34第18回東京音楽コンクール 優勝者&最高位入賞者コンサート未来を拓く若きヴィルトゥオーゾ4人の競演文:山田治生1/11(月・祝)15:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp 2020年夏に東京文化会館で開催された第18回東京音楽コンクールでは、ピアノ・弦楽器・金管楽器の3部門が審査されたが、その優勝者及び最高位入賞者が、1月11日、再び同会館に集い、オーケストラと協奏曲を奏でる。 ピアノ部門からは、第2位(最高位)を分けた、大崎由貴と谷昂登が出演する。大崎は1993年生まれ。東京藝術大学、ザルツブルク・モーツァルテウム大学修士課程で研鑽を積んだ。2019年、イタリアのピエトロ・アルジェント国際音楽コンクールで第2位入賞。今回はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を披露する。谷は03年生まれ。現在、桐朋女子高校音楽科(共学)の2年生。20年には、ピティナ・ピアノコンペティション特級銅賞も獲得し、広島交響楽団の定期演奏会にも出演した。リストのピアノ協奏曲第2番でこの日のコンサートのトリを務める。 弦楽部門の第1位はヴァイオリンの前田妃奈。02年生まれ。現在、東京音楽大学付属高校の3年生。19年の日本音楽コンクールで第2位に入賞している。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番で名技を披露。金管部門の第1位は、トロンボーンの伊藤雄太。1994年生まれ。2017年に昭和音楽大学を卒業した。今回、伊藤は、デンマークの作曲家グレンダールが1924年に書いたトロンボーン協奏曲をとりあげる。共演は、角田鋼亮指揮新日本フィル。東京文化会館から羽ばたく様々な楽器の若き才能たちのフレッシュな演奏に注目したい。谷 昂登エリアフ・インバル(指揮) 東京都交響楽団巨匠降臨、ワーグナーとブルックナーの豪演炸裂!文:林 昌英都響スペシャル20211/12(火)19:00 東京文化会館 1/13(水)19:00 サントリーホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp 2021年1月、インバルがやって来る! 新型コロナウイルスによる制限下、海外演奏家が来日できないことに多くの主催者が悩まされ続けた。しかし、晩秋からは単身での訪日がやっと実現しはじめ、なかでもポストをもつ名指揮者の来日実現は大いに話題となり、私たちを勇気づける光明ともなった。 そして年明け、巨匠エリアフ・インバルが東京都交響楽団の都響スペシャルに登場する。期待に胸が膨らむとはこのこと。これほどの大家が2週間待機を受け入れての登壇ということで、楽団も聴衆も自ずと高揚感が高まる。 当初予定されていた声楽付きの大編成演目は変更になったものの、代わりに選ばれたのはインバル得意のワーグナーとブルックナー。まさに僥倖。前者は《トリスタンとイゾルデ》より「前奏曲と愛の死」。何度も名演を聴かせてきた演目だが、世界的難局の中での本作冒頭は堪らない瞬間になるだろう。後者は交響曲第3番「ワーグナー」(ノヴァーク1873年初稿版)。インバルのブルックナーは質実剛健、厳しく引き締まった音響で巨大な世界を形成し、毎回聴衆を大きな感動に導く。さらに、第3番の初稿はワーグナーの引用が要所で大きく現れ(稿を重ねるごとに削られてしまう)、作曲者の意図が明確に伝わる魅力的な稿であり、初稿にこだわるインバルと彼の薫陶を長く受けてきた都響で聴けるとなれば、平時でも大注目だが、今回は特別さが際立つ。終演後の会場の興奮はいかばかりか。後に語り継がれていくであろう重要公演、万難を排して集うべし。エリアフ・インバル ©堀田力丸前田妃奈伊藤雄太大崎由貴
元のページ ../index.html#37