eぶらあぼ2021.3月号
83/145

80審査を経て、出場者が決定する。審査委員は、ヴァイオリン部門が堀米ゆず子審査委員長をはじめ12名、ピアノ部門は野平一郎審査委員長をはじめ11名が務める。第1位には賞金300万円と金メダル、ディプロマが授与され、仙台フィルハーモニー管弦楽団等との共演、仙台市等でのリサイタル出演のほか、両部門とも上位3名の入賞者は最終日の入賞者記念ガラコンサートに出演する機会が得られる。 課題曲は協奏曲が中心に据えられ、予選またはセミファイナルからオーケストラとの共演が課される。また、ヴァイオリン部門のセミファイナルで、協奏曲以外にコンサートマスターとして演奏する規定があるのも大きな特徴。 当初、開催発表記者会見が行われる予定だったが、コロナ禍の影響で中止となり、公式サイトで同コンクール組織委員会会長の郡和子仙台市長らのビデオメッセージが公開されている。郡市長は「市民と協働しながら、音楽の都・楽都仙台として出場者の皆さまを受け入れる準備をしっかりと整えてまいります」とコンクール開催へ向けて意気込みを語った。仙台国際音楽コンクールhttps://simc.jp■訃報:岡村喬生 オペラのみならず司会、文筆など幅広く活躍したバス歌手の岡村喬生が1月6日、慢性腎不全のため死去した。89歳。 東京生まれ。ジャーナリスト志望で早稲田大学に学ぶが、在学中グリークラブで声楽の魅力に触れ、卒業後に留学、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院を経て、ウィーン国立音楽アカデミー・リート・オラトリオ科を修了。1960年、イタリアのヴィオッティ国際音楽コンクール声楽部門金賞、フランスのトゥールーズ国際声楽コンクールで優勝。以後20年間、専属歌手を務めたオーストリアのリンツ州立歌劇場、ドイツのケルン歌劇場を中心に、ヨーロッパ各地のコンサート、オペラで活発に活動した。79年に本拠を日本に移してからは、国内でのオペラ普及に務め、テレビ番組の司会、CM、講演会、執筆活動にも勤しむなど多様なメディアに登場した。近年は、正しい日本文化の理解を目指したプッチーニのオペラ《蝶々夫人》改訂上演で話題を集めた。また、シューベルトの歌曲集「冬の旅」はライフワークとして38年間、晩年まで歌い続けた。■都響が2021年度楽季プログラムを 発表 東京都交響楽団が2021年度楽季プログラム(20 21年4月〜2022年3月)を発表した。独墺の作品を主軸としながらも、ワールドワイドな幅の広いプログラミングが特徴。 新シーズンは大野和士音楽監督のタクトで、同楽団の十八番であるマーラーの交響曲第1番「巨人」により開幕(2021.4/20)。続けて、藤村実穂子(メゾソプラノ)とニコライ・シュコフ(テノール)を招いてのマーラー「大地の歌」をショスタコーヴィチの交響曲第1番と併せて贈る(4/25, 4/26)。マーラーの出世作と晩年の傑作という、智将大野らしいアプローチ。さらに大野は、秋には生誕150年を迎えるツェムリンスキーの「メーテルリンクの詩による6つの歌」(藤村実穂子)と歌劇《フィレンツェの悲劇》(演奏会形式)をセス・カリコ(バリトン)ほか豪華な歌手陣を揃えて上演(10/20, 10/21)。さらにターネジ「タイム・フライズ 2020」(都響とNDRエルプフィルほかの委嘱作品/日本初演)、ブリテン「春の交響曲」と、20世紀&21世紀のイギリスの巨匠によるプログラムを用意するなどすこぶる意欲的だ(22.2/18)。 桂冠指揮者のエリアフ・インバルはアレクセイ・ゼレンコフ、ヘルシンキ大学男声合唱団との共演によるショスタコーヴィチの交響曲第13番「バービイ・ヤール」(3/14, 3/15)、バルトーク「中国の不思議な役人」組曲とリストのピアノ協奏曲第1番(ソロ:マリアム・バタシヴィリ)等、これもまた刺激的な“ハンガリー・プロ”を披露する(3/19)。首席客演指揮者のアラン・ギルバートのバーンスタイン《キャンディード》序曲、コープランド「アパラチアの春」、アイヴズの交響曲第2番という“20世紀アメリカ・プロ”(21.6/26)、都響初登場となるダニエル・ハーディングのR.シュトラウス「アルプス交響曲」(7/18, 7/19)、マルク・ミンコフスキによるブルックナーの交響曲第5番(ノヴァーク版)(9/9)などオケファン垂涎の強力なラインナップとなった。東京都交響楽団https://www.tmso.or.jp■第8回 仙台国際音楽コンクール概要 発表 2022年に開催予定の第8回仙台国際音楽コンクールの概要が発表された。本コンクールは3年に一度、ヴァイオリンとピアノの2部門が開催される。期間は、ヴァイオリン部門が5月21日から6月5日、ピアノ部門が6月11日から26日で、出場者の申込受付は今年6月10日から11月10日まで。動画による予備写真提供:ミリオンコンサート協会

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る