eぶらあぼ 2021.2月号
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106CDCDシューマン&メンデルスゾーン/横坂源&加藤洋之パトリック・ガロワの芸術・2 フランス・ロマン派ソナタ集/パトリック・ガロワ&瀬尾和紀モーツァルト:クラヴィーアとヴァイオリンのための作品全集/小林道夫&桐山建志DOS DEL FIDDLES LIVEシューマン:幻想小曲集op.73、アダージョとアレグロ/メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番、歌の翼に横坂源(チェロ)加藤洋之(ピアノ)フランク:ソナタ イ長調/ピエルネ:ソナタ ニ短調/ヴィドール:組曲 作品34パトリック・ガロワ(フルート)瀬尾和紀(ピアノ)モーツァルト:ソナタ ハ長調 K.6、同ト長調 K.301、同変ロ長調 K.378、同ヘ長調 K.547、アンダンテとフーガ K.402(M.シュタドラー補筆)、「羊飼いの娘セリメーヌ」による12の変奏曲 K.359 他小林道夫(チェンバロ/フォルテピアノ)桐山建志(ヴァイオリン)バルトーク:二つのヴァイオリンのための44の二重奏曲より/クライスラー(山中惇史編):愛の喜び/フォスター(山中編):金髪のジェニー/ブラームス(山中編):ハンガリー舞曲第5番/モンティ(山中編):チャールダーシュ/山中惇史:晴れのちケルト 他DOS DEL FIDDLES(ドス・デル・フィドル)【石田泰尚 﨑谷直人(以上ヴァイオリン)】 山中惇史(ピアノ)オクタヴィア・レコードOVCL-00746 ¥3200+税VIRTUS CLASSICS/ナクソス・ジャパンVTS-009 ¥3000+税コジマ録音収録:2014年5月・12月&2015年4月・11月、愛知県立芸術大学 室内楽ホール(ライブ)LMCD-2108~2115(8枚組) ¥8800+税収録:2020年9月、紀尾井ホール(ライブ) 他日本コロムビアCOCQ85516 ¥3000+税流麗な美しさと心の内を垣間見せるような淡い哀感が胸を打つ、ドイツ・ロマン派の2大家の名作集。演奏活動20周年を経て、円熟の域に入りつつある若きチェロの名匠、横坂源は、実在感と温もりにあふれる音色で作品の内奥に迫り、実に味わい深い好演を実現した。内省的な陰をもつシューマンの小品はもちろんのこと、華麗かつ爽快なメンデルスゾーンの名ソナタも凛々しく濃密な表現で、その魅力を味わわせてくれる。同ソナタのピアノは超絶技巧が要求される難曲だが、さらりと繊細に弾きこなす加藤洋之の技量にも感嘆。2020年秋の録音で聴く「歌の翼に」が涙腺を刺激する。(林 昌英) フランスのフルートの大家が、現在同楽器の重要レパートリーとなっている19世紀後半のフランス作品を3曲収録したアルバム。まろやかにして濃密な音色で表情豊かな音楽が展開される、充実度の高い一枚だ。フランクとピエルネのソナタは本来ヴァイオリン曲だが、起伏に富んだ演奏によってフルート版ならではの妙味が充分に表現されているし、ヴィドールの洒脱な味わいも秀逸で、3人の個性の明快な表出が興趣を大いに盛り上げる。師弟関係にあるフルート奏者・瀬尾和紀がピアノを受け持ち、共演者と楽器と楽曲を熟知した強みを発揮している点も特筆される。(柴田克彦)鍵盤楽器奏者、室内楽奏者、指揮者として日本の音楽界を牽引し続ける小林道夫がバロック、モダンの両方の分野で活躍するヴァイオリニストである桐山建志とタッグを組み、2014~15年にかけてモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会(全8回)を開催。本盤はそのライブ録音である。8枚組という大ボリュームだが、色鮮やかに展開するモーツァルトの世界はどんどん次を聴きたくなるはずだ。桐山は伸びやかな音色でモーツァルトならではの生き生きとした歌を紡ぎ、小林はその歌に溶け合い、時には軽やかにリード。常に“対話”を楽しむ演奏は、聴いていると思わず笑顔になってしまう。(長井進之介)神奈川フィルのコンマスを務めながらも多彩な活躍ぶりをみせる石田泰尚と﨑谷直人によるユニット「DOS DEL FIDDLES」デビューアルバム。ジャケがこれだからといって物凄く変わったことをしている、という訳ではなく基本的にはオーソドックスかつ品格ある演奏を披露しているのだが(原曲を損なわず新味をまぶす山中惇史の編曲が見事)、しかしクライスラー作品におけるフレッシュな表情付けやハンガリー舞曲でのテンポの扱いの妙味、はたまた独特のグルーヴ感に満ちたチャールダーシュなどをはじめ全12曲、奇を衒っていないのにどこか新しい肌触りがある。一聴されたい。(藤原 聡)SACDCD

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