eぶらあぼ2021.3月号
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35山田和樹(指揮) 読売日本交響楽団入魂のタクトとソロが炸裂するグラズノフと20世紀の傑作文:柴純子第606回 定期演奏会 3/4(木)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp コロナ禍にありながら、昨年12月から3ヵ月余り日本に滞在している常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレと共演を重ね、好調をキープしている読売日本交響楽団。3月定期は、首席客演指揮者の山田和樹が久々に登場して、ウェーベルン、別宮貞雄、グラズノフの凝ったプログラムを披露する。 ウェーベルン「パッサカリア」op.1(1908)は、ロマンティックな抒情を漂わせながら対位法への指向を強めた意欲作。簡潔な主題が豊かな音響世界を切り開き、すべての音が雄弁で音楽の密度が濃い。山田の的確な指揮と読響の研ぎ澄まされた音で、その世界をつまびらかにするだろう。 山田はこれまで、様々な演奏会で柴田南雄、武満徹、矢代秋雄、三善晃ら、戦後日本を代表する作曲家を積極的に取り上げてきた。今回の別宮貞雄(1922~2012)もそのひとり。別宮は、東京大学卒業後、パリでミヨーやメシアンに師事。帰国後、精力的に作品を発表し、ヴィオラ協奏曲(1971)は尾高賞受賞作。ヴィオラが悠々と旋律を歌い上げ、骨太で構築性の高いオーケストラと対峙する名曲だ。独奏は読響ソロ・ヴィオラ奏者の鈴木康浩。ソリストとしても活躍する鈴木の技巧と艶のある美音は、別宮作品でも存分に発揮されるだろう。 後半は、グラズノフ「交響曲第5番」(1895)。山田はチェコ・フィルハーモニー管弦楽団と録音するなどこの曲を得意とする。ロシアの伝統を受け継ぎ、雄大さと濃厚な色彩をもち、のびやかな旋律も美しい。山田と読響の燃焼度の高いエネルギーに満ちた演奏が楽しみだ。THE SUPER SOLOISTS SPECIAL辻井伸行 加古 隆 レ・フレール ~THE PIANIST! オーケストラ・コンサート話題のピアニストたちがジャンルを超えて繰り広げる圧巻のパフォーマンス文:藤原 聡4/3(土)15:00 Bunkamura オーチャードホール問 チケットスペース03-3234-9999 https://avex.jp/tsujii/他公演 4/14(水) 神戸国際会館こくさいホール、 4/15(木) 京都コンサートホール、4/18(日) アスティとくしま、4/20(火)・4/21(水) 高知県立県民文化ホール、4/23(金) 愛媛県県民文化会館、4/25(日) 高松/レクザムホール(4/14~25はオーケストラとの共演なし) ※ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 2013年から不定期に行われている井伸行、加古隆、レ・フレール(斎藤守也&斎藤圭土)という異色のアーティストの取り合わせによる人気コンサートシリーズ「THE PIANIST!」。なるほどタイトル通り皆がピアニストながら、それぞれのバックボーンや芸風は大きく異なっていよう。しかしながら明確に共通する点──それは自ら作曲も行い、さらには1つのジャンルの中に安住せずに多彩な音楽活動を積極的に展開しているところであろう。 そんな彼らによる待望の同シリーズがこの4月3日、オーチャードホールにて開催される。ここでは山下一史指揮の東京フィルが共演し、アーティストはそれぞれの自作曲を披露するのに加え、井はガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、久石譲の楽曲なども演奏する予定。それぞれのファンは言うまでもなく、ピアノという楽器を愛する方は聴き逃せない一期一会的なコンサートとなりそうだ。なお、この顔合わせによるコンサートはツアーとして、関西および四国で合わせて7公演が開催される予定(ただし、オーケストラが共演するのは4月3日のみ)。なかではステージ上に大型スクリーンを設置、その超絶技巧や演奏中のアーティストの表情が映し出されるアスティとくしまでの公演も注目だ。レ・フレール ©Yuu Kamimaki井伸行 ©Yuji Hori加古 隆 ©Yuji Hori鈴木康浩山田和樹 ©読売日本交響楽団

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