38ピアノ DE トラベル 1/22(金)19:30 代官山 蔦屋書店3号館 2階音楽フロア問 東音企画03-3944-1581 https://eplus.jp/sf/streamingplus ※会場観覧は限定30名黒田亜樹(ピアノ)困難な今だからこそ! 10人のピアニストの熱き想いをオンラインで発信取材・文:長井進之介Interview イタリアを拠点に活動するピアニストの黒田亜樹。バロックから現代に至る幅広いレパートリーで国際的な演奏活動を展開し、指導者としても国際コンクールで目覚ましい成果を上げる生徒を次々と輩出している。2020年は新型コロナウイルスの影響により多くの音楽家が影響を受けているが、世界各国で活躍するピアニストの黒田の状況は特に深刻。演奏活動を大きく制限されている。そんな彼女が企画したのが「ピアノ DE トラベル」。10人のピアニスト(黒田亜樹、須藤千晴、小塩真愛、池田慈、鴇田恵利花、小林侑奈、大貫夏奈、三上結衣、保屋野美和、越加奈恵)が国内外11都市から演奏を届けるというものだ。 「今年はほとんどの演奏会がなくなってしまい、日伊間の往復も1回のみでした。配信コンサートやオンライン審査など、できることには取り組んできましたが、ようやくエンターテインメント業界に復活の兆しが…と思っていたところにミラノも再ロックダウンがきて…。音楽家としてできることは何か、と再び考えることになりました」 やはり音楽家として前に進み続けなくてはならない、と決意を新たに、これまで様々な企画を共に手掛けてきた東音企画の福田成康氏とアイディアを練った。国際的移動制限の中で何ができるかと考えた企画は、多くの応募の中から「文化芸術収益力強化事業」に採択された。 「代官山 蔦屋書店にはピアノとプロジェクターが揃ったスペースがあり、そこから映像配信をします。当日この会場から生演奏をお届けしたり、収録した動画の配信も行う、ハイブリッド型のコンサートです。蔦屋書店はさまざまな人が訪れる、文化の中心とも言える場所です。ふと足を止めてくださった方が私たちの発信する音楽に耳を傾けてくれて、それがまた新しい何かを生み出していくきっかけになると思います。初回ですし、まだ“実験”段階ではありますが、きっと面白いものが生まれると思います」 海外在住で、当日会場から参加できないメンバーは収録動画での参加となる。だが、そこにも新しい要素を取り入れたいと黒田は話す。 「今回“トラベル”ということもあり、その街ならではのものや歩くシーンを入れてほしいと伝えています。その場所の空気感や“いま”を届けることも重要だと考えています。メンバーそれぞれがいま頑張っていることを伝えるのと同時に、いま旅行に行くことが非常に難しい方々に旅行の気分も味わっていただけるのではないでしょうか。選曲もその土地にちなんだものを皆に考えてもらっています」 アーティストとしてできることは何かを常に模索し、止まることなく新しい発信の在り方を見出していく黒田。この“実験”もまた、新たな道を切り開いていくことだろう。東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 中島裕康(箏)時代やジャンルを超えて、魂の宿る音楽を文:伊藤制子 21世紀の音楽界に新風を吹き込む奏者の登場である。2010年の片岡リサ以来2人目の箏曲でのB→C出演となる中島裕康は、学校の鑑賞授業で箏曲の魅力にめざめ、東京藝術大学附属高校に進学。もともとドビュッシー、ラヴェルらにも魅せられていた中島は、作曲科の新作初演にも足を運ぶようになり、伝統と現代との懸け橋として活動を展開中だ。今回はすべてソロ作品で、細川俊夫の緊張感のある「夜」を皮切りに、大家・八橋検校の没年に生まれたバッハのリュート作品は、十七絃で披露予定。この楽器の「温かく豊かな1/26(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp©Ayane Shindo響き、重厚感がバッハとよく合う」という。「斬新だが意外とアナログ」な気鋭の山本和智、以前からファンであり、その世界観や空気感に魅了されているという権代敦彦への委嘱新作では、箏という楽器の斬新な側面も味わえそうだ。リサイタルのしめくくりになるのは、松村禎三の十三絃箏のための格調高い名作「幻想曲」。箏と箏曲の可能性を存分に堪能させてくれる一夜に期待したい。
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