率は54パーセントに上ったという。聴けば納得。華やかなサウンドがたちまちに室内を満たし、新春を寿ぐ。ワルツはぐっと踏ん張ったところから流れだし、ポルカは快活、陽気に駆け抜ける。今年はひときわ輝いているぞ――そう思うのは当方の耳や精神状態のせい? そんなことはない。このような時だからこそ、彼らは極上の音のメッセージを届けようと張り切っているのだ。音楽は人生を、その苦しみにあって慰め、明るく勇気づけてくれるものだ、と。(江藤光紀)ロシア出身のピアニスト、アンナ・ヴィニツカヤは2007年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し世界的な注目を集めた。ラフマニノフなど祖国ロシアの作曲家の作品はもちろん、ブラームスにラヴェルの作品も得意とするなど幅広いレパートリーを誇り、ドラマティックな表現で作品の魅力を鮮やかに示す演奏で高い評価を得ている。そんな彼女の新作は、これまでとは大きく方向を変えたオール・ショパン・プログラムだ。重厚なスケールの大きな演奏でありながら、フランスものも得意とする彼女らしいスマートさも随所に織り込まれ、実にバランスのいい演奏である。(長井進之介)このような音源が存在していたとは! 2000年の第1弾を皮切りにして第3弾まで存在する岡城千歳による坂本龍一作品集であるが、このたび04年にライブ収録されたままお蔵入りとなっていた録音が発売された。時系列的には前後すれどもつまりは第4弾である。ほとんどは岡城が編曲した版を用いてのその演奏は、オリジナルのそれとは概ね異なった相貌をまとう。大きく言えば、スタティックな佇まいをみせるオリジナルに対し動的で起伏に富んだ岡城の演奏、と言えるか。12曲中6曲に参加している篠崎史紀との呼吸も抜群で、中でも「1919」がアレンジ共々秀逸だ。 (藤原 聡)南西ドイツ放送響の首席奏者を務めながら世界中で多彩な活動を続ける清水真弓の、約5年ぶり2枚目のソロ録音。近現代の(主にパリ関連の)オリジナル・トロンボーン作品を集めた充実の一枚だ。定番のマルタン「バラード」やカステレードのソナチネの豊かな表情と高揚感に引き込まれ、デュファイの「バッハ風」では、巧みな曲想の妙と鮮やかな音の運びに魅せられる。清水自身のタップダンス(!)を交えた石川千晶への委嘱作品にも愉しさが横溢。ストヨフスキーの「幻想曲」の歌い回しにも酔わされる。トロンボーン愛好家でなくても全体を通して楽しめる好ディスク! (柴田克彦)CD
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