eぶらあぼ 2021.1月号
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41シューベルト没後200年=2028年へ向けての佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソナタ全曲演奏会全8回連続演奏会第1回 1/28(木)19:00 東京文化会館(小)問 ピアノミュージックジャパン080-5528-3281 https://blog.goo.ne.jp/piano_music佐伯周子(ピアノ)全曲に取り組んだことで見出したシューベルトの魅力取材・文:飯田有抄Interview ピアニストの佐伯周子が、2021年より8年にわたる「ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソナタ全曲演奏会」(全8回)をスタートさせる。これは2028年シューベルト没後200年に向けた壮大なプロジェクトだ。佐伯はすでに04年から19年にかけて同新全集に典拠した「ピアノソロ全曲演奏会」を完遂している。なぜあらためてソナタに特化したシリーズを開始するのだろうか。 「全曲を弾いたからこそ分かったことや、もっと深めたいことが明らかになりました。舞曲の中で、ソナタが埋もれてしまったような感覚もあったので、あらためてソナタだけを丁寧に扱いながら、その魅力をより浮き立たせていきたいと考えました」 全8回の構成はすでに考えられている。 「毎回、初期・中期・後期それぞれのソナタを楽しんでいただけるように組み合わせます。とりわけ初期と中期のソナタや、未整理だった楽章は、メロディラインが美しく歌心に溢れたものも多くあります。しかし今まで演奏機会が多かったとは言えません。それらの素晴らしさをお伝えしたいです」 新全集の校訂や学説を丁寧に読み込み、未完とされてきたソナタにも想定される楽章を補った形で提示する。第1回では、ソナタ第1番D157を、D566/2を加えた4楽章構成として演奏する。 「できる限り主観を排除し、研究者たちが本気で取り組んだ成果を、演奏という形で忠実に再現します。ただ、必ずしもそうした点に関心を持たれなくても、音楽そのものを楽しんでいただきたいですね。シューベルトの音楽は、いつでも寄り添ってくれるような心地良さや歌心に溢れていますから」 コンサートはベーゼンドルファーのインペリアル(低音部を拡張した97鍵)のピアノを使う。自宅でも弾き込むこのピアノは、佐伯の指によく馴染むという。 「D678のミサ曲以降、チェロとコントラバスの低音楽器を分けて書くなど、シューベルトは低音部に繊細な意識をもって作曲していました。バスの響きが伸びやかで、全体的にドイツ語的なイントネーションの音楽作りができるベーゼンドルファーこそ、シューベルトの演奏に最適です」 未完・未整理・断片が多いため、「限られた作品しか親しまれていないのが残念。シューベルトが喜んでくれたら」という思いで、昨今では演奏動画の配信にも力を入れはじめた。2028年に向けた佐伯の熱意あふれる取り組みに注目していきたい。辰巳美納子 チェンバロ・リサイタル名手が“鍵盤音楽の最高峰”を変幻自在に描き出す文:寺西 肇 闊達に、しかし繊細に。チェンバロの表現の可能性を拡大するような変幻自在のプレイを展開する辰巳美納子が、ついに“鍵盤音楽の最高峰”である大バッハの「ゴルトベルク変奏曲」へ対峙。このほど満を持してCD録音に臨み、そのリリースを記念するリサイタルを自身の地元・高崎と東京で開く。 武蔵野音大から東京藝大・同大学院に学び、アムステルダム・スヴェーリンク音楽院では、グスタフ・レオンハルトら巨匠の薫陶を受けた。帰国後はリサイタル活動の一方、通奏低音奏者としても活躍し、オーケストラ・アンサンブル金沢など主要楽団の公演にも多数出1/17(日)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール1/29(金)19:00 東京文化会館(小)問 アレグロミュージック03-5216-7131 http://www.allegromusic.co.jp©Masashige Ogata演。これまでに3枚のCDを発表し、高い評価を得ている。 ステージでは、30年来愛用している、現代の名匠ブルース・ケネディ製作によるフレミッシュの銘器(17世紀のルッカースに基づくレプリカ)で、「ゴルトベルク変奏曲」全曲はもちろん、同じト長調の「フランス組曲第5番」も併せて披露。辰巳の持ち味である、凛とした佇まいや、楽想ごとに鮮やかに変容する色彩感が存分に堪能できよう。©宇都宮 保

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