35第157回 リクライニング・コンサート 黒川 侑 ヴァイオリン・リサイタル3/26(金)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp黒川 侑(ヴァイオリン)俊英の思いが込められた、個性輝く鮮やかなプログラム取材・文:片桐卓也Interview 休憩なしの1時間という短い時間の中に、様々な色彩を持つ音楽を集めて贈るHakuju Hallの「リクライニング・コンサート」。3月26日に登場するのは、若手ヴァイオリニストの中でも特に注目を集める黒川侑だ。1時間のプログラミングは難しくないのかと尋ねたところ、「僕はiTunesなどで、色々な曲を並べたプレイリストを作ったりするのが好きで、特に難しさは感じませんでした。今回も楽しんでプログラミングができました」と“現代っ子”らしい(?)答えが返ってきた。 そのプログラムだが、まずストラヴィンスキーの「イタリア組曲」から始まり、中心となるのはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」だ。 「ストラヴィンスキーは2021年が没後50年となるので、必ず入れようと思いました。ブラームスは大好きな作曲家。ヴァイオリン・ソナタは3曲とも好きですが、特に第1番の『雨の歌』は3曲の中で最も規模が大きい作品で、とてもやりがいがある曲なので選びました」 ブラームスには特別の思い入れがあるようだ。 「例えばシューマンの作品ならば“親密さ”が感じられると思いますが、ブラームスには一種の“つらさ”を感じます。作品の中に書き込まれたブラームスの深い感情に共感する部分があり、それがひたひたと伝わってくるからこそ“つらさ”を感じるのだと思います。それが演奏を通して表現できれば嬉しいです」 このコンサートは3月なので、ちょうど春先に降る繊細な雨のように、聴き手の心のひだに触れる演奏になることを期待したい。 近現代の作品も好きだと語る黒川。ストラヴィンスキーもシマノフスキ(「アレトゥーサの泉」)も興味深い。 「ストラヴィンスキーの『イタリア組曲』はオリジナルが管弦楽で、編曲作品です。生き生きとしたバロック音楽を元にしながらモダンさが溢れていて、その表現の仕方がとても良くできているなと感じます。シマノフスキも実は組曲『神話』の中の1曲で、やはりモダンさがよく表れた作品だと思います」 そして、シューマンの名曲「トロイメライ」もある。 「巨匠の録音も多く、シンプルでも様々な捉え方のできる奥の深い作品だと思っていたので、ここで演奏したいと思いプログラムに入れました」 ピアノは、こちらもドイツなどで活躍する注目の若手・久末航が受け持つ。ふたりの共演は今回が初めて。Hakuju Hallの豊かな響きの中で、若いふたつの個性の対話が楽しめるコンサートになるだろう。住友郁ふみはる治 ピアノリサイタル 楽聖と魔術師へのオマージュ今この時だからこそ、熱い気持ちで臨む偉大な作曲家たちの傑作文:笹田和人 クラシックの枠組みを超越した、自在な活動を展開する実力派ピアニスト、住友郁治。「災禍にある今だからこそ、より熱い気持ちで臨む」というリサイタルで、“楽聖”ベートーヴェンと“魔術師”リスト、2人の偉大なコンポーザー・ピアニストの佳品を共鳴させ、新たな希望の世界への扉を開け放つ。 住友は国立音楽大学、同大学院を首席で修め、1992年の第5回国際リストコンクールをはじめ、国内外の登竜門で実績を重ねた。チェコで開かれた第2回ヤング・プラハ国際音楽祭には、日2/23(火・祝)14:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677https://www.proarte.jp本代表ピアニストとして出演。器楽や声楽の名伴奏者としても活躍し、後進を指導する一方、演劇の劇伴音楽を手掛けるなど多才でも知られる。 リサイタルでは、まず、第14番「月光」と第23番「熱情」、楽聖の2大ソナタを披露。そして、リストの「巡礼の年」から「第1年スイス」の第6曲〈オーベルマンの谷〉と「第3年」の第4曲〈エステ荘の噴水〉、「2つの伝説」から〈水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ〉、メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」を弾く。©Ikuo Hiramatsu
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