2828銀座ぶらっとコンサート #154 お昼の名曲サロン Vol.22異色の編成が醸し出す美の系譜をたどる文:林 昌英1/21(木)13:30 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp 銀座4丁目に位置する王子ホールで、平日昼下がりに「銀ぶらの途中に立ち寄れる気軽なコンサート」として、150回以上も回を重ねている「銀座ぶらっとコンサート」。その中でも、読響のソロ・ヴィオラ奏者であり、トップクラスの実力と人気を誇る鈴木康浩が、仲間たちとともにアンサンブルを楽しく聴かせる「お昼の名曲サロン」は人気シリーズとなっている。1月の公演は、日本を代表するフルート奏者としてトップであり続ける工藤重典と、リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールで日本人初の優勝を飾った若きハープの名手、山宮るり子を迎える。 「フルート、ヴィオラ、ハープ」といえば、やはりフランスのドビュッシーの傑作である。最晩年の1915年に完成した意外な組み合わせの「ソナタ」は、無二の表現と無類の美を示し、たった1曲でこの編成を定着させてしまった別格の存在だ。イギリスのバックスは、ほぼ同時期の翌16年、同編成で独特の神秘性をもつ「悲歌」を書いた。その後、欧州を中心に同編成の作品が生まれたが、92年に日本の武満徹が「そして、それが風であることを知った」で空気が揺れ動くような、静けさを湛えた音楽で新境地を拓いた。まさに20世紀が生み出した繊細な美の世界というべき3曲が並び、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」抜粋編曲も挟まれるプログラム。ベテラン、中堅、若手と、各世代で各楽器を代表する3人の最高の美音でゆっくり味わえる、贅沢な銀座の午後となる。鈴木康浩フレッシュ名曲コンサート 読響 × 原田慶太楼(指揮) × 小井土文哉(ピアノ)注目の指揮者とピアニストが繰り広げる熱気あふれるステージ文:飯尾洋一1/30(土)15:00 めぐろパーシモンホール 問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 https://www.persimmon.or.jp 次代を担う新進気鋭の音楽家たちが躍動する「フレッシュ名曲コンサート」。1月30日、めぐろパーシモンホールでの公演には、原田慶太楼指揮読売日本交響楽団とピアノの小井土文哉が出演する。曲はロッシーニのオペラ《セビリアの理髪師》序曲、グリーグのピアノ協奏曲、そしてチャイコフスキー交響曲第5番。名曲中の名曲が並ぶ。 原田慶太楼はアメリカを拠点に国際的な活動を繰り広げる若手の注目株。2020年シーズンより、ジョージア州サヴァンナ・フィルハーモニックの音楽監督・芸術監督を務める。近年、国内のオーケストラとの共演も多く、特にウイルス禍にあった2020年は八面六臂の大活躍だった。どのオーケストラに対しても求める音楽をはっきりと要求し、積極的にオーケストラとの化学反応を引き出そうとする姿勢が頼もしい。エネルギッシュな指揮ぶりから生まれる色彩豊かなサウンドは痛快。チャイコフスキーの交響曲第5番では、起伏に富んだドラマと甘美な旋律美をたっぷりと堪能できるだろう。 グリーグのピアノ協奏曲で独奏を務める小井土文哉は1995年生まれの新星。2018年に日本音楽コンクール第1位、19年にはイギリスのヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクール第1位を獲得するなど、輝かしいコンクール歴を誇る。指揮の原田が開設するYouTubeチャンネルに招かれて一足先にトークで「共演」し、相性のよさを見せた。ステージ上でも息の合ったところを披露してくれるにちがいない。小井土文哉 ©Kei Uesugi原田慶太楼 ©Claudia Hershner
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