37山本貴志 ピアノリサイタルショパンのスペシャリストが贈る特別なステージ文:長井進之介3/28(日)13:00 17:00 松尾ホール問 松尾楽器商会0120-004-331 2005年ショパン国際ピアノコンクール第4位入賞を果たし、「ポーランドの魂(こころ)を伝えるピアニスト」として世界的に注目を集めた山本貴志。美しい音色とショパンの音楽を自然に表現できるピアニストとして国際的に活躍する彼が、同コンクールが開催される今年、ショパンを中心としたプログラムによるリサイタルを開催する。 2部制で行われ、それぞれ違う曲目が用意されている。13時からの回ではショパンの「舟歌」にマズルカ集(op.59)、「英雄」ポロネーズ、そしてモーツァルトのソナタ(K.284)とベートーヴェンの「月光」ソナタが加わる。17時からの回は2つのノクターン(op.55)と24の前奏曲集というオール・ショパン・プログラムだ。いずれも山本のピアニズムが最大限に発揮される楽曲である。 なお、今回の会場となるのは、この3月31日をもって惜しくも閉館となる日比谷の松尾ホール。このホールでは、これまで数々の著名演奏家たちがリサイタルを開き、海外アーティストによるマスタークラスも行われるなど、多くの人々に愛されてきた。世界のピアノ音楽の最前線を知る場でもあったこのホールのラスト・コンサートとして開かれる山本のリサイタルは特別なものとなるに違いない。スタインウェイ・ピアノの魅力を最大限に引き出すホールの響きの素晴らしさに触れる最後のチャンスでもあるこの機会、各回の収容人数44名限定となっている。早めに予約しなくては後悔することになるだろう。いずみシンフォニエッタ大阪 第45回定期演奏会「飛翔する感性」多彩なメニューと名技が光る愉悦のコンテンポラリー文:伊藤制子2/6(土)16:00 住友生命いずみホール問 住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188 http://www.izumihall.jp 大阪を拠点にバラエティに富んだ現代作品を紹介してきた、いずみシンフォニエッタ大阪。第45回定期は大井剛史の指揮、上野耕平のサクソフォンにより、「飛翔する感性」というテーマで開催される。まず「せっかく大阪のオーケストラを指揮するのだから、大阪の作曲家の作品を」(大井)ということで、近年活躍めざましい酒井健治の「Photons」が選ばれた。きらきらする粒子の運動のような響きが、非常に洗練されたオーケストラ書法で表現される洒脱な一曲。技術的にも大変難しいサクソフォン・ソロと8つの楽器との対話も聴きどころである。もう1曲上野が吹くのが、ヒグドンのソプラノサクソフォン協奏曲。原曲はオーボエだが、「ソプラノサクソフォンのあったかい音と、ちょっとひんやりしたイメージにも合うと直感しました」(上野)という。多彩な音色を駆使する名手・上野の妙技が期待される。 さて今回は“風変わりな”作品にも注目したい。同アンサンブルのプログラム・アドバイザーである作曲家の川島素晴の提案により、カーゲルの「DIVERTIMENTO?」がプログラミングされた。カーゲルは、演劇性や身体性を駆使した作品で知られる巨匠。この曲には、〈アンサンブルのための笑劇〉という副題がついている。「楽譜に細かい指示があり、『立つ』とか『〇〇を見る』とか『4歩歩く』とか…。舞台上でドタバタのアクシデントがずっと続く曲です」(大井)。どんなことが起きるかは、ぜひ実際の公演でご確認を!上野耕平大井剛史 ©K.Miura
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