eぶらあぼ2021.3月号
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104恋人に会いたい一心で街に火を放ち、火刑に処されたという「八百屋お七」。これを題材にした池辺晋一郎作曲のオペラ《おしち》を、主役に幸田浩子を据えた実力派キャスト、十川稔の演出、松井慶太指揮のオーケストラ・アンサンブル金沢ほかの熱演で聴く。これに先立ち、この話を大胆に笑いへと“変換”した落語を、立川流四天王の一人・談笑が披露。井原西鶴も活写した、江戸期の悲劇が立体的に味わえる。桐朋学園大・同大学院から、チェコ・プラハでも研鑽を積み、群馬交響楽団のコアメンバーとして、またソリストとしても活躍するヴァイオリンの古橋綾子が、ライフワークとして取り組む「無伴奏の夕べ」の第8夜。バッハの第3番、イザイの第6番、バルトークと3つのソナタに、マッティス「エア集」からの3曲、テレマン「ファンタジー第6番」、エルンストの難曲「シューベルト〈魔王〉の主題による大奇想曲」を弾く。月の3中野慶理(ピアノ)芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ 第37回演奏会「1964年前後・東京オリンピックの時代」オーケストラ・アンサンブル金沢伝統芸能&室内オペラ「おしち」無伴奏ヴァイオリンの夕べ(8夜)古橋綾子(ヴァイオリン)土曜ソワレシリーズ《女神との出逢い》 第294回松田理奈・新倉 瞳・岡田 奏トリオ3/5(金)19:00 住友生命いずみホール3/21(日)14:30 紀尾井ホール3/9(火)18:30 石川県立音楽堂 邦楽ホール3/25(木)19:00 高崎芸術劇場 音楽ホール4/1(木)19:00 近江楽堂(東京オペラシティ3F)3/20(土・祝)17:00 フィリアホール文:笹田和人立川談笑松井慶太幸田浩子確かな技巧と構築力、見通しの良い音楽創りで聴き手を魅了する実力派ピアニスト、中野慶理。東京藝大附属高校からワルシャワ音楽院、ジュリアード音楽院大学院に学び、関西を拠点に精力的に活動する。今回は、リストの大作ソナタと、プーランク「ナゼールの夜会」が軸に。ここへリスト「巡礼の年 第2年 イタリア」から「ペトラルカのソネット第123番」、シューマン「森の情景」を添えた、奥行きのあるプログラムを聴かせる。若きミューズたちの、瑞々しい調べを味わう人気シリーズ「女神との出逢い」。今回は、ドイツに学び、豊かな表現力で人気の松田理奈(ヴァイオリン)、スイスを拠点にマルチな活動を展開する新倉瞳(チェロ)、エリーザベト王妃国際音楽コンクールでファイナリストとなった岡田奏(ピアノ)と国際派の名手たちが登場。メンデルスゾーンとブラームス、2つの「ピアノ三重奏曲第1番」の佳品から、香り立つロマンティシズムを引き出す。松田理奈 ©Naruyasu Nabeshima新倉 瞳 ©Hollywoodbeauty上野優子(ピアノ) プロコフィエフ・ソナタ全曲シリーズ 第3回 ヤマハ3/10(水)15:00 ヤマハホール気鋭のピアニスト、上野優子は桐朋女子高校音楽科からイタリアとフランスへ留学し、国内外の登竜門で優勝や入賞を重ね、国際的な活躍の一方、録音も高い評価を受ける。2017年にスタートした、ピアノメーカーを替えての「プロコフィエフ・ソナタ全曲シリーズ」。第3回はヤマハCFXを使い、第5番と第7番「戦争ソナタ」を。スクリャービンの第2番「幻想ソナタ」と詩曲「焔に向かって」、ショパン「舟歌」なども併せて披露する。©Akira Muto2002年の創設以来、芥川也寸志の遺志を受け継ぎ、邦人作品の紹介に力を注ぐ「オーケストラ・ニッポニカ」。今回は野平一郎の指揮で、「1964年前後・東京オリンピックの時代」と題して。古関裕而「オリンピックマーチ」(管弦楽原典版/1963)で幕開けし、入野義朗「交響曲第2番」(1964)、三善晃「管弦楽のための協奏曲」(1964)、團伊玖磨「交響曲第4番」(1965)と、日本が輝いていた時代の覇気あるサウンドに、未来への希望を重ねる。野平一郎&オーケストラ・ニッポニカ ©澁谷 学掲載している公演の最新情報は、それぞれの主催者のホームページなどでご確認ください。

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