31大植英次(指揮) 東京交響楽団熱き名匠と勢いに乗る人気ソリストが贈る鮮烈のチャイコフスキー文:飯尾洋一川崎定期演奏会 第79回1/17(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp 東京交響楽団の新年最初の川崎定期演奏会は、大植英次指揮によるチャイコフスキー・プロ。木嶋真優をソリストに招いたヴァイオリン協奏曲と、交響曲第4番が演奏される。両曲は作品35と作品36。30代後半のチャイコフスキーに訪れた飛躍の時に焦点を当てる。 ミネソタ管弦楽団音楽監督、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー首席指揮者、バルセロナ交響楽団音楽監督など、国際的なキャリアを積み、国内でも大阪フィル音楽監督を務めた大植英次だが、東京交響楽団との共演は久々。濃厚でドラマティックな音楽を持ち味とする大植と、バランスよく豊かで潤いのあるサウンドを持つ東響との組合せから、どんなチャイコフスキーが生まれるのか、大いに興味をひく。いつもの東響指揮者陣とは一味違ったタイプの熱風を吹き込んでくれるのではないだろうか。 ヴァイオリン協奏曲では注目の木嶋真優が登場する。早くから卓越した才能を認められ、2016年には第1回上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝し、国内外で活躍する木嶋だが、近年はテレビ出演など多方面での活動を通して新たなファンを獲得している。名教師ザハール・ブロンに師事し、ロストロポーヴィチにも絶賛された木嶋にとって、チャイコフスキーは欠かすことのできないレパートリー。鮮烈なチャイコフスキーを披露してくれることだろう。イレブン・クラシックス Vol.2 波多野睦美(メゾソプラノ) & 高橋悠治(ピアノ)朝の“新鮮な耳”で名演に触れる好企画いよいよ始動!文:柴辻純子1/13(水)11:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール問 SAFチケットセンター0570-064-939https://www.saf.or.jp 「平日午前11時、クラシックをもっと身近に、もっと面白く」をコンセプトに、上質な演奏とトークによる新しいシリーズが彩の国さいたま芸術劇場でスタートする。当初は、2020年6月に第1回が予定されていたが、残念ながら中止に。今回が待望の開催となる。第2回は、古楽から現代まで幅広いレパートリーをもち、明晰な発音と奥行きのある深い声で魅了するメゾソプラノの波多野睦美と、作曲・演奏・執筆と多彩かつ刺激的な活動を続ける高橋悠治がピアノで登場する。 曲目は、シューベルトの歌曲集「冬の旅」より〈春の夢〉、有名な〈アヴェ・マリア〉。シェイクスピアの詩による〈シルヴィアって?〉は、シューベルトの明るくのびやかな旋律が少女シルヴィアの魅力を歌い上げる。一方、高橋作曲の〈民衆に訴える〉は、シューベルトが1824年に友人に宛てた手紙に添えた「時代の青春は終わった」と暗い時代に生きる運命を嘆いた詩をテキストに用いた歌曲。〈バッハと歩哨〉は、20世紀イギリスの作曲家・詩人のガーニーの詩による。波多野の心に沁み入る声と高橋の聴き手の耳を惹きつける味わいあるピアノの音色が、詩と音楽の世界を豊かに広げてくれるだろう。 さらに、音楽ジャーナリストで評論家の林田直樹が聞き役で、彼らの魅力に迫るトークも楽しみだ。どんな話が飛び出すか、ここだけのエピソードが出てくるかも?! 夜の外出が億劫になりがちな冬は、さわやかな午前中に劇場へ。大人の音楽とトークは、心に潤いをもたらしてくれるに違いない。木嶋真優 ©Keiichi Suto大植英次 ©飯島 隆高橋悠治 絵:柳生弦一郎波多野睦美 ©Toshiyuki Kohno
元のページ ../index.html#34