25特別演奏会 with 九州 ~第46回日本フィル九州公演~ 東京公演藤田真央も登場! 3都市を結ぶ新しいコンサート文:飯尾洋一2/22(月)19:00 Bunkamuraオーチャードホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp 1975年以来、日本フィルは九州全7県でツアーを行ってきた。地元市民の自主的な参加によって実行委員会を組んで開催する同ツアーは、市民とオーケストラが手を取り合って音楽文化を担うモデルとして注目を集めてきた。だが、長引くウイルス禍の影響で実行委員会の活動が困難になったことなどから、2021年2月に計画された2週間にわたる九州ツアーは断念されてしまう。 しかし、歴史ある九州公演の灯を消さないために、なにかできることはないだろうか。そんな思いから実現したのが、東京で開催される「特別演奏会 with 九州」。本来なら九州で演奏される予定だったプログラムを生かし、藤岡幸夫の指揮、藤田真央のピアノによる特別演奏会が開催される。会場は東京のBunkamuraオーチャードホールだが、同公演は大分県のiichikoグランシアタ、長崎県の長崎ブリックホール国際会議場にリアルタイムで中継され、ライブビューイングというかたちで九州の聴衆と音楽の喜びを分かち合うことになる。 プログラムはモーツァルトの歌劇《フィガロの結婚》序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。19年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞以来、ますます活動の場を広げる藤田がベートーヴェンに取り組むのが聴きもの。また「新世界より」は「藤岡版」と銘打たれ、作品本来の姿に迫る指揮者のこだわりが反映される。 なお、本公演に先立つ2月18日、めぐろパーシモンホールにて高関健指揮日本フィルのオール・ベートーヴェン・プログラムでも藤田は協奏曲のソリストを務める。こちらの演目はピアノ協奏曲第3番、交響曲第6番「田園」他。あわせて注目したい。クァルテットウィークエンド2020-2021クァルテット・エクセルシオ × クァルテット・インテグラ日本を代表するクァルテットの先達が次世代を導く文:宮本 明3/14(日)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net 日本では数少ない常設の弦楽四重奏団クァルテット・エクセルシオ。さまざまな切り口で弦楽四重奏の楽しみ方を教えてくれる第一生命ホールの人気企画「クァルテットウィークエンド」は、彼らの活動拠点のひとつでもある。その3月の公演は、「エク」が次世代を担う若手と共演するシリーズの第3弾。クァルテット・インテグラが登場する。 「インテグラ」は、三澤響果、菊野凜太郎(以上ヴァイオリン)、山本一輝 (ヴィオラ)、築地杏里(チェロ)の4人。2015年の結成当時に桐朋学園の高校生と大学生だった彼らは、現在まだ20代前半。若手ながら、19年の秋吉台音楽コンクール弦楽四重奏部門第1位や、プロジェクトQへの出演、NHK「ららら♪クラシック」出演など、同世代を牽引する存在だ。年に70~80公演を行う大先輩「エク」の経験とノウハウ、呼吸の一つひとつは、彼らにとっても何よりのお手本になるはず。シリーズ前回公演(タレイア・クァルテットの出演)では、ペグが緩んで、曲間に客席が凝視するなかで緊張気味に調弦する後輩の一人を、「エク」の先輩たちがあたたかい雰囲気を作って見守っていたのも印象的だった。 曲目は、まず「エク」がシューマンの第2番を、「インテグラ」がシューベルトの「死と乙女」を弾き、後半は合同で、弦楽八重奏の代表曲であるメンデルスゾーンの作品20を弾く。1×8であると同時に4+4。それぞれの個性の調和と競演の妙味。藤田真央 ©EIICHI IKEDA藤岡幸夫 ©Shin Yamagishiクァルテット・インテグラクァルテット・エクセルシオ
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